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29-36.優柔不断

 イロハと契約する前に、アルカに確認の為に念話を繋ぐ。



『アルカ、イロハと契約を結びたいのですが良いですか?』


『イロハと?

 誰が言い出したの?』


『イロハ本人です』


『ごめん、その契約は待って欲しい。

 イロハを一度私の方に戻してくれる?』


『ええ。

 もちろん、それは構いませんが』


『仕方ないわね』


 渋々、イロハはアルカの下へ転移した。



『ふふ。

 アルカも意外と見ているんじゃない』


『どういう事ですか?』


『イロハとの契約は無くなったって事よ』


『アルカが止めると?

 何故ルチアはそう思うのです?』


『それは内緒よ。

 ただ、イロハは色々と不器用なの』


『やはり本意では無かったのですね』


『ノアも気付いていたの?』


『なんとなくですが』


『今日はもう帰ってこないかもね。

 代わりに誰が派遣されるか予想してみましょうよ』


『楽しんでます?』


『ええ。少し嬉しいの。

 アルカがイロハをちゃんと見ていてくれた事が。

 さっきは失礼な事を言ってしまったわね』


『イロハの事は嫌いだったのではないのですか?』


『そうね。

 あまり好きではないわね。

 けれど、なんだか可愛くも思えてきたわ』


『今のルチアは、私とイロハが契約しても良いと思っているんですか?』


『ええ。

 一緒に可愛がってあげましょう。

 きっと楽しめると思うわ』


『そんな事ばかり言って調子に乗ってると、またやり込められますよ?

 何にせよ、イロハの目論見通り契約しようとしたのは事実なのですから』


『まるで聞いていたみたいに言うじゃない』


『イロハの事はわかりませんが、ルチアの事はわかりますから』


『流石、私のノアね』


『セレネだけでなく、アルカにも似てきました?』


『勘弁して』







----------------------






『イロハ、洗いざらい吐きなさい。

 何が目的?

 これは命令よ』


『初手から随分な扱いじゃない。

 私がノアに危害を加えるとでも思うの?』


『いいえ。

 ノアちゃんは関係ないわ。

 目的は私の為であるはずよ。

 その為に、ノアちゃんと自分自身を利用しようとしただけよ。

 その程度の事、わからないわけがないでしょ。

 いいから吐きなさい』


『ぐっ』


『我慢しても無駄よ。

 隷属契約の命令は破れないわ』


『抑え込む事くらいは出来るみたいよ』


『いつまでその強がりが続くのかしらね』


『どうしてそんなに口を割らせたいの?

 私の想いを信じてくれないの?』


『信じているからこそよ。

 イロハに自己犠牲なんてさせるつもりはないわ。

 あなたは私のものなの。

 私の許可なく他の誰かのものになんてなれるわけがないでしょ。

 それは例えノアちゃんのものだって同じよ。

 例え、イロハにその気がなくたって認めないわ』


『そう、嬉しいわ。

 けれど、ごめんなさい。

 口を割るわけにはいかないの。

 ノアを一方的に裏切るような真似は出来ないわ』


『ノアちゃん?

 ノアちゃんも私に隠し事をしているのね。

 その企みを何かに利用しようとしているの?

 だから話せないのね。

 なら良いわ。

 さっきの命令は解除します。

 その代わり、イロハは謹慎よ。

 このまま私に同化して過ごしなさい。

 私が良いと言うまで外に出る事は認めないわ。

 私世界もダメよ。

 同化状態を継続しなさい。

 これは命令よ』


『……わかったわ。

 まったく。困ったものね。

 こんな時だけ鋭いのだから』


『憎まれ口を叩くほど悔しいの?

 よっぽどその計画に未練があるみたいね。

 やっぱり詳しく聞き出すべきかしら』


『約束が違うわ』


『そうね。

 気になるけれど、仕方ないわね。

 それにしても、代わりに誰を送ろうかしら。

 またイロハみたいに悪巧みされても困るのだけど』


『けど』

『ラピスたち』

『いみない』


『そうよね。

 ルチア以上の子じゃないと』


『ハルがいく?』


『それしか無いのかしら。

 でもなぁ……』


『そもそも、ノアが受け入れないでしょ。

 アルカに内緒で行動しているのだもの』


『むしろそういう意味でも、ハルちゃんが一番安心できるのだけど』


『ある程度長期で派遣できる子にするべきよ。

 ノアの企みに付き合わせたいならね』


『とりあえず』

『ハルがいく』

『イロハ』

『はんせいしたら』

『こうたい』


『私は構わないわ』


『うぬぬ』


『そこまで渋られると流石に傷つくんだけど。

 私の事はあっさり送り出したくせに』


『あ!ごめん!イロハ!

 違うのそうじゃないの!』


『ちがうの?』


『あ!いや!違くもなくて!』


『どっちなのよ。

 私の事もハルと同じように愛せるの?愛せないの?

 この際だからハッキリしなさい』


『もちろん愛せるわ!』


『ハル』

『とくべつ』

『じゃないの?』


『もちろん特別よ!』


『『どっち!!』』


『そんな事言われたって~!』

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