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29-41.成果

今回もノアちゃん視点のお話です。


 私は最初にルネルさんに報告した。



「ふむ。

 その様子ならば多少は学びもあったようじゃのう」


「はい。

 単なる自己研鑽に留まらず、土地の魔力との親和性を高める事も有用だというのは驚きました。

 ですがあれは、自己の魔力を用いず、自然の魔力を扱うエルフならではなのでは?」


「バカ者。

 なれば尚の事苦慮するに決まっとろうが。

 お主も与えられた力や、自らの内にある力をただ使うのではなく、自らのものとして飼いならすのじゃ。

 お主らの中で少しでもとっかかりに触れておるのは、クレアだけじゃ。

 クレアは技術の拙さこそ難点じゃが、このままではまた近い内に追い抜かれるじゃろうな」


「精進いたします」


「うむ」


 私はルネルさんと別れ、自室に移動する。



「ハルは知っていましたか?」


『しらない』

『ちからはちから』

『ただあるだけ』

『なかよくする』

『かんがえたことない』


「クレアさんの神力の衣は、以前から私達とは比べ物にならない高密度のものでした。

 その理由がクレアさんの制御技術によるものではなく、親和性の問題だったのですね。

 神力が自らクレアさんを守ろうとでもしていたのでしょうか」


『そうじゃない』

『クレアのやりたいこと』

『こたえただけ』

『たぶん』


「マリアさん達、剣聖の一族が神力の存在を正確に知っていたわけでもないのに纏えていたのは、これが理由だったのでしょうか」


『たぶんそう』


「今まで見た事の中にも、いくらでもヒントは転がっていたのですね。

 私もまだまだです」


『だいじょうぶ』

『いっぽぜんしん』


『ハルも』

『まなぶ』


『アルカにも』

『おしえる』


「ふふ。アルカには向いているかもしれませんね。

 私達にしたように、あっという間に誑し込んでしまいそうです」


『それに』

『アルカは』

『ぎじゅつつたない』

『さぼりぐせもある』


『やるきだせば』

『まだまだ』

『つよくなれる』


「真剣な時はとことん真剣なのですが」


『おんおふへた』


「良く知っています」


『もくひょう』

『ひつよう』


「今はルネルさんを落とすという、壮大な目標がありますよね」


『もっとたんき』

『ひつよう』

『めにみえて』

『けっかでるやつ』


「そうですね。

 何か良い案はありますか?」


『まだない』

『かんがえる』


「私も考えます。

 一緒にアルカの事も鍛えましょう」


『うん』


『ノア、ハル、その話は後にしなさい。

 先ずはコアの解析をしましょう』


「すぐにやる」


 イロハと同じようにペンダントに変身していたハルが、変身を解いて眼の前に現れる。

私はルチアが開いた収納空間からダンジョンコアを取り出して、ハルに差し出した。



「むむ」


 暫くしてダンジョンコアを持ったハルが少し難しい顔をした後、ダンジョンコアから私のベットに一人の女性が飛び出した。

女性はエルフのようだ。

だいぶ衰弱しているようだが、まだ息がある。


 私は直ぐ様セレネを呼び出した。

セレネの治療のお陰で女性の容態はすぐに安定した。



「この人がセルフィーさん?」


「そう」

「たぶん」


「何故コアから?

 魔物になったわけでは無いですよね?」


「しゅうのうがわり」


「コアにはそんな機能があったのですね」


「せいかくには」

「ダンジョン」

「どこかにだしっぱ」

「てんいで」

「そこからだしいれ」


「そのダンジョンの様子も見に行きましょう」


「私はここに残るわ。

 セルフィーさんの事は任せておいて」


「お願いします、セレネ」


 再び私の首元でペンダントに変身したハルは、私ごと件のダンジョンに転移した。

お姉さんにも声をかけるべきだっただろうか。

とにかく一度様子を見てから判断するとしよう。


 私達が転移した先は研究所の一室のような場所だった。

資料や装置が溢れかえっており、人の気配は無い。

どうやら、このダンジョン内自体に私達以外の人間はいないようだ。

それでも念には念をと、気配を消して周囲を探索していく。


 どうやらこのダンジョンはハルの洋館型のように、一つの建物になっているようだ。

いくつかの研究室以外にも、大量の魔道具が収められた部屋や、ベットの並んだ病室のような部屋まで存在した。



『ルチアとハルは何か気配を感じますか?』


『ううん、何も感じないわ』


『おかしい』

『スライムモドキ』

『きどうじょうたい』

『いるはず』

『それとも』

『つかいきった?』


『少なくとも極端に魔力が消失している様な場所も感じられません。

 ですが、少し薄い所はありますね。

 行ってみましょう。

 きっとそこにあのスライム達が収められていたはずです。

 何かわかるかもしれません』


 私達はスライムモドキの痕跡が残ると思しき場所へと向かった。

そこには、筒状のガラスの容れ物が残されていた。

私が入れそうな程大きなものだ。


 ここでスライム達を産み出していたのだろう。

あの男がスライム達を出すのに勿体ぶっていたのは、数が用意できなかったからなのかもしれない。

既に全ての容器は空になっていた。



『先にカリアさんとお姉さんに相談しましょうか。

 今後の方針を決めるべきですね。

 この研究所を今すぐに撤去してしまうべきか、それとも誰かが戻ってくる可能性を考えて残しておくべきか』


『こうしゃに』

『いっぴょう』

『どうせなら』

『いちもうだじん』


『ええ。私もそれが良いと思います。

 他に居るかはわかりませんが。

 その辺りの事はログでわからないのですか?』


『たぶんむり』

『けど』

『やってみる』


『お願いします』

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