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5-7.vs魔王

私は結界が砕け散った瞬間に合わせて、

ギリギリまで圧縮した爆撃魔法を放つ。


先ほどと同じように転移門を盾にして、

衝撃が収まるのを待つ。



爆破が収まって魔王の方を見ると、

そこには一人の人間の男が立っていた。

見た目は普通の人間だが、

枢機卿とは比べ物にならない力を撒き散らしている。

こいつが魔王で間違いない。



「おい、あれが効いてねえぞ!」


クレアが驚愕する。


たしかに魔王には傷一つ無いようだ。


枢機卿の力は本当に魔王の力のほんの一部だったのだろう。

この調子では炎の刃も効かないかもしれない。



「いきなりご挨拶だね。

お陰ですっかり目が覚めたよ」


!?

魔王が喋った!



「あなた会話できるの?

状況はわかってる?」



「う~ん。だいたい?

勇者と聖女に負けて封印された所までははっきりしてるんだけど、

その後は半分寝てたからなぁ」


「とりあえず、君達が復活した僕を倒そうとしてるのはわかるよ?」


「でも君たちは随分弱っちいなぁ。

前の勇者と聖女はそんなんじゃなかったよ?」



「それは嫌な事を聞いたわね。

あなたの目的は?大人しく暮らしてくれるなら

戦う必要も無いのだけど」



「ああ、それは無理だね。

邪神から力を貰っちゃってるから。僕にそんな自由は無いんだ。

君達が終わらせてくれるならそれでも良いんだけど、

期待できそうにないなぁ」



「それは悪かったわね。

でも安心して。きっと私達が終わらせてあげるから」



「まあ、やるだけやってみてよ。

勇者っていうくらいだ。主人公補正くらいあるかもしれない」



主人公補正?

こいつまさか!?



「もう良いだろアルカ。とっとと始めようぜ!」


クレアが斬り掛かっていく。


魔王はなんのアクションも起こさないが、

クレアの攻撃は届かず弾かれる。



「硬ったぁ!!」


クレアは何度も斬り掛かっていくが、

魔王は相変わらず棒立ちだ。

相手をする気すら無い。



私は魔王の足元に転移門を起動して落とそうとするが、

足元に何もないのに、魔王はその場を微動だにしない。


「空間操作かぁ。それなら確かにダメージを与えられるかもしれないね。

でもこれで終わり?これくらい出来ないの?」



魔王が私に向かって手を伸ばす。



!?


とっさにその場を動くと、

私の居た場所の空間が捻れて歪んでいた。


魔王はもう私に興味を失ったのか、

それ以上の追撃はしなかった。




「もう満足したかな?

そろそろ飽きて来たんだけど」


何だこいつ!本当にどうすれば!?


私達の攻撃は全て効いていない。


「今なら見逃してあげるから、今度もう一度来てよ。

勇者と聖女の力をもう少しなんとかしないと戦いにならないよ?」



「その間あなたは何をしているつもりなの?」



「そうだな~とりあえず何か美味しいもの食べたいなぁ

何年経ってるのか知らないけど、この時代の食べ物に興味もあるし。

まあ、別に数日は働かなくても邪神も怒らないだろうから安心してよ」



こいつ何なの?

何を考えているの?

本気で倒されたいだけなの?

意味がわからない。


少なくとも、今は私達の事を敵だとすら思っていない。

かといって、虫ケラみたいに思っているわけでもない。

普通に会話して、あろうことかこちらを気遣ってすらいる。


魔王ってなんなの?邪神ってなんなの?


考えても今はどうしようもない。


「クレア!引くわよ!」


「本気か!?」



私は全員の足元に転移門を開いて無理やりその場を離脱する。



「一つアドバイスをあげる。神様を探すと良いよ」



魔王の言葉を聞きながら、私はその場を後にした。

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