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5-3.完成

「完成だ!アルカ君!」


「すぐに行くわ!」


私は興奮気味のグリアに呼ばれて、

ドワーフ爺さんの店にセレネを連れて転移する。


「おう早速来たか」


爺さんのそばには様々な計器に繋がれたままの

手のひらサイズの魔道具があった。


思った以上にドラ◯ンレー◯ーだった。

大丈夫?怒られない?



液晶画面代わりの平らに磨かれた魔石の上に、

中心に三つの光点が存在し、上下左右の端にもいくつかの光点が見える。

さらにその内の、いくつかは光が強くなっていた。



「これって勇者の力もわかるの?」


「というより、神の力を持つ者の位置を示しているのだよ」


グリア曰く、力そのものは聖女も勇者も魔王も同じものなのだそうだ。



仮に、神力と呼ぶそれは、

魔力のようにそれそのものは純粋なエネルギーでしか無い。

それを扱う者がどう呼ばれているかの違いでしかないらしい。


中央に見える強い力はセレネとクレアだろう。

端に見える中にも一際強いものが二つあるが、

どちらかが魔王なのだろう。

この方向に飛んでいけば見つかるはずだ。



「魔王以外にもう一人強い力を持っているようだけど

これについてはどう思う?」


「正直わからんな。行ってみるしかあるまい。

勇者や魔王のように神から力を与えられた者なのか、

自らその力を得たのか、もしくは神そのものか」


「下手に近づいて藪蛇にならないと良いのだけど」


「まあ気持ちはわかるがな。こればかりは仕方あるまい」



まあ、その通りだ。

ここで悩んでいても始まらない。


余計な敵が現れない事を祈っておこう。

もしかしたら頼りになる味方になってくれるかもしれないし・・・



ともかく、これで準備は整った。

いよいよ決戦だ。


皆いつでも出発できるように準備できているはずだ。






----------------------







私は自宅に皆を集めて宣言する。


「第三回、家族会議を開催します!」


今日はグリアとクレアも含むフルメンバーだ。


「遂に魔王の位置が判明しました。

まずは、グリアとこの場にいないドワーフ爺さんに拍手!」


「「パチパチ」」


ノアちゃんとセレネは乗ってくれた。

クレアはそもそもあまり真面目に聞いていない。


「さっさと行こうぜ!

あのおっさんとまた戦うの

ずっと楽しみにしてたんだ!」


「クレア!今度は途中でやめたりするんじゃないわよ!」


「ったりめーだ!妹分があれだけ必死こいて頑張ってきたんだ!

今更そんな事するか!」


「誰が妹分よ!ノアちゃんは私のよ!

クレアにだってあげないわ!」


「そいつはノア次第だな!」


「クレア!なら良いわ、勝負よ!」


「二人共良い加減にして下さい!

馬鹿なこと言ってないで話を進めますよ!」


「ノア。顔真っ赤」


「セレネ!!!」



しばらく、会議は中断された。

私のせい?

ごめんて、ノアちゃん。


機嫌悪そうだけど、嬉しそうな尻尾は隠せてないよ?

ごめんなさい!冗談です!



「ごほん。まずは、私とノアちゃんだけで敵の正確な位置を調べてきます。

位置がわかったらこの家に転移門を開いて迎えにくるわ」


「はい!」


「ノアちゃんどうぞ」


「なぜ私なのですか?

万が一の場合、セレネと行く方が安全ではないでしょうか」



確かに、結界や治癒が使えるセレネは心強い。

もし見つかっても、戦わずに逃げるだけなら一番頼りになるだろう。



「今やセレネの聖女としての力はとっても強いの。

だから、下手に近づくと敵に気付かれる可能性が高い。

ノアちゃんの力はそこまで大きいものじゃないから、

気付かれにくいからというのが一点」


「もう一つ、ノアちゃんが一番力を察知するのが上手だから。

上手く敵より先に相手を見つけられれば、

必要以上に近づく事無く準備を整えられる。」


「もしかしたら、敵はこちらの想定以上に力を付けているかもしれない。

用心するに越したことはないわ」


「理想を言えば今日は位置の特定だけにして魔力の回復もしておきたい。

捜索にも魔力は使うしね。明日改めて攻め込むのがベストよ」


「わかりました。頑張ります!」


「うん。頼りにしてる」


「アルカ君」


「はい。グリアどうぞ!」


「魔王戦は私も同行しよう。

セレネ君の補助をしたい」


「そうね。お願いするわ。

いてくれるとこちらも心強いもの」


「承知した」



初代聖女の力には、魔王の力を削ぐというものがある。

セレネも様々な力の使い方を習得したが、

これについては、練習のしようが無かったのでぶっつけ本番だ。


一応、クレアに対してだけだが、バフのような事はできた。

セレネの力でクレアを強化できるのだ。

弱体化も試してみたが上手くいかなかった。


本質的な力は同じでも勇者と魔王では何か使い方が違うのか、

それともセレネはまだ方法がわからないだけなのかは不明だ。



ひとまず、これで打ち合わせも終わりだ。

いよいよ魔王一味を見つけに行くとしよう。



ということで、私はノアちゃんを抱えて

探知機の示す方角に飛んでいく。


光点の指す場所はもう近い。

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