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30-47.春

『さきにレミィ』

『なまえかんがえて』


『それが秘策?』


『いえす』


 遊撃隊(仮)との秘密会議を終えてから、引き続きハルちゃんと内緒話を続けていた。



『レミィちゃんズ』

『みたいにする』

『のれんわけ』


『分家?』


『ふらんちゃいず?』


『あれ?

 その場合、名前って変えて良いんだっけ?』


『しらん』


 私もお姉ちゃんも知らなければ、私達の生まれた世界でしか存在しない仕組みをハルちゃんが正確に知る術は無い。

なんにせよ、ハルちゃんズは概念に昇華したようだ。



『名前、名前ねぇ……

 せめて本人と少しくらい話をしてからが良いんだけど』


 やっぱり似合う名前にしてあげたいし。

まあ、愛称がレミィになるように考えても良いのだろうけど、ハルちゃん的にはどっちなのかしら。



『ハルとアルカのむすめ』

『そのつもりで』

『かんがえて』


 なるへそ。



『もしかして、それで私に名前を付け直して欲しいと思ったの?』


『そう』

『にんちして』


『ふっふっふ!

 それなら何度も妄想済みよ!

 "千夏"はどうかしら?

 私達、"春"の次の娘だもの!

 ああでも!"桜"も捨てがたいのよね!

 とっても悩ましいわぁ~!』


『……』

『ごめん』


『え?何が?』


『ハル』

『かってした』


『アルカ』

『たのしみ』

『してた』


『う~ん?

 ハルちゃんは今回自分の娘として側に置きたいのよね。

 先に産み出し娘達、ルチア、アウラ、スミレ、メアちゃん、イリスとも違う、特別な意味を持たせたいのよね。

 それで、ハルちゃんの娘ってだけじゃなくて、ハルちゃんと私の娘にしたいのよね。

 だから、二人で一緒に考えて、一緒に産み出すべきだったって事?』


『そう』

『かってにうんだ』

『アルカにもないしょで』


『ハルちゃん。

 今更何を言っているのよ。

 ハルちゃんは私でもあるのよ?

 自分勝手も何も無いわ。

 私の一部が判断して産み出したのだから、私が産み出したのも同義よ。

 まあ、それを言い出すとルチア達も私達二人の娘なんだけど、あの子達には他に宿主がいるものね。

 ずっとハルちゃんの側にいて、誰よりもハルちゃんの娘らしく生きてくれる娘が欲しかったのよね。

 って、こんな考え方だってラピスに怒られちゃうわね。

 ラピス達だってハルちゃんの大切な娘なのだし』


『そう』

『だね』


『ハルちゃんも寂しかった?

 私と離れて、娘達もそれぞれに別れて働き始めて。

 ずっと側にいて、慕ってくれる娘が欲しかったの?』


『そう』

『かも』


『そっか。

 春ってそういう季節でもあるのよね。

 出会いもあるけど、別れもある』


『わかんない』


『ふふ。そうよね。

 ハルちゃんには馴染の無い感覚よね。

 そもそも参考にした私自身にそんな経験殆ど無いんだし』


『アルカぼっち』

『だったから』


『昔の話よ!

 今はモテモテよ!』


『ふふ』

『そうだね』

『ハルも』

『アルカ』

『だいすき』


『うん。知ってる。ふふ』


『なまえ』

『きまった?』


『うん。決めた。

 名前は、"千春ちはる"。

 同じ"春"なら、別れは訪れないわ。

 そんな日が、少しでも長く続いてくれるようにと願いましょう』


『せんねん』

『みじかくない?』


『そうね。けど、永遠に縛り付けるのは可哀想だもの。

 千春が望むのなら、送り出してあげるのも親の役目よ』


『そしたらまた』

『つぎのこ』

『こんどはアルカと』

『いっしょに』


『千年後にね』


『せんねんごに』

『やくそく』

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