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29-8.調査

 私はルネルと共に少女達を連れて自宅に戻った後、二人を家族に任せてエルフの国がある森へと転移した。


 転移した先には、レヴィの記憶で見た通りの惨状が広がっていた。

手がかりを求めて、覚視と探知魔法でレヴィの母の痕跡を探していく。



『これなんだと思う?

 とりあえず、人間が奴隷にでもしようと襲ってきたとかではなさそうね。

 破壊の規模が大きすぎるわ。

 大型の魔物かしら』


『それにしては』

『へん』

『てっていしすぎ』


『そうね。

 まるで破壊そのものが目的だったみたいに、何もかも壊されているわ』


『エルフにしては』


『妙よね。

 こんな森の中にどうやって建てたのかしら。

 森に住むエルフは木をくり抜いて家にするけど、これは明らかに人間が建てたものよね』


『うん』


『それに血痕の類が見当たらないわ。

 戦闘の痕跡はあるのに。

 長老にもレヴィの記憶を共有して母親の事を聞いておくべきだったかしら』


『たぶんむり』

『ちょうろう』

『なにもいわなかった』

『いわなすぎた』

『はなすき』

『ないかも?』


『私が話を進めちゃったからじゃなくて?』


『たぶんちがう』


『しらべてない』

『はずない』


『くにのちかく』

『おおきなきょうい』

『かもしれない』


『だからなにか』

『しらべたはず』

『しってるはず』


『それに』

『アルカでも』

『くにのしゅうい』

『さぐらせる』

『のぞましくない』


『きっと』

『いえること』

『いうはず』


『さいていでも』

『くぎをさす』

『はず』


『そうね。

 ルネルも私の考えは察していたでしょうに、引き止めるどころか、何も言わなかったわ。

 むしろ調べて欲しいのかしら』


『かもしれない』


『とはいえ、手がかりが無さ過ぎるわね』


『あさになってから』

『またくる』


『一刻も早く探すべきじゃないかしら。

 もしかしたらまだ』


『ありえない』

『じけん』

『ずっとまえ』


『もう』

『ひとつき』

『くらいたってる』


『それに』

『エルフたちも』

『さがしたはず』


『じょうほうげん』

『だから』


『それはわかるけど……』


『ニクスにたよる?』


『そんなわけにいかないでしょ。

 前回ので最後って言われているのだし』


『アルカがほんきで』

『なきつけば』

『ニクスやってくれる』


『ダメよ。

 ニクスがダメだと言う理由をわかっていてそんな事出来ないわ』


『なら』

『しかたない』

『まんぞくするまで』

『しらべる』


『ハルもつきあう』


『ありがとう。

 二人が起きる前には戻りたいから、少し急ぎましょう』


『がってん』


 私は空中に飛び上がって、探知をかけながら森の中を探っていく。

あれだけの破壊があったのだから、相手は相応の巨体を持つのかとも思ったが、どうやらそうでも無いようだ。

少なくとも、移動の痕跡は見つからない。

ドラゴンのように空を飛ぶ相手なのだろうか。

それにしてはピンポイント過ぎる。

そんな目立つ足跡の類も見当たらない。

人間サイズの何者かが、爆撃魔法でも使ったという方が納得できる。


 それをしたのはレヴィの母親だろうか。

エルフならば、それだけの力を持っていたとしても、なんらおかしな事ではない。

外の世界に興味を持つような者なら尚更だ。

何の伝も無く生きていくなら、力を持つのが手っ取り早い。

それに、少なくともこの森で幼い娘を連れて生きていける程度の強さはあるはずだ。



『じぶんできえた?』


『流石にそれは無いでしょ。

 レヴィの記憶では確かに優しいお母さんだったもの。

 娘を放りだして何をするって言うのよ』


『レヴィたちぶじ』

『おかしい』


『このもり』

『まものいる』


『くにと』

『きょりもある』


『はは』

『まもってた』

『なら』

『なっとく』


『影から守りながら送り届けたの?

 エルフの国に保護されるように?

 あり得ないとまでは言えないけど、突飛すぎない?』


『けど』

『こんせきない』

『なさすぎ』

『おかしい』


『じぶんで』

『けした?』


『それは……

 やっぱり何か納得いかないわ。

 それなら、誰かレヴィのお母さんを襲った何者かがそうしたって方がまだ理解できなくもないの。

 レヴィの記憶を見る限りはね』


『おもいこみ』

『ダメ』


『レヴィのきおく』

『ねつぞう』

『かのうせいもある』


『そこまでする?

 エルフ達なら記憶を覗くくらいは出来るかもしれないけど、何か目論見があるにしても回りくどすぎない?』


『やっぱりすぐかえる』

『レヴィのほう』

『しらべるべき』


『そういう事なら、お姉ちゃんに頼みましょう。

 イロハ、行ってきてくれる?』


『任せて』


 イロハの気配が私の中から消えた。

早速お姉ちゃんの下へ向かってくれたようだ。


『むう』

『アルカがんこ』


『ごめんね。

 ハルちゃんもいっぱい考えてくれてるのに言う事聞いてあげられなくて』


『いい』

『あやまるだめ』

『ハル』

『アルカのもの』


『アルカのいし』

『ゆうせんする』

『とうぜん』


『けど』

『それはそれ』

『いけんはいう』


『ちゅうこくも』

『する』


『アルカのかんがえ』

『ひていする』


『そんなときもある』


『でも』

『アルカのけってい』

『さいごはしたがう』


『がんばれ』

『アルカ』


『うん。ありがとう、ハルちゃん。

 もう少しだけ付き合ってね』


『がってん』

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