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29-28.契約

 結局、ハルちゃんの言葉巧みな?若干強引な誘導により、遂にノアちゃんが折れた。

ノアちゃんはリヴィと私の契約を認めてリヴィを呼び出した。



「ありがと!ママ!

 だいすき!」


 大喜びしてノアちゃんに抱きつくリヴィ。



「リヴィはリヴィのままでいて下さいね。

 契約でおかしな事になったら、すぐに解約して貰いますからね」


 そんな携帯電話みたいな……



『そのときは』

『いやくきん』


「やめなさい」


「アルカ!」


「おいで、リヴィ」


「うん!」


 私はリヴィを抱き上げて、リヴィに指を咥えさせる。



「ちがう」

「そうじゃない」


 実体化したハルちゃんがリヴィの咥えていた指をぶんどって自分で咥え、血を吸い出してから、リヴィに口づけした。

その直後、リヴィの体が光りに包まれる。



「何でハルがキスしてるんです?」


「口移しで血を飲ませたの」


 光が収まると、少し成長したリヴィの姿があった。

何時もの背中の翼と尾が消えている。

レーネと同じように、完全人化がおきたようだ。


 リヴィの体は力に溢れている。

私との繋がりもある。

契約は滞りなく完了した。

しかも更新バージョンの方だ。

流し込む力の量も抑えてある。

それにも関わらず、リヴィの姿には変化が産まれていたのだった。



「リヴィ、悪いところはありませんか?

 いつもの姿には戻れますか?」


「いつもの?」


「はい、今のリヴィは五歳くらいに見えます。

 自覚はありませんか?」


「う~ん?

 わかんな~い」


「そうですか……

 大丈夫なのでしょうか」


「もんだいない」

「ちからのりょう」

「さいていげん」


「よていどおり」


「ごめんね、ノアちゃん。

 力の流入量、これ以上は抑えられなかったみたい。

 リヴィの基本の姿は変わってしまったけれど、リヴィは変身魔法だけでなく、自力で成長段階も操作できるから、今までの姿に戻る事もできるはずよ」


「もどる?」


「いえ、リヴィが一番楽な状態でいて下さい。

 変身できるのにあの姿で居続けたのはそれが理由なのですよね?」


「うん!

 いまはいまが、いちばんらく!」


「そうですか。

 少し寂しいですが、この程度の変化ならば許容するとしましょう」


「ママがやなら」


「大丈夫ですよ、リヴィ。

 嫌だとかそういう事では無いのです。

 今のリヴィもとっても可愛いですよ」


「ママ!」


 リヴィがノアちゃんに抱きついた。

そんな微笑ましい光景を眺めながら、つい別の事を考えてしまう。

このまま力の流入量を増やせば、リヴィもノアちゃん達に追いつくのかしら。

そうしたら、ノアちゃんとセレネとリヴィの三人で三つ子みたいになるのかしら。

なにそれ天国?

今度試してみましょう。

多分、流入量を絞り直せば元に戻るでしょ。


 それにしても、リヴィの服も買い直さなきゃ。

いっそシーちゃんに作ってもらおうかしら。

けれど、こちらの世界にナノマシンをバラ撒くのはマズイわよね。

私世界の中なら別にいいのだけど。


 やっぱり、普通の服を買いに行きましょう。

明日、レヴィ達も連れて、少しだけ出かけましょう。

カノンが服を買ってきてくれたから、レヴィ達にはもう必要はないけれど、折角だからショッピングを楽しむつもりで、一着くらいならいいわよね。


 あれ?

今更だけど、リヴィとの繋がりってなんか妙ね。

力のパスだけじゃなくて、本来の方のパスが弱い。

薄いと言うか、細いと言うか……



『せーふてぃ』


『ハルちゃんがなにかしたの?』


『いえす』


『ノアちゃんの為に、リヴィに変化が起きないように調整してくれたのね』


『そう』


『ありがとう。

 様子を見ながら、少しずつ緩めていくとしましょう』


『おけ』


「アルカ!」


「なあに、リヴィ?」


「ありがと!」


 今度は私に抱きつくリヴィ。

私もリヴィを抱き上げて、思いっきり締め付ける。

きゃっきゃと笑うリヴィ。かわいい。



「乱暴すぎませんか?」


「リヴィが好きなんだもん」


「リヴィもアルカすき~!」


 違うそっちじゃない。締め付ける方。

けど嬉しい!私もリヴィ大好き!

私はそんな気持ちを込めて、更に抱きしめる力を強くする。

リヴィも負けじと、私を強く抱きしめる。



「何を張り合っているのです?」


「ノアちゃんもやってみる?

 先に耐えられなくなった方が負けよ」


「そんなルールだったのですか?」


「いえ、たった今なんとなく付け足しただけよ」


「浮かれすぎですよアルカ」


「ママもやる!」


「どうぞ、リヴィ」


 両手を広げたノアちゃんに、再びリヴィが飛びついた。

そのまま、本当に締め付け合戦を始める二人。

大騒ぎし過ぎたせいか、リヴィの笑い声に何事かと、アリアとルカとレーネも現れた。


 少し成長したリヴィにも特に驚く様子もなく、アリア達も混ざって騒ぎ始める。

普段から度々変身していたので、リヴィの姿が変わる事には慣れているらしい。

今後は基本的にこの姿だという話はあっさり受け入れられた。



「でも残念ね。

 リヴィの翼はすべすべで気持ちいいのに」


「じゃ!はやす!」


 リヴィがそう言うなり、翼と尻尾が出現した。

生えてきたというより、出現だ。

多分変身魔法か人化というか、竜化の一種なのだろう。

ハルちゃんが私の中から飛び出し、興味深げに触り始めた。

ハルちゃんも本気で竜化するつもりらしい。

それはそれで見てみたいかも。

真っ黒な翼と尻尾が生えたハルちゃんとか、絶対かわいい。



「ハル!横から入ってくるなんてズルっ娘よ!

 私も触る!」


「ルカも」


「私はアルカ様を」


「カモン!レーネ!」


 今度はレーネを優しく抱きしめる。

各人の好みはバッチリ把握しているのだ。



「もっと強くしてくださいませ」


 あれ?

今日は最初からそっち?


 私はレーネの要望に応えて思いっきり抱きしめた。

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