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5-5.vs眷属

「あなたが待っていたのは聖女でしょ?」



「いや、君であっているよアルカ君。

是非とも君の、魔女の力を貸してほしくてね」



「何言ってるの?

私に特別な力なんて無いわ!」



「おかしな事を言うのだね。

ただの人間ではありえない魔法を使っているというのに。」


「君の力でクレア君は飛躍的に力を増した。魔王の衣すら切り裂くほどに。

これではまるで聖女ではないかな?」



魔王の衣とは神の力を纏う事を言うのだろう。

あの時から目をつけられていたとは・・・




「地下遺跡での教会騎士との戦いも見ていたよ。彼の目を通してね。

転移魔法は人の身で扱えるものではない」


「しかも君はそれを攻撃にすら転用していた。

ほんの少しとはいえ彼もまた魔王の衣を纏っていたというのに

なすすべもなく、真っ二つだったではないか」



「君の事はとても普通の人間とは呼べないね。

魔王の力に抗える者が普通の人間などであるはずがないのだから」


「今思うとルキウス司教の称した魔女という表現は言い得て妙だったね。

彼の事は少々雑に扱いすぎたのかもしれない」



「それで?私に何をさせたいの?」



「君の力があれば魔王の力も確実に取り込めるのだよ。

もうすぐ封印は解けるのだが、

そこだけはまだ不安要素があってね」



「そんな事に協力するわけないでしょ!」



「残念だよ。ならば少々強引にいくとしようか。

もうあまり時間も無くてね。

このタイミングで君は都合よく聖女まで連れて来てくれた。

これはまさに運命だ。私に必要な者が揃って自ら現れたのだから!」



エルドス枢機卿が動き出したのに合わせて、

クレアとノアちゃんが駆け出す。


私は少し離れた位置でセレネとグリアと共に補助に専念する。


セレネは私達三人を守るように結界を張り、

クレアに聖女の加護をかける。


グリアは枢機卿の力の分析に専念する。


私はノアちゃんとクレアにそれぞれ用に調整したバフをかけていく。



最初は私は攻撃に参加しない。

力を増したクレアを攻撃の主役に、

他の全員で補助していく。



「クレア君以外にも魔王の衣を切り裂くとは。

君はあの時、聖女と間違えて連れてこられた子だね?

まさか聖女の力を勇者のように扱うとは」


「戦闘中にいつまでも喋ってんじゃねぇ!!」


「クレア君は相変わらずだね。

力の使い方は上手くなったようだが、

それでは今の私には届かないよ」




枢機卿の言う通り、私達の強化も受けたクレアの攻撃でも、

有効打は与えられていない。


多少切り傷を作れても、傷が瞬時に治っていく。



やはり、相当魔王の力を取り込んでいるようだ。


セレネは魔王の力を削ごうと頑張っているが上手くはいっていない。

グリアも補助しているが、まだ時間がかかりそうだ。


私達が攻撃に参加しない事を悟ったのか、

枢機卿も私達に構わず、クレアとノアちゃんに専念している。


試しに枢機卿の足元に転移門を起動したくなるが、

打ち合わせ通り、今はまだクレアに任せよう。



真っ向から斬りかかるクレア。

死角から攻撃を加えて注意を逸らそうとするノアちゃん。


ノアちゃんの攻撃は致命傷にならないと、

クレアの対処に専念するエルドス枢機卿。


今はまだこちらの方が優勢だ。

後はどちらが先に力尽きるかの消耗戦になってくる。



そろそろ私も攻撃に加わるべきだろう。


「クレア!」


「もうちょい待ってろ!」



クレアにはまだ別の考えがあるようだ。信じて待とう。


そうして戦いが続いている内に、

突然ノアちゃんとクレアの動きが逆転した。


今まで常に枢機卿の死角に回るよう走り回っていたノアちゃんが、

正面から心臓めがけて突きを放つ。

堪らずガードした枢機卿の死角から、クレアが斬りかかる。


「なに!?」


枢機卿の腕を切り落として、再び正面から斬りかかるクレア。

さっきまでと同じように死角に回り込むノアちゃん。


「クレアさん!」


「ああ、わかってる!」


ノアちゃんが注意を促すと、

枢機卿の腕の切断された肩口から闇の触手が伸びて襲いかかってくる。


私は念の為、切り落とされた腕を転移門に落として

近くに寄せ、高熱で丸ごと焼き払う。



結果的に敵の手数が増えてしまい、

二人は先程までより近づけなくなる。



「アルカ!」


クレアの合図だ。

私も戦いに参加する時がきた。


「任せて!」


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