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5-9.試練

私はノアちゃんと共に、

もう一つの大きな反応に向けて飛んでいた。


反応は前方の山から出ているようだ。

山頂付近に神殿のような建物が見える。

またも以前見た二つと似た神殿だ。



私達が近づくと、神殿から一人の女性が出てきた。



「あの人です!あの人が力を持っています!」


ノアちゃんが興奮気味にそう叫ぶ。



女性は迷いなく私達の方を向く。

まだ結構距離があるのに、

最初からいることをわかっていたようだ。


私達に向かって一礼すると、

振り返って再び建物に入っていく。



「ついてこいってことかしら」


「少なくとも魔王のような禍々しさは感じません。

セレネに近いけど、もっとずっと強い力を持っています!」


聖女を上回る力?

より、神に近いのか?


「行ってみましょう。

せっかく招いてくれているのだから」


「はい!」


私は神殿に降り立ち、

仲間達の元に転移門を繋げる。


再び五人揃って、神殿の奥に進んで行く。


神殿の作りは前の二つと変わらないようだ。


そうして、また広い空間に出た所で

今度は女性が待ち構えていた。

よく見ると神官のような格好だ。



「ようこそお越し下さいました。

今代の勇者と聖女、そして異世界からのお客人。

お待ちしておりました」



私の事まで知ってるの!?


クレアにはまだ伝えていなかったが、

今更隠す必要も無い。

クレアも私に向かって言っている事は

相手の視線や仕草でわかっている。


今気にするべきはそこじゃない。




「私達が来ることをわかっていたんですか?」


なんとなく、女性の雰囲気につられて丁寧な口調になってしまう。



「ええ。魔王が復活した事もわかっております。

全ては神より伝えられております」


「あなたの言う神は勇者と聖女に力を与えている存在の事ですか?」


「その通りです。そしてあなたをこの地に呼び寄せた存在でもあります」



異世界転移の事を言っているのだろう。

やっぱり神の差し金だったのか。


言いたいことは山程あるけど、

今はそんな場合じゃ無いし、

この人に言っても仕方ない。



「神様は勇者と聖女に力をくれるつもりなの?」


「ええ。そのつもりです。

ただし、その為には試練を受けて頂きます」


「試練?

もう既に魔王が復活しているというのに、

そんな悠長な事を言っている場合なの?」


「必要なことでございます」



「クレア?セレネ?」


「もちろん受けるぜ!」


「問題ないよ!」



「それでは、勇者と聖女のみ前へ。

他の方はしばらくお待ち下さい。

ご安心をすぐに済みますので」



そうしてクレアとセレネが女性の前に立つ。


女性が何事かを呟くと、

クレアとセレネが動きを止める。


「何をしたの!?」


「危険はありません。

心の内で試練に挑んでいるのです。

どうか信じてお待ち下さい」



私は祈る。

どうか無事に二人が試練を終えられるように。


今だけは神頼みしてあげるから、

二人を無事に帰しなさいよ!


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