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28-43.賭けの報酬

「あの流れで負ける事ってあります?」


「面目ございません……」


「なんで最後までクレアさんの土俵で戦ったんです?

 しかも、ハルは完全に補助に徹していましたし。

 まさか、今更舐めていたなんて言いませんよね?」


「その……それはそれっていうか……」


「いざ始まったら、エリスの事も賭けの事も忘れて楽しんでいましたね?」


「はい……」


「お前、私に何をさせたかったんだ?

 まさか本気で結婚させようとでも思ってんのか?」


「違うわ」


「そういうクレアさんはアルカに何をさせますか?」


「いやまあ、特に思いつかねえんだよな。

 なら、お前が頼もうとしていた事を教えろ。

 どうやら言いたく無さそうだしな」


「……意地が悪いわね」


「お前にだけは言われたくねえよ。

 ほら、さっさと答えろ。

 何でもするんだろ?」


「うぐっ……」


「アルカ、約束は守って下さい」


「……クレアを私のものにしようと思ったのよ」


「はぁ!?

 お前、節操なしにも程があるだろ!」


「そうじゃないわ。

 伴侶としてじゃない。

 所有物として手に入れるつもりだったの」


「意味がわかんねえよ!

 というか、そんなもん気軽に賭けてんじゃねえよ!

 どう考えても今そんな要求する場面じゃねえだろ!

 空気読め!温度差考えろ!」


「思ってたより随分過激でしたね。

 精々、結婚しないでこれからも一緒に暮らしてくれ、くらいのものだと思っていましたけど」


「ノア!それもそれでおかしいからな!

 お前も毒されすぎだ!

 ていうか所有権ってなんだよ!

 お前らにしかわからない考え方押し付けんじゃねえよ!」


「さて、次はノアちゃんとマリアさんの番よ。

 何時までも占拠してないで交代しましょう」


「いや、おかしいだろ!

 私の所有権がなんでこの質問と等価値なんだよ!

 全然足りてねえだろ!」


「あなたが自分で言ったんじゃない。

 思いつかないから、私の目的を教えろって。

 酷いわ。敗者を辱めておいてまだ足りないって言うのね」


「ですが、確かにクレアさんの言い分にも一理あります。

 少なくともアルカはそのつもりで挑んだのですから、自分も同じだけのものを提供する必要があります」


「私が欲しいの?

 今晩部屋に行けばいい?」


「要らねえよ!一緒にすんじゃねえよ!

 お前が喜ぶだけだろうが!

 というか、それでも釣り合ってねえだろ!」


「なら何が欲しいのよ。

 流石にノアちゃんはあげられないわよ?

 そんなの釣り合わないもの」


「喧嘩売ってんのか?」


「とりあえず、クレアさんは何か考えておいてください。

 私に出来る事なら、アルカの代わりに何かしても構いません。

 私はアルカの所有物でもありますから」


「もう要らねえよ。

 これ以上お前らの素っ頓狂な会話に付き合ってられるか。

 言った通り答えたんだ。それでチャラにしてやる」


「後でハルちゃんとやる時にもう一回賭けましょう」


「やんねえよ!

 もう二度とお前の賭けになんて乗るわけねえだろ!」


「負けるのが怖いの?

 まあ、そうよね。負けたら私の所有物だもの。

 何されるかわからないものね」


「そんな安い挑発に乗るかよ。

 賭けに乗せたいんなら、私が望むもんを用意してみやがれ」


「やっぱりノアちゃんを賭けないとダメかしら。

 ノアちゃんどう?一晩くらいなら釣り合うかしら」


「要らねえっつってんだろ!

 というかやっぱ喧嘩売ってんだろ!

 なんで私の所有権とノアの一晩が等価値なんだよ!」


「アルカ、からかうのはそれくらいにして下さい。

 本気でクレアさんが欲しいのなら、真っ向勝負するべきです。

 そんな風に挑発して乗せたってダメですよ」


「は~い」


「まったく……」


「ごめんなさい。

 悪ふざけが過ぎたわ。

 けれど、私がクレアを手に入れたいと思ったのは本当よ。

 負けちゃったけど、これからも私達の家族でいてね。

 これは賭けとは関係のないただのお願いよ」


「なら今度は私に勝つんだな。

 そうしたら考えてやる」


「うん。次は負けないわ。

 ハルちゃんに交代してでも勝ってみせる」


「それは普通に卑怯では?

 ハルの方がアルカよりずっと強いんですよ?」


「むしろ今のハルちゃんなら、私の体で戦うより自分で戦った方が強いかも。

 力の総量も格段に増えたし」


『そうでもない』

『アルカのからだ』

『アルカのため』

『たいせつ』


『ハルつよくなる』

『アルカのなか』


「なら、後でハルちゃんが戦う時も私の体使う?」


「それはそれでどうなんです?

 とはいえ、ハルの容姿で戦う所を目撃されるのも困りますが」


『それはそれ』

『こんかいは』

『じぶんでやる』

『おとなもーど』

『ならいい?』


「はい。それでお願いします」


『がってん』


「話は済んだかね?」


「待たせてごめんなさい。

 もう大丈夫よ。

 クレア、行きましょう」


「おう」


 私はクレアと共に、観戦していたエリス達の下へ向かった。

今度はノアちゃんとマリアさんの試合だ。

今日は総当たり戦なので、後で私も二人と試合をする事になる。

しっかり観察して、今度こそ勝つとしよう。

流石に全敗したら、エリスを連れていく話も無くなってしまうかもしれないし。

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