表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

690/1375

30-12.幸福

 結局イチャイチャと長風呂してしまった。

折角だから少し飲んでから寝ましょうという事で、リビングに移動する。

備え付けの冷蔵庫には様々な種類のお酒が用意されていた。

これ、どこから持ってきたのかしら。

お姉ちゃんの収納空間から分けてもらったのかな。

それとも、まさか作ったの?もう?

まあ、何れにせよ変なものではないだろう。


 よく冷えたグラスや、各種おつまみまで用意されていたので、遠慮なくもらう事にした。

もうどうやって用意したのかは考えるまい。

とりあえずこれなら収納空間から出す必要は無さそうだ。


 それはそうと、この調子ならバーとかもありそうね。

ワンフロア貸し切りだという話だし、少しくらいは探検しても良いかもしれない。


 まあ、今日焦って全て済ませる必要もないのだけど。

実質、私専用なのだろうし。

これからゆっくりと、好きなだけ堪能する事にしよう。


 以前は、何れ自分で島を開発していこうなんて思っていたけれど、私が何もしなくともシーちゃんとアリスがもっと凄いものを用意してくれた。

もう私何もしなくても良いんじゃないかしら。

後の事は皆に任せて、愛しの少女達と爛れた生活を送ってしまおうかしら。


 皆もそう望んでくれているのかもしれない。

外に出て忙しく働きまわるより、家に残って、私の時間の全てを使って、順番に皆と過ごす方が良いのかもしれない。

私が外に出なければ、これ以上人数が増えていく事も無いのかもしれない。


 当然そんなわけにもいかないのだけど。

ノアちゃんも、カノンも、お姉ちゃんも、セレネも、ナノハも、ハルちゃんも外に出て何かしらしてくれている。

皆して私には詳しく教えてくれないけれど、放って置くつもりはない。

私が抱えきれていない事を懸念しているのなら、とにかく一つずつ片付けていくしかない。

何時でも手伝えるのだと、証明するしかない。


 だというのに、私が外に出るとむしろやることは増えていくばかりだ。

一向に片付かず、溢れ出していく。

それらをノアちゃん達が拾い上げてくれる。

良くない。とっても良くない。



「何難しい顔してんのよ。

 私と飲むのがそんなにつまらないの?」


「ごめん。

 そんなわけないから怒らないで」


「またバカなことでも考えてたんでしょ。

 アルカは何も悩む必要なんて無いわ。

 私達が何でもやってあげるって、もう何度も言っているでしょ」


「セレネから言われた事ってあったっけ?」


「地下の町での事忘れてるの?」


「ああ。まだ可愛かった頃の」


「ああん?」


「ごめんって、ちょっとした言葉の綾よ。

 今のセレネもとっても可愛いわ。」


「まったく。本当にわかっているのかしら」


「どっちもわかってるって。

 セレネは可愛いし、皆は私の力になってくれる」


「なら悩む必要なんて無いでしょ。

 アルカは私達の柱なのよ。

 ドンと構えていなさいな」


「私はほら、ふんぞり返って待ってるより、前に出て動きたい性分だから」


「やめなさい。

 余計やる事が増えるだけよ。

 もう百年くらいは大人しく引き籠もってなさい」


「やっぱりセレネもそう思う?

 とはいえ、百年はやりすぎじゃない?」


「ノアとカノンが中心になって計画を立てているわ。

 その計画を邪魔したくないのなら、百年程度は必要よ」


「計画?

 方舟計画の事?」


「それを軌道に乗せるための方針の話よ。

 これ以上は喋らないわよ。

 ノアがアルカに秘密にしている理由を察して上げなさい」


「私が邪魔になるって事は、ギルド絡みね」


「やめなさい。

 この件を掘り下げるのは認めないわ。

 私がノア達に責められるのよ。

 まったく、何でこんな時だけ鋭いのよ」


「ふふ。

 そう言いながらもヒントをくれちゃうセレネが大好きよ」


「はいはい」


「セレネは何か悪巧みしてないの?」


「言うわけ無いでしょ」


「良いじゃない。

 セレネは私の一番よ。

 セレネくらいは私の我儘を受け止めてよ」


「もう十分話したわ」


「少し強引に口を割らせるべきかしら」


「飲み比べでもする?」


「勝てるわけ無いわ。

 セレネは強すぎるもの」


「ならベット行く?」


「今日はもう止めておきましょう。

 今始めたら寝る時間が無くなってしまうわ。

 明日はグリアのお母様に会いに行くのでしょう?」


「どっちでも無いなら、どうする気なのよ」


「う~ん。

 どうしようかな。

 ジャンケンでもする?」


「雑すぎるでしょ。

 どこが強引なのよ」


「いっぱい甘やかしたら口が軽くなるかしら」


「こうして寄り添ってるだけでは足りないの?」


「もちろん。

 何時でも抱きしめていたいし、何時でも見つめていたい。

 膝枕も捨てがたいわね。

 セレネも同化出来ればいいのに。

 そうしたら、一生私の中に閉じ込めて逃がしてあげないんだから」


「私は、今はこれで十分よ。

 指を絡めて、肩を寄せ合って。

 これだけで満ち足りているわ」


「セレネにしては殊勝なこと」


「まだそんな事言うの?」


「ううん。ごめん冗談。

 セレネのそういう所も良く知ってるわ」


「なら次にして欲しい事もわかるでしょ?」


「もちろん」


 私はセレネにキスをした。

たまに口づけを交わしながら、長い事寄り添っていた。

いつの間にか言葉も無くなった。

セレネが眠るまで、そうして静かに過ごしていた。


 結局追求は躱されてしまった。

私は眠ってしまったセレネを抱えて寝室に移動する。

いつの間にか、和室の方には布団が敷かれていた。

シーちゃんが分体でもよこしてくれたのかしら。

相変わらず至れり尽くせりだ。


 今日は和室で寝るとしよう。

セレネはぬいぐるみに苦手意識を持ってしまったようだし。

元々は可愛いもの好きだったのだけど。

まあ、今も可愛いものは好きだろうけど。

とにかく、目覚めた時に怯えさせるのも忍びない。

あの部屋は今度セレネ以外と来た時に眠るとしよう。

全員トラウマになっている可能性もなくはないけど。


 私は敷布団にセレネを寝かせて、自分も潜り込む。

セレネはすぐに私にしがみついてきた。

起こしてしまったかとも思ったけれど、どうやらそうでもないらしい

眠っていても私を求めてくれたみたいで堪らなく嬉しい。

セレネ可愛い。



「おやすみ、セレネ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ