29-5.帰宅
私達は朝食を済ませた後、自宅に帰宅した。
王子とマルセルさんまでわざわざ見送りに現れ、エリスは皆にもみくちゃにされてから送り出されたのだった。
流石にそろそろ大げさすぎない?
本当に今晩には帰ってくるんだけど。
あれ?もしかして王子達には伝えてなかったっけ?
イリスの事を紹介するタイミング、結局無かったのよね。
エリスは今日から早速、訓練に参加する事になる。
とはいえ、先ずは家族の紹介と、屋敷の案内からだ。
「今日からまた家族が増えま~す!
名前はエリス、年は九歳だから、アリアとルカの間ね。
皆仲良くしてあげてね~!」
「またなのね!
アルカにはお説教が必要だわ!
それはそれとして、エリス!
アリアお姉ちゃんって呼んで良いわ!
仲良くしましょう!」
「すっごい!可愛いお姉ちゃん!
アリア姉ちゃん!わ~!!」
アリアの可愛さに大はしゃぎのエリス。
アリアを抱き上げてクルクルと回り出す。
「アリアの方が妹みたい」
「つぎ、リヴィもやりたいな~」
どっち?
アリアを抱き上げたいの?
エリスに抱かれたいの?
「アルカ、イリスとメアの事を忘れないで下さい」
「もちろん。
メアちゃん、カモン!」
「……」
私の中から出て、ペコリと頭を下げるメアちゃん。
何故かリヴィがメアちゃんに近づき、背くらべを始めた。
リヴィ可愛い。
流石にメアちゃんの方が若干大きいわね。
とはいえ、殆ど差は無いけど。
私は二人を纏めて抱き上げる。
サイズ感がとっても丁度良い。
「鼻の下伸ばしてないで紹介しなさい」
「セレネも抱いてみる?」
「うん」
私はセレネにリヴィとメアちゃんを受け渡す。
二人とも大人しくされるがままになっている。
鼻の下を延ばすセレネを放置して、イリスにも出てきてもらい、メアちゃんと一緒に紹介する。
「セレネ、次は私に」
レーネも鼻の下延ばすの?
「この調子で世界中の気に入った少女を連れてくるつもりかしら」
そんなわけないじゃない、カノン。
「いつか不老不死の少女達だけの世界になるんじゃない?」
寿命が無いだけで不死ってわけじゃないわ、お姉ちゃん。
「勘弁してよ。
そういうのはアルカの世界だけで十分だよ」
安心してニクス。そんな野望は無いわ。
ノルンとミーシャは出てこないわね。
何してるのかしら。
ともかく、既にそんな世界存在するのよね。
私の心の中に。
字面だけ見るとヤバい人になっちゃうわねこれ。
『いまさら』
『それよりいつ深層に行ってくれるの?
もうずっと待ってるんだけど』
『イロハ様の次は我の番だよ!
忘れないでよ!』
『アルカはすぐ脱線するのです。
一度口にした事は守るべきです。
ボクの番はいったい何時来るのです?』
『あるじは忙しいのだもの。
あまり我儘を言ってはダメよサナ。
ラピスも寂しいけど』
『…………こんばんは、みんなでねる』
『そうやな~
みんな限界やもんな~』
『小春はもう少し頑張るべきだよ!
皆を寂しがらせるなんてダメだよ!』
『マスター、私もお待ちしております』
あれ?シーちゃんまでいるの?
同化出来るようになったの?
『はい!頑張りました!』
頑張ってどうにかなるの?
私の中にナノマシンが流れ込んでるの?
『はい!身体強化も可能です!
遂に私もマスターの血肉の一部となる事ができました!』
ごめん、シーちゃん。
それは流石に表現が生々しすぎるわ。
もう少しマイルドにお願い。
『身も心もマスターの一部となりました!』
『ライバルしゅつげん』
『私もだよ!小春!』
『シイナがそうなら私達もでしょ?』
同居人同士仲良くね~
『それととりあえず、もう少ししたらそっちに行くわ』
『むり』
『なんで?』
『セレネがきた』
「アルカ、当然外泊の補填はしてくれるのよね?」
「今から?」
「当然よ」
「じゃあノアちゃん、後はお願いね」
「何がじゃあですか。
いくら何でもこの状況でエリスを放り出すのは無責任過ぎるでしょ。
今日はアルカも訓練に参加してもらいます。
セレネの相手はその後です」
「仕方ないわね。
なら、明日も私の好きにさせてもらうからね」
「ダメです。
一日中は認めません。
アルカは鍛え直す必要があります」
「自分ばっか付き合わせたくせに」
「結局最初の数時間だけですよ。
そこからはクレアさん関連です。
セレネには全て話したでしょう」
「わかってるわ。
けれど、こっちは丸二日もアルカと会えなかったのよ。
我儘言いたくなったって仕方ないじゃない」
「そうですね。
アルカ、今晩までに深層の準備とやらを済ませて下さい。
全員が満足するまで相手をしてもらいます」
「本気?
私、明日を迎えるまでに一ヶ月以上かかるんじゃない?」
「自業自得です。
これに懲りたら、もう増やさないで下さい」




