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28-40.目覚め

「ア~ル~カ~さ~ま~!

 朝ですよ!おはようございま~す!」


「う~ん?

 ノアちゃ~ん?」


「アルカ様!エリスです!

 ノア姉ちゃんじゃないよ!」


「……zzz」


「あれ?アルカ様?

 うそ、何でこれで起きないの?

 ア~ル~きゃっ!!」


「ノ~ア~ちゃ~ん~

 す~き~だいすき~」


「ちょ!アル!むぐ!!もがもご!

 !?!?!?!!!!!」


「……zzz」


「!!!!!!ぶっは!

 力つよ!!おっぱいおっきい!!」


「う~る~さ~い~

 ちゅ~~」


「!?!?!?!」





----------------------






「あれ?

 なんでエリスちゃんが一緒に寝てるの?」


 しかも、なんか私ガッツリ抱き締めてるし。

エリスちゃんはうなされてるし。


「エリスちゃん?

 エ~リ~スちゃ~ん!」


「むにゃ?ママ?」


「あれ?お母さんって呼んでなかったっけ?」


「!!!?!?!?!」


 目が覚めた途端、顔を真赤にして私の胸に顔を押し付けるエリスちゃん。



「大丈夫?うなされていたみたいだけど。

 それに、どうしてここで寝てるの?」


「……アルカ様のせいだよ」


「私?なんで?」


「……はなしかけないで」


 え!?

なんか嫌われてる!?

でも、エリスちゃんは相変わらず私にぴったり引っ付いている。

なんだろう。

ママって言ってしまったのがそんなに恥ずかしかったのかしら。

うん、きっとそうよ。

そうに決まってる!

エリスちゃん可愛い!


 私はエリスちゃんを抱きしめ直して、頭を撫でる。

あれ?エリスちゃん、もう着替えてあるのね。

なら、夜中に忍び込んだわけじゃないのか。

多分、ノアちゃんが起きた後に入ってきたのだろう。

起こしに来たけど、私に釣られて眠ってしまったって所かしら。

昨日の夜は遅かったし、その上変な時間に寝て起きてとしてしまったし、睡眠不足気味だったのかもしれない。

起きなきゃいけない時間になればノアちゃんも呼びに来るでしょうし、このままもう暫く寝かせてあげましょう。


 そうして、エリスちゃんを抱き締めて撫でていると、エリスちゃんが顔を真っ赤にしたまま、私の方を向いた。

布団の中に潜り込んでいたからのぼせてしまったのかしら。

私はエリスちゃんを引き寄せて、布団から顔が出るように移動させた。



「!?」


「エリスちゃん?

 大丈夫?

 もしかして昨日の疲れが抜けていないの?」


「違うよ!!!

 アルカ様のバカぁ!!!」


 なんで!?

やっぱり嫌われてる!?


 エリスちゃんは変わらず私にひっついている。

エリスちゃんの頭の位置が、先程より私の顔に近くなった事で、今度は私の顎に頭頂部を押し付けるようにして、再び顔を隠してしまうエリスちゃん。

私は戸惑いながらも、またエリスちゃんを抱きしめる。

エリスちゃんからは大きな心臓の音が伝わってくる。

どうやらかなり興奮しているようだ。

やはり、先程うなされていたのは、悪夢でも見ていたからだろうか。


 結局状況が良くわからないまま、再びエリスちゃんを撫でて落ち着かせようと試みる。



「アルカ様……」


 暫くして、エリスちゃんが小さな声で呟いた。



「なに?

 エリスちゃん」


「えっとね……」


「うん」


「……して」


「え?

 何を?」


「……スして」


「ス?」


「……きすして」


 キス?なんで?

嫌われちゃったんじゃなかったの?



「顔を上げてくれる?」


「…………むり」


「そっか」


 私はエリスちゃんの体を少しだけ離して、顎に手を添えて、こちらを向かせる。

エリスちゃんは真っ赤な顔のままだった。

私と目が合うと、慌てて瞼を閉じる。


 私はそのままゆっくりとキスをした。



「……さっきと全然違う」


 少し不満そうに呟くエリスちゃん。



「さっき?」


 夢でも見たの?



「アルカ様がノア姉ちゃんと間違えてしてきたやつ」


 え?

どういう事?

夢の中の私?



『おばか』

『さっきねぼけて』

『くちびるうばった』


『のあちゃんすき』

『いいながら』

『エリスにキスした』

『すっごいやつ』


 なんですと!?



『エリスようきゅう』

『やりなおし』


 いや、流石にマズイでしょ。

ノアちゃんにするようなやつしちゃったら。



『もうした』


 いや、そうかもしれないけど……



『はやくする』

『きげんなおす』

『ひつようなこと』


 ええぇ……


 私は躊躇しながらも、意を決して、再びエリスちゃんの唇を奪った。



「……」


「……」


 暫くして唇を離すと、エリスちゃんは呆然としていた。

少しの間視線の定まらない状態で放心していたが、意識がハッキリしてくると、今度は熱っぽく私を見つめ始めた。



『ハルちゃん、魅了の魔眼とか使ってないよね?』


『そんなわけない』


『目覚めちゃったのかしら』


『ちがう』

『めざめさせた』

『むりやり』


『……私のせい?』


『うけいれる』

『げんじつとうひ』

『だめ』


「アルカ様」


「もう一回?」


「もっといっぱい」


「そっかぁ~」

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