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30-1.ふかふか

 私は自室でセレネとルビィと共に夕食を食べていた。

途中までノアちゃんを手伝っていたが、ルビィ達の分が出来た時点で、それ以上の手伝いは断られてしまった。

ルビィの世話を優先しろという事だ。

まあ、リヴィも手伝ってくれているし、もう大丈夫だろう。


 セフィお姉ちゃんとレヴィの下に食事を運んだ後、私の部屋に戻って、ルビィの相手をしていたセレネと共に夕食を食べる事にしたのだった。


 セレネはルビィを膝に乗せて匙を運ぶ。

正直、ルビィは一人でも食べられるのだけど、つい甘やかしてしまう。

セレネも同じ気持ちのようだ。

すっかりルビィに夢中になっている。



「アルカ」


「なに?」


「ルビィは私に頂戴」


「何言ってるのよ。

 ルビィは私の娘よ。

 あげるわけ無いでしょ」


「いえ、アルカの娘なら私の娘でもあるわ。

 今日から私と一緒に寝ましょう。

 ルビィも良いわよね?」


『う~ん』


「ルビィは私と一緒に寝るのよ」


「アルカは待ってる子達がいっぱいいるのよ。

 ルビィの事は私に任せなさい」


「うぐ……

 そうだったわね」


『おかーさん、が、いい……』


「ルビィ!!

 嬉しいわ!」


「私じゃ力不足なのね……」


『せれね、も、すき』


「ルビィ!

 良い子ね~!!」


『でも、おかーさん、ふかふか』


「ふか……」


「なるほど。

 確かにそれは負けるわね。

 アウラ、お願い」


『こんな所で披露するの?

 あんなに張り切って準備してたのに』


「ここで使わず何時使うのよ!

 いいからお願い!」


『もう、後で文句言わないでね』


『!?』


 セレネが変身魔法で大人びた姿に変わる。

二十前後くらいだろうか。

随分と胸部装甲が大きい。

別にルビィの希望を聞いたからではなく、これがセレネの理想の姿なのだろう。

抱き心地が良さそう。



「これでどうよ!」


『せれ、ね?』


「そうよ!ふかふかよ!」


「ルビィの方が先なの?

 私の為じゃないの?」


「アルカが何時までも待たせるからでしょ。

 折角拘って決めたのに」


『セレネはフィリアス使いが荒いよ。

 ルチアが羨ましい』


「止めときなさい。

 ノアはノアで面倒なんだから。

 アウラには私が一番よ」


『わかってるよ。

 羨ましいってだけで、代わりたいってわけじゃないよ』


「セレネとアウラも仲良くやっているようで何よりだわ。

 けれど、今はルビィの事を気にして上げて。

 まだ驚きから戻ってこれていないわ」


「ルビィ~ごめんね~

 大丈夫よ~

 セレネママはルビィの事が大好きですからね~」


 セレネが今更猫撫で声でルビィに迫る。

グイグイ行き過ぎじゃないかしら。

ルビィがタジタジよ。


 私はルビィを抱き寄せ魔法で自分の腕の中に呼び寄せる。



「なにすんのよ!」


「落ち着きなさい。

 ルビィを脅かしてどうするの」


『?おかーさん?な、んで?』


 ルビィも転移は何度か経験しているのだけど、混乱してしまったようだ。

セレネが脅かしたせいね。きっと。



「何度もごめんね。

 さあ、口開けて。あ~ん」


 私はルビィの食事の残りと、セレネの持っていたスプーンも転移で奪い取って続きを食べさせる。

ルビィは色々飲み込めない様子のまま、スープを飲み込んだ。



「おうぼ~」


「セレネにもしてあげようか」


「うん」


「後でね」


『やめなさい』


「何でよ、イロハ」


『子供の前で何を始めるつもり?』


「そうね。

 ただの食べさせ合いじゃ済まなくなりそうだわ」


「済むわよ。変なことなんてしないわよ」


『どうだか』


「アウラまでそっち側なの?」


「アルカ、よそ見しない。

 ルビィが待ってるわ」


「あ、ごめん。

 はい、あ~ん」


「いいなぁ~」


『私がやってあげようか?』


「アウラ相手でも同じでしょうが」


『私はやらないわよ』


「イロハはまだ接点が少ないのよね。

 この際だから開拓してみようかしら」


『やらないってば』


「そもそも、その大人モードでしてもらうの?

 なんか、見た目だけであれな感じにならない?」


「それはそれで良いじゃない」


『おかーさん』


「は~い、次ね。あ~ん」

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