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29-37.相棒の条件

今回もノアちゃん視点のお話です。


『賭けは私の勝ちですね』


『まさか本当にハルが来るなんて……』


『ルチア』

『だれくると』

『おもった?』


『チグサよ』


『いいせん』

『ハルもなやんだ』


『惜しかったのね』


『ハルはどこまで事情を把握しているのですか?』


『ぜんぶ』


『アルカには?』


『いってない』

『けど』

『さっした』


『つまり、ハルはお目付け役なのですね』


『そのいみも』

『ある』


『けど』

『イロハ』

『はんせいしたら』

『ノアにもどす』


『ハルは』

『いちじてき』

『だいやく』


『それはまた、イロハが荒れそうね』


『そのぶん』

『これから』

『あまやかす』

『つもり』

『アルカ』


『イロハの為にならないと思うのだけど』


『どういう事ですか?』


『イロハには必要なのよ。

 私にとってのノアみたいな存在が』


『ああ。そういう事ですか』


『むずかし』

『イロハ』

『ふくざつ』


『そうね。

 でもだからこそだわ』


『そもそもアルカが認めないのでは?

 実際、私との契約すら認めなかったのですから』


『しかたない』

『わるいまじょ』

『とらわれた』

『いやなら』

『じぶんでにげる』

『しかない』


『嫌だと思わせてもくれないくせに』


『せんのう』

『いぞん』

『うちやぶる』

『むずかし』


『ハルも加担しているのではないのですか?』


『しかたない』

『イロハ』

『つよすぎる』

『くびわ』

『ひつよう』


『つまり、私達がイロハに追いつけば良いのですね。

 そうすれば、イロハが自由になれる居場所も増えるのでは?』


『わるくない』

『けど』

『アルカも』

『しゅうちゃく』

『してる』

『イロハ』

『てばなさない』


『厄介な……』


『大丈夫です。

 アルカは抱えきれていませんから。

 イロハが好き勝手していても気付けなかったでしょう?』


『それは大丈夫とは言わないわ。

 それにだからこそ、イロハも安定しないんじゃない』


『そんなに心配せずとも、何れ落ち着きます。

 私もいっぱいアルカに泣かされました。

 けれど、それでも幸せに生きています』


『ノア、それは違うわ。

 妥協しただけよ。

 本当に望む幸せを掴んだわけじゃないわ。

 元々はノアがアルカの相棒だったのよ。

 ハルにその居場所を取られて悔しくないの?

 そんなわけないわよね?

 アルカの相棒はノアだけのものでしょ?

 本当は何をしてでも取り戻すべきなのよ。

 例えハルやセレネと争ってでも、アルカを独り占めするべきなのよ。

 ノアにはその資格があるの。

 そんなちっぽけな幸せなんてノアには似合わないわ。

 ノアが動かないのなら、私が勝手にやるわ。

 ノアにアルカの一番を取り戻させる。

 絶対に妥協なんて許さない。

 目一杯の幸せを与えてみせるわ』


『大丈夫ですよ、ルチア。

 足りない分はルチアが補ってくれているんです。

 セレネもいます。

 リヴィもいます。

 ハルだって、ニクスだって、私を愛してくれています。

 だからこそ、ルチアもイロハには他の誰かが必要だと思ったのでしょう?』


『それは……そうだけど……でも』


『確かにアルカの相棒としての役割は終わってしまったのかもしれません。

 ハルに奪われてしまったのかもしれません。

 けれど、それはまた何れ戻って来るものです。

 再び私がアルカの相棒となれる日も来るはずです。

 その時ハルは、無理やり取り上げたりはしないはずです。

 だから私は努力し続けるのです。

 アルカの隣に居続けられるように。

 アルカを守れるように。

 何れはハルの事も超えて、相棒の立場を奪い取るのです。

 真正面からぶつかって、競い合うのです。

 私はそれが出来ると信じているのです』


『いつでも』

『ちょうせん』

『うけてたつ』


『はい。正々堂々勝ってみせます』


『たのしみ』


『なによそれ……』


『だから、ルチアも努力を続けて下さい。

 私の今の相棒はルチアです。

 けれど、他の誰かがルチアの居場所を奪い取りに来るかもしれません。

 ルチアは必ず守り通して下さい。

 私が目移りしないよう、釘付けにして下さい』


『当然よ!

 例えイロハにだって譲ったりはしないわ!

 いえ、イロハどころか、アルカにだって渡さないわ!

 アルカより私の方が相応しいのだと証明して見せる!』


『その意気です』


『そうよ!

 アルカが頼りにならないなら私が幸せにすれば良いのよ!

 どうしてこんな簡単な事に気付かなかったのかしら!

 アルカだけじゃないわ!

 セレネにだって負けないんだから!』


『それはむぼう』


『セレネに宣戦布告するのは止めてくださいね?

 そんな事をすれば、ルチアが取り込まれかねませんよ?』


『きょうい』

『アルカいじょう』


『私が負けると思ってるの!?

 信じてくれないの!?』


『いえ、そういう事ではなくて』


『セレネ』

『だいこうぶつ』

『そういうこ』


『ルチア』

『ねらわれる』


『靡くわけ無いじゃない!』


『無理ですよ。

 ルチアではセレネには勝てません。

 そうでなくとも、向こうにはアウラがいるのです。

 どうか無謀な真似は止めて下さい。

 ルチアまでセレネに取られたら立ち直れません』


『何なのよ!そのセレネへの信頼は!?』


『しかたない』

『ノアとセレネ』

『いっしんどうたい』


『ハルとアルカ』

『ルチアとアウラ』

『みたいなかんけい』


『それはわかってるけど!』


『お願いです、ルチア』


『わかったわよ……』


『いっけんらくちゃく』

『そろそろもどる』

『ギルドに』


『本当に全部把握しているのですね。

 もしかして、フィリアス全員の動向を監視しているのですか?』


『かんし』

『ひとぎきわるい』

『かんさつ』

『くらい』


『どっちも変わんないわよ!』


『むむ』


『ハルもやりたい放題ですね。

 まあ、イロハはともかく、ハルの事は咎められませんが』


『しかたない』

『あんぜんのため』

『かぞくのだれか』

『なにかあったら』

『アルカかなしむ』


『ハルの役割は理解しています。

 アルカに内緒にしてくれているのも知っています。

 文句は言いませんよ』


『りかい』

『かんしゃ』


『ハルも大概働き過ぎよね。

 アルカの側に居る為には必要な事なのかしら。

 働けば働くだけ、アルカの側にはいられないのに』


『マルチタスク』

『よゆう』


『それって、なんだか心だけ老け込んでしまいそうね』


『ふけ!?』


『ダメですよ、ルチア。

 そんな言い方はいけません』


『元々六百年も生きてるんだから今更じゃない?』


『ルチア』

『てつだう』

『いちわり』

『まかせる』


『無理に決まってるでしょ!

 自分が無茶苦茶やってるって自覚しなさいよ!』


『もしかして、フィリアスだけで十人以上は観察しているんですか?』


『違うわ、ノア。

 アルカ世界の子達も見ているし、観察だけじゃないの。

 アルカネットのセキュリティ管理や、機能の改修作業もしながら、シイナやニクス達と悪巧みまでしてるのよ』


『ルチアえらい』

『よくみてる』

『たりないけど』


『でも』

『みどころある』

『そだててみる』


『絶対!嫌!!』


『もしかして、私と戦った時も裏でその作業をしながらだったのですか?』


『いえす』


『……』


『こころおれた?』


『そんなわけ無いでしょ!

 無いよね!?』


『いえ、先は長いですがやりがいはあります。

 ハル、その作業は私にも手伝えますか?』


『いちぶかのう』


『本気!?』


『ええ。

 ハル、私にも教えて下さい』


『おけ』

『びしばしいく』


『というか、それが出来るなら、わざわざ付いてこなくても良いんじゃない?

 どうせ監視しているんだし、何かあったら転移してくれば良いじゃない』


『ダメ』

『ノアかルチア』

『みてないものは』

『みえない』


『そばにいる』

『ひつよう』


『私達はまだまだ力不足だって言いたいのね。

 なら良いわ、私もやってやろうじゃない!』


『どんとこい』

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