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29-20.念話

『ちょっと』

『でてくる』


『は~い』


 ハルちゃんが私の中から消えた。

珍しい。わざわざ告げてから行くなんて。

割とハルちゃんはその辺りいい加減だ。

若干、傍若無人気味なところがある。



『うるさい』


 わざわざ念話を飛ばしてくるハルちゃん。

相変わらず私の思考はダダ漏れだ。

こうして常に繋がっているからこそ、何時でも離れられる。

まあ、フィリアス達からの一方通行だけど。

私もハルちゃんの心の中見てみたいな~

でも、ノアちゃんにダメって言われてるしな~



『ハルはいい』

『いつでもみせる』


『用事は良いの?』


『マルチタスク』

『よゆう』


『なにしてるの?』


『ないしょ』


『心見せて』


『ノアのきょかでたら』


『ハルちゃん、それはズルいわ。

 いつでも見せるって言ったじゃない』


『しかたない』

『みせられなくて』

『ざんねん』


『意地悪ね』


『そんなことより』

『アルカはしゅうちゅう』

『マルチタスク』

『へた』


『は~い。

 意地悪ハルちゃん』


『すきなこ』

『いじめたくなる』


『ハルちゃんが好きなのは虐められる方でしょ?』


『あとでね』


 ハルちゃんから念話が途絶える。

後で意地悪されたお仕置きしてあげなくちゃ。

奉仕の間違いかもしれない。


 あかん、ルビィを抱っこしたまま考える事じゃない。

集中、集中。



「ル~ビィ~」


 私が呼びかけると、私を見上げて笑顔を浮かべるルビィ。

かわいい。


 リヴィとレヴィがオセロをしている傍らで、私とルビィは二人の勝負を観戦していた。


 リヴィはよく、ルネルと遊んでいる。

どうやらオセロだけでなく、将棋の相手までさせられているようだ。

三歳児になにさせてるのかしら、あのおばあちゃん。



『おまいう』


 いやまあ、そうだけどさ。



 レヴィもすっかりオセロが気に入ったらしい。

中々白熱した試合展開だ。

これって、リヴィが接待プレイしてるのよね?

恐るべし、三歳児。


 ニクス曰く、潜在能力だけなら私達の中で最高らしい。

人間組だけでなく、フィリアス達すら上回る可能性がある。

元はただのグリーンドラゴンの子供だったのに。


 神獣化との相性がよっぽどよかったのだろう。

しかも、リヴィは未だ私と契約を結んでいない。

卵の時に自力でセレネやノアちゃんの力を取り込んで神獣化したのだ。


 ドラゴンが神獣化した存在であるリヴィは、力だけでなく知能も優秀だ。

しかも、ルネルとの将棋でも鍛えられているはずだ。

その知能をオセロの接待プレイに使っていると言うのは、何とも平和な話だ。


 二人はギリギリの所で勝って負けてを繰り返し、何度も続けていく。

リヴィの演出が上手すぎて、あれよあれよと乗せられたレヴィは、あっという間に無邪気に笑えるようになっていた。

そんなレヴィを見て、リヴィもルビィも笑っている。

なにこれ天国?



『ただいま』

『じゃました?』


『そんなわけないじゃない。

 結構長かったわね。

 どうしたの?』


『ないしょ』


『仕方ないわね』


『あとでおしえる』

『アルカ』

『きっとよろこぶ』


『サプライズプレゼント?』


『ちかい』


『何かしら。気になるわ』


『おたのしみ』

『レヴィとルビィ』

『げんきなったら』

『ごほうび』


『頑張るわ』


『リヴィにごほうび?』


『そうかも。

 私よりすぐに笑顔にしてくれたわ』


『そんなことない』

『アルカが』

『すこしずつ』

『げんきにした』

『からこそ』


『じゃなきゃ』

『そもそも』

『オセロしない』

『たのしめない』


『アルカとリヴィ』

『ふたりのせいか』


『ふふ、ありがとうハルちゃん。

 けれど、別に拗ねているわけじゃないわ。

 ただリヴィは凄いなって思っただけよ』


『そう』

『だね』


『ルビィの方はどうしようかしら。

 先ずは言葉を教えてあげたいのだけど』


『けいやく』

『する?』


『それで、フィリアスの誰かに中から教育してもらうの?』


『そう』


『たしかに手っ取り早そうだけど、もう少し普通の方法が良いと思うのよね』


『なら』

『だいにあん』

『ねんわする』


『先に念話で話してみるのね。

 確かにそれなら、声の出し方がわからなくても、意思の疎通ができるわね。

 ナイスアイディアよ、ハルちゃん』


『えっへん』

『さっそく』

『ためす』


 私はルビィに念話魔法をかける。

念話魔法は術者が相手にもかけておけば、相互に念話で語りかけられるようになる。

魔法が使えない相手でも何ら問題はない。



『ルビィ』


「!?」


 驚いて私を見上げるルビィ。

かわいい。



『ル~ビィ~』


『まじめにやる』

『はなししてみる』

『でしょ?』


「!?」


『ハルちゃん、急に話しかけたら驚いてしまうでしょ。

 ルビィ、突然ごめんね。

 今は魔法で話しかけているの。

 思っている事を強く念じてみて。

 私に伝えたい事があれば、そう意識してみて』


『……おかーさん?』


『うん!ルビィのお母さんよ!

 ママって呼んでも良いのよ!

 アルカでも良いわ!』


『!?』


『アルカすてい』


『ごめんね、ルビィ。

 嬉しくてつい……』


 笑顔を向けてくれるルビィ。

やさしい。



『おかーさん、あのね』


『うん!なに?

 ルビィ?』


『やさし、して、ありがと。

 なまえ、うれし』


「ル~ビィ~!!!」


「「「!?」」」


『おばか』

『すてい』

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