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29-22.開拓

「カモン!シーちゃん!メアちゃん!アリス!」


 ルビィとレヴィがじっくりと話合い、落ち着いた所で、少し人数を増やして遊んでみることにした。

今後関わる時間の長い、ルカやエリスに参加してもらう方が望ましいのだけど、あの子達はまだ訓練中だ。

他に精神年齢の近そうなクルルは少し落ち着きが足りない。


 レヴィとルビィの事を考えるなら、いっそお姉さん属性のラピスやアリアに頼むのも良かったかもしれない。

まあ、とりあえず様子を見てから改めて考える事にしよう。


他の子を呼ぶこと自体が時期尚早の可能性も無いではない。



「レヴィ、ルビィ、この子達も私の娘達よ。

 仲良くしてあげてね」


「……」


 あれ?レヴィ?



『びっくり、いっぱい、でた』


「ああ!ごめんね!驚かせちゃったのね!

 そうよね!

 えっと、この子達は普段、私の中に住んでいるのよ」


「なか?」


「ちょっと説明が難しいのよね……

 今度、連れて行ってあげるわ。

 きっと二人も楽しめるわよ。

 面白いものがいっぱいあるんだから」


『いって、みたい』


「今から?

 レヴィも?」


「……?」


 頭にはてなマークを浮かべたまま首を傾げるレヴィ。

反して、ルビィは期待に満ちた表情だ。

知識や常識がある分、レヴィの方が受け入れ難いのだろう。


 どうやらルビィは、素直に信じているらしい。

もしかしたら先に念話を使ったのが大きいのかもしれない。

不思議な事があっても、そういう事で納得できるのかも。

単に不思議な事だともわかっていない可能性もあるけど。



「じゃあ少しだけ行ってみましょうか。

 言葉だけじゃ上手く伝わらないでしょうし」


「……うん」


『レヴェ、いっしょ』


「うん、ルビィが行くなら」


『ありがと!』


 ルビィに頼まれると、レヴィはあっさりと覚悟を決めた。

お姉ちゃんは妹に甘々だ。



「じゃあ、皆も折角出てきてもらった所悪いけど」


「小春!折角なら船の外にも行ってみない?」


「なんで?」


「いいから!」


「何か作ったの?」


 まだ、だだっ広い土地が広がっているだけのはずだ。

畑とかも作るつもりではいるけど、結局放置している。

クレアの呼び出しの件があったので、物資調達の話も保留になってしまった。



「見てからのお楽しみ!」


「まあ、良いけど。

 今後もアリスに全部任せるから、好きに開発して構わないわ」


「見てからでなくても良いのですか?」


「シーちゃんも協力してるんでしょ?

 見てて不安な要素でもあった?」


「いえ、特段問題は無いです。

 発案者はアリスですが、ニクス達も含めた皆で協力しましたから」


「二人とも!お楽しみって言ってるでしょ!」


「はいはい、ごめんね、アリス。

 さて、じゃあ行きましょうか」


 私はその場にいた全員を私世界に連れ込んだ。

リヴィ、ルビィ、レヴィ、シーちゃん、メアちゃん、アリス、そして私の中に残っていたハルちゃん。

そうイメージしただけで、あっさりと移動が完了した。


 先ずは船の甲板に降り立った。

アリスが見せたがっている物を拝見するとしよう。

それに、ヴィビィ団の三人には初めて私世界を見せる。

ここからの景色が手っ取り早いだろう。



「あれ?」


「ふっふっふ~!

 驚いてるね!小春!」


「シーちゃん、頑張ったのね」


「はい。

 アリスは道具使いが荒いです」


「ごめんね、シーちゃん。

 ありがとう」


「いえ、問題ありません、マスター。

 マスターが喜んでくださるのであれば甲斐があります」


「なんでシイナばっかりなの!?

 私も頑張ったよ!

 小春に喜んでほしくていっぱい考えたんだよ!」


「ごめん、アリス。

 嬉しいわ。アリスの気持ちもちゃんと伝わってる。

 ありがとう、アリス。

 これからもよろしくね」


「うん!

 けど、まだその感想は早いよ!

 もっと凄いとっておきがあるんだよ!」


「まあ、うん、そうね。

 この光景を見れば想像は付くわ」


「え!?」


 アリスとシーちゃんは、既に一つの町を創り上げていた。

その町は、私とお姉ちゃんが住んでいた場所だ。

きっと私の記憶だけでは足らず、お姉ちゃんの記憶からも情報を集めたのだろう。

それでも、なんとなく見覚えがある。

以前、お姉ちゃんに見せてもらった記憶の中の高台の光景とも一致する。

どうやら、船の位置がその高台になるように配置されているらしい。

それも含めて、私を喜ばせたいと思っての事なのだろう。


 なんだか驚きすぎたのか、上手く感情が動いていない。

まあ、レヴィ達の前で泣き出すわけにもいかないから都合が良いのだけど。


 レヴィもルビィも、リヴィすらも驚きに固まっている。



『おそと?』


 いち早く立ち直ったルビィ。

もしかして、家の中から出ただけだと思ったのかしら。

私世界の事は、やっぱり上手くイメージ出来ていなかったのだろう。



「ふふ、そうね。

 先に靴を履かなきゃね」


 私の意図を察して、シーちゃんがナノマシンを皆に纏わせて靴を産み出してくれる。

そこでまた驚くルビィと、最早驚きすぎてなんの反応も示さないレヴィ。

大丈夫かしら、気絶してない?

既に慣れたらしきリヴィが、レヴィの手を引いて反応を確かめている。



「レヴィ、大丈夫?

 これから下の町に降りてみようと思うのだけど、止めておく?

 怖かったりしたらすぐに言ってね。

 我慢しなくていいからね」


「……うん、大丈夫」


 私はルビィを抱き上げてから、レヴィの手を握り、町中に転移した。

アリスを先頭に、リヴィ、私達、ハルちゃん、シーちゃん、メアちゃんと続いて歩き出す。


 まるで幼稚園のお散歩みたいね。

町の中の人達まで再現されていなくてよかったわ。

不審者として通報されかねないもの。

まあ、そんな風に思うのは私がやましい事を考えているからなのだろうけど。

いや、今は考えてないけどね。


 そうして暫く歩いて行くと、予想した通り、アリスは見覚えのある家の前で立ち止まった。

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