5-2.連携訓練
先日のダンジョンでの連携訓練はとても良かった。
やっぱり実戦にかなうものはない。
私達が魔王戦を想定した模擬戦をするには、
攻撃力が高すぎてどうしても全力が出せない。
やろうと思えば、それぞれが相手を一撃で殺してしまうのだから。
クレアの勇者の力の成長については
グリア曰くセレネと同じように成長しているらしい。
お祈りとかしてないはずなのになぜ?
神様、私達の事意外と見てるの?
なら一回降りてきて、
異世界転移の事説明してくれないかな?
もちろんまだ許してないわよ?
しかもクレアもノアちゃんと同じ様に、
力のコントロールが出来るようになっていた。
ノアちゃん曰く、初めて披露した時にその場で真似されたとの事。
クレアの方が長いこと力を使っていたにしても、
今まで自覚していたわけでもない。
けれど、同系統の使い方をするノアちゃんが目の前で起こした事を
本能で理解してそのまま自分の物にしてしまったらしい。
今は悔しさを滲ませながらも冷静に言ってるけれど、
その時のノアちゃんは、さぞ悔しくて荒れた事だろう。
そういえば、少し前にやたら機嫌の悪い日があったな・・・
理由も教えてくれないし、さっさと寝てしまったので
詳しくは聞けなかったけど。
翌日にはいつものノアちゃんに戻っていたのでそのまま忘れていた。
そんな事があっても毎日クレアとの訓練は続けているし、
ノアちゃんも日々クレアから学ぶことは多いようだ。
ノアちゃん頑張り屋さん。
ノアちゃん可愛い。
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結局、司教からも領主からも有益な情報は得られなかった。
あの場に司教達が居たのは、
偶然、領主が発見した遺跡に大きな魔力がある事を知り、
何かに使えるのでは無いかと、独断で動いていたようだ。
領主が匿っていたのは司教だけであり、
枢機卿とは接点がなかった。
司教もうとっくに切り捨てられてたんじゃない?
私達が倒した鎧の男はどうやら魔王が封印されていた神殿で
司教を守っていた騎士だったようだ。
あの騎士は司教の側に居続けて守っていたのだし、
何かしら司教にも役目がありそうなものだけど。
案外、騎士の個人的な事情だったのだろうか。
司教にそんな人望があるようには見えないけれど。
この辺りの事は司教も知らないようだ。
なんか敵ながら憐れになってきた・・・
まあ、今更敵の居場所なんてこいつらから知る必要はない。
グリアとドワーフ爺さんが頑張ってくれているのだから。
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私はセレネに無機物に結界をまとわせて貰って、
通る攻撃が無いか模索中だ。
転移門は強力だが攻撃に転用するには一手間かかる。
やはり他の手段もあるに越したことはない。
ある程度の出力が高い攻撃を使うことで、
杖のコントロールも練習出来る。
とはいえ、前回の様に周囲に魔力が充満している環境は
そうそうないため、あそこまでの威力に勝手になる事は無い。
やはり、あの時の環境はお爺さんが用意した特別なものだった。
改めて感謝しよう。
杖の真の力を発揮するのは、
私が全ての魔力を出し切ってなお、大きな攻撃をしたい時だろう。
私自身の魔力が無くても勝手に周囲から集めてくれるし、
その時には私が放った攻撃で周囲にはいくらか魔力が漂っているはずだ。
どの道その時には杖も壊れてしまうのだし、
本当に最後の切り札としておくべきだ。
普段は普通に魔力を貯めておく事で、
単純に私の魔力は倍増しているようなものなので、
これだけで十分な戦力アップだ。
セレネの結界を突破する魔法は一つだけ見つけた。
火の魔法を収束して放つことで突破することが出来た。
形は槍や刃など様々な応用ができる。
ただし、この魔法は収束の為に少しタイムラグが発生する。
上手く当てるには皆との連携が不可欠だ。
水でも同じ事が出来そうだけど、
私は火の魔法が得意なので難しいようだ。
今までは面制圧が出来る爆撃魔法を愛用していたけど、
魔王戦では収束魔法をメインにできるよう訓練していこう。
この訓練はセレネの訓練にもなっている。
私が威力を上げた魔法をセレネがどれだけ耐えられるか
二人で競い合っているようでとても楽しい。
私が結界を突破できても、
私の攻撃を結界で防げても、
ぴょんぴょんしながら喜ぶセレネ。
セレネ可愛い。
今は前衛組、後衛組で戦闘訓練はわかれているけれど、
頻繁に集まって全員での連携も訓練していく。
きっと大丈夫だ。
私達は皆強くなった。