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4-10.ドワーフの国の探索

私達は町に降りて周辺を調査していく。



地面や建物、何もかもが先ほどの廊下と同じ様に

不思議な材質で作られていた。


これは本当に壊せるのだろうか。

ドワーフ爺さんは私ならこの杖の力を使うことで

この国を丸ごと破壊できると確信しているようだった。


確かにこの杖の力は強力だ。

求めていた魔力の蓄積は魔道具としての力だ。

それとは別に杖としての力で、私の力を大きく増幅させている。

今までに持ったものとは段違いだ。



普通に地上にある町なら一人で壊滅させる自身はある。

けれど、この空間はよくわからない。



暴走したという魔道具には国中の魔力を集める力があった。

今なおその魔力を保持しているのであれば、

それを壊せばこの空間ごと吹き飛ばせるかもしれない。


けれど、たぶんそういう事を言っていたのでは無い。



きっとこの杖で引導を渡す事に意味があるはずだ。

国を滅ぼした魔道具にその死まで汚されたくないという気持ちは想像できる。

せめて自分の手で。それは難しいから私に託して。

お爺さんはそう思っているのだと、

この光景を見てようやく本当の意味で理解する。




ともかく、今は調査を続けよう。

試すのは後でいいし、先に魔道具はなんとかしなければならない。

六百年の月日が魔道具を滅ぼしていればそれで良い。

そうでないなら、私が滅ぼす。



町の中央に向かって進みながら周囲の探索を続ける。

亡骸は痕跡すら見つからない。

お爺さんが一人残らず弔ったのか。

六百年の月日が消し去ったのか。

この町に浄化システムが存在するのか。


この町は不自然な程に清潔だ。

ホコリ一つ見当たらない。

少なくともこの町はまだ生きている。

この環境を維持し続けている。


そのためのエネルギーは魔力を収集し続ける魔道具が賄うのだろう。

それ自体はおそらく暴走した魔道具とは別物だ。

お爺さんは暴走した魔道具を予期せぬ物として見つけたようだった。



そして、もう一つの懸念点が、

グリアのいう先客の事だ。


グリアとノアちゃんがあっさりとこの地の扉を開けたのは、

先に入ったという人物が封印を解いていたからなのかもしれない。

ドワーフの技術かその魔道具に詳しい人物なのだろうか。


ただ遺跡を発見して調査しているのであれば、

話し合う必要があるだろう。

可能であるならば、退去してもらわなければならない。


仮に生き残りのドワーフならばお爺さんに相談するべきだろう。



つまり、この町で私がやらなければならないのは、

暴走した魔道具の発見と破棄。

先客の捜索と説得。

そして、この地の破壊。



私は探知魔法を使用する。

今この場にある大きな魔力は二つだ。


一つは国の中央に存在する。

これはこの国のシステムを維持しているものだろう。

一旦は気にする必要はない。

破壊の影響を確認するため、後で一応見ておくとしよう。


もう一つは町の中に存在している。

これが暴走した魔道具だろう。

まずはここに向かうとしよう。


人間の反応は見つからない。

もしかしたら大きな魔力のどちらかの近くにいるのかもしれない。

魔力の反応が巨大すぎて近いと探知では見つけられないだろう。



私は仲間たちを連れて暴走した魔道具の元に向かう。



「止まって下さい!誰かいます!」


ノアちゃんがいち早く気配に気づく。


全員立ち止まって、様子を伺う。


どうやら数人の男達が魔道具の近くで何事か話し合っている。


「あれは!ルキウス司教!」


確かに見覚えのある男がいる。

この距離で顔までわかるなんて、セレネ目良いな。


なんて呑気な事を考えている場合じゃない!



よりによってこんな所で

魔王の眷属一味に遭遇するなんて!


まずい!ここの技術力を持ち出されたら洒落にならない。



私達は慎重に敵に近づいていく。


どうやらエルドス枢機卿の姿は無いようだ。

代わりに、ルキウス司教と共にいる男達の格好を見て驚く。




あれは隣領の兵士だ!


私達の住む町が含まれるのは、セフィド領

そして隣接するのが、ルスケア領


ルスケア領の領主は度々、セフィド領にちょっかいをかけてきた。

最近では、ダンジョンの暴走を意図的に引き起こして私達の町を滅ぼそうとしていた。



幸い阻止する事には成功し、証拠を提出して断罪を求めたのだが、

結局かわされてしまい、罪に問われる事は無かった。


確かにドワーフの国はルスケア領の領内だ。

まさか、既に領主が存在を認知して調査を行っているとは・・・


でもなぜルキウス司教と共に?

ルスケア領主は魔王の一味と手を組んだ?



いずれにせよ、穏便な方法で退去してもらうのは不可能だ。


そして魔王一味にもルスケア領主にもこの国の技術を渡すわけにはいかない。


何としても技術は国ごと葬る必要がある。


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