30-28.ナイショ
「つんつん」
「くすぐったいわ、リヴィ。
お腹はダメよ」
「なんかさっきまでより疲れてる?」
横になったままの私を心配して覗き込むルカ。
可愛い。キスしたい。
でも残念。体が上がらないわ。
「ちょっとね。
もう少し休んでるから、皆は先に戻ってて良いわよ」
「まだここにいるわ。
折角だし、話でもしましょう」
私の頭の横に座って、私の頬をつつくアリア。
しゃぶりつきたい。
「なら膝枕して、アリア」
「良いわよ!」
「いっそお風呂入らない?
転移なら出来るでしょ?」
「ナイスアイディアよ、ルカ。
ゆっくり浸かるとしましょう」
「リヴィおゆいれてくる!」
「ありがと~」
リヴィはそう言って飛んでいった。
随分と自在に飛べるようになったものだ。
流石に転移はまだっぽいけど。
けど、きっとそっちももうすぐだ。
「あれ?ラピスは?」
「サナの様子を見に行ったわ」
「ラピス良い子」
「ふふ。ありがとう、ルカ」
「なんでアルカがお礼?」
「私の可愛い愛娘が褒められたからね」
「ルカも娘」
「もちろん!ルカもとっても可愛いわ!
アリアもね。二人とも大好きよ」
「「えへへ~」」
「そろそろ移動しましょうか。
リヴィを待たせたら悪いし」
「「うん!」」
私達は露天風呂に移動した。
今日はアリア達が私の体を洗ってくれた。
なんて贅沢。これが極楽。
至れり尽くせりの長風呂を満喫していると、ラピスが呼びに来た。
様子見ついでに今までサナ達を手伝ってくれていたようだ。
相変わらず、ラピスは面倒見が良い。
それにとっても楽しそうに動き回っている。
ここでの生活はラピスの性にも合っているのだろう。
『…………ただいま』
『ナノハ!おかえり!お疲れ様!』
『…………うん。つかれた。ねる』
『あらら。おやすみ、ゆっくり休んでね。ナノハ』
私の中に帰って来るなり、すぐに眠りにつくナノハ。
今日はお姉ちゃんの中では休まなかったのかしら。
後で起きたら話してみよう。
そういえば、ナノハが帰ってきたという事はお姉ちゃん達も帰っている筈だ。
やっぱりもう少し話を聞いておきたい。
そういえば、ハルちゃんはまだ居残りだった。
とはいえ、見張りを一瞬メアちゃんに任せるくらいは出来るだろう。
夕食後にでもアリアとラピスで契約してもらおう。
クルルも呼んでおかなきゃ。
今はどこにいるのかしら。
私世界かな。
『来たよ!主!』
『おかえり~。
クルルも明日からルカと過ごしてみない?』
『うん。いいよ。
契約したら、ルカの中に居るね』
『ありがとう。お願いね』
『うん!』
『ところで今日は何してたの?』
『ナイショ!』
『そっかぁ~』
まあ、うん。
皆が何やら企んでるのは、既に私も知ってるもの。
今日もそっちに参加してきたのだろう。
もしかしたら、クルルは何かしら役割があるのかもしれない。
学園が始まるまでには、こっちに専念できるのかしら。
ミーシャが要らないと言われていたので、多分必要なのは頭の良さでは無いのだろう。
ミーシャは油断ならないだけで、頭が悪いわけではない。
むしろ、咄嗟の判断力は高い。
頭の回転が速いのは間違いない。
ただ、その使い方が問題なだけで。
ともかく、近い内に教えてくれるはずだ。
たぶんきっと。前にそんな事言ってたし。
チグサだけがもう少し時間が欲しいと言っていたけれど、それ以外の子達は何かを終えて、研究班から離れて行動し始めている。
とりあえず人手の必要な事ではないのだろう。
私とお姉ちゃんの記憶関連だろうか。
あの再現された町と遊園地のように、何かを再現しようとしているのだろうか。
それとも、いち早く抜けたハルちゃん達が関わっていたのは、あの町の事だけだったのだろうか。
あれとは全く異なる目的があるのだろうか。
何だか無性に気になってきた。
『もう少し我慢なさい。
町も遊園地も、アルカを十分に楽しませてくれたでしょう?
次もアルカにとって好ましいものであることは間違いないわ。
あの子達の目的なんて、それ以外には有り得ないんだから』
『イロハは参加してないの?』
『そんな事は無いわよ。
最初の頃は私も向こうに居たじゃない』
『命令して良い?』
『本気でしたいのならどうぞ。
する気もないのに聞かないで』
『まあ、皆が私を驚かせたいと思ってくれているのもわかるもの。
台無しにするような事はしないわ』
『なら私にこの件で絡まないでよ』
『良いじゃない。
少しくらい受け止めてくれても』
『そういうのはハルに頼みなさい。
私の好きな関係ではないわ』
『イロハは本当は引っ張って欲しいの?』
『そういう事は聞かないで察するものよ』
『イロハが構ってちゃんなのは察してるわ』
『ならもっと構いなさいな』
『今日は一日一緒に居たじゃない』
『足りないわ』
『なら明日もよろしくね』
『気が早すぎるわ。
まだ今日は終わってないわよ』
『そうね。あと少し頑張りましょう』




