29-26.感謝
「ノアちゃん!お帰り!
どうだった?」
私達がニクス世界に戻って部屋で寛いでいると、帰宅したばかりのノアちゃんが訪れた。
「落ち着いてください、後で話しますから。
レヴィ達の前で話すことでは無いでしょう」
「そうよね!ごめんなさい!」
「アルカこそどうしたのですか?
随分とテンションが高いようですが」
「ふっふっふ!」
「なんか面倒そうなので、先に夕飯の支度を始めますね。
リヴィ、手伝ってください」
「うん!
いいこにしてた!
おてつだいもいっぱいする!
だからけいやく!
おねがい!ママ!」
「その話ももう少しだけ待っていて下さい。
夕飯の後に話し合いましょう」
「うん!
やくそく!」
「はい、では行きましょう」
ノアちゃんはリヴィを連れてキッチンに向かった。
私の部屋には、私とレヴィとルビィだけが残っている。
シーちゃんは私世界に残り、ハルちゃんとメアちゃんは私に同化している。
「お母さん」
「どうしたの、レヴィ?」
「お腹いっぱい……」
「あらら。
お菓子を食べ過ぎてしまったのね。
大丈夫よ、何時でもお腹が空いた時に食べられるようにしてあげるわ。
ルビィはどうする?」
『たべる』
「わかったわ。
とりあえず予定通りに準備してもらうわね。
ふふ。レヴィも美味しいごはんを前にしたら食べたくなってしまうかも」
「うん。
お昼、美味しかった」
「そうよね!
ノアちゃんの作るご飯は最高なのよ!
今度、ノアちゃんに言ってあげてね!」
「うん。
ありがと、言いたい」
「ふふ。レヴィは良い子ね~!」
私はレヴィを抱き上げてクルクル回る。
私のテンションに着いて行けず、目を白黒させるレヴィ。
あかん、もう少し落ち着こう。
私がレヴィを降ろすと、ルビィが私に向かって両手を上げた。
次はルビィの番らしい。かわいい。
私はルビィを抱き上げてクルクル回る。
暫く続けてからルビィを降ろすと、フラフラと歩いてベットに倒れ込んだ。
仰向けにひっくり返すと、笑い転げながら、私の腕にしがみついた。かわいい。
ルビィとイチャイチャしていると、レヴィも私の腰に抱きついた。
私はレヴィも捕まえてベットに放り込み、二人まとめてくすぐり倒した。
暫くそんな事を続けていると、ノアちゃんが再び現れた。
どうやら、夕飯が出来たようだ。
「随分と賑やかでしたね」
レヴィもルビィも大笑いし続けて、息も絶え絶えだ。
二人の笑い声は部屋の外にまで響いていたらしい。
「リヴィのお陰で、二人とも随分と元気になったわ」
「それは何よりですが、やりすぎないでくださいね?
弱った幼子に付け込むような真似は許しませんよ」
「何でもかんでもそっちに結び付けないでよ」
「よく言えますね。
自分の行いを少しは省みて下さい」
「そんな事したかしら」
「まったく……
もういいです。
こんな会話は二人の教育に良くありません。
それより夕飯の時間です。
わかっていたのですから、先に片付けておいて下さい」
ノアちゃんはそう言いながら、こたつテーブルに出しっぱなしだったオセロ盤を片付けていく。
私も慌てて、周囲の物を収納空間に放り込む。
それから、ノアちゃんが収納空間から取り出した食事を配膳していく。
付いてきていたリヴィも手伝ってくれた。
夕食の準備が済むと、レヴィが前に出た。
「あ、あの」
「どうしましたか、レヴィ?」
「ありがとう、ございます。
ごはん、おいしかった、です」
『ありがと、ござます』
レヴィに続くルビィ。
ノアちゃんはそんな二人の頭を撫でながら、言葉を返した。
「はい、こちらこそありがとうございます。
そう言ってもらえて嬉しいです。
二人とも良い子ですね。
夕飯も美味しく出来ましたので、楽しんでくださいね」
『「うん!」』
「ノアちゃんも一緒にどう?」
「折角ですが、まだ皆の分も準備する必要がありますから」
「そうよね、ごめんなさい。
無理を言ったわね」
「謝られるより、感謝されたいです」
「いつもありがとう、ノアちゃん。
美味しい食事を作ってくれて」
「はい」
ノアちゃんはリヴィを引き連れて戻って行った。
リヴィはまだ向こうを手伝うようだ。
リヴィもいつもありがとう。
「さて、ご飯にしましょうか、二人とも」
『「うん!」』
私は昼食の時のように、ルビィを膝に乗せて食べさせようとするも、ルビィは自分で食べると言って、隣に座った。
満腹だと言っていたレヴィも、取り敢えず夕飯に手を出し、結局完食したのだった。




