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28-18.観念

 私はノアちゃん、ノルン、イロハ、クルルを引き連れて爺さんの店を訪れた。

もうこの流れ何度目かしら。


 今回はノアちゃんも同行してくれた。

ぶっちゃけ家を出る直前まで爺さんとの約束を忘れていた。

ハルちゃんが指摘してくれたお陰でやらかさずに済んだ。

まあ、代わりにノアちゃんに少しだけ叱られたのだけど。


 ノアちゃんは私と一緒に行くつもりだったらしい。

爺さんからノアちゃんを連れてくるように言われた時にノアちゃんにはそのまま伝えたきりだったので、既に一人で行ったものかとも思っていたのだけど、何だかんだと忙しいので後回しになっていたそうだ。

それに、どうせなら私と一緒に出かけたいと思っていたのもあったらしい。

ノアちゃん可愛い。


 ハルちゃんが確認するように言われなければ、爺さんからもノアちゃんからも怒られるところだった。

それがちょっとしたお小言で済んでなによりだ。

後でハルちゃんにはいっぱいご褒美あげなきゃ。

お仕置きの方が喜びそうだけど。

まあ、ハルちゃんの場合はどっちも変わらない。



『たのしみ』


 ハルちゃんも好きね~


 先ずは爺さんのご機嫌を上げるためにもノアちゃんの依頼からだ。

ノアちゃんは収納空間から刀を取り出して爺さんと話し込んでいる。

なんか凄い盛り上がってる。

もしかして失敗だったかしら。

これは話が長くなりそうだわ。


 私の世界にでも行ってようかな。

でもノアちゃんが一緒に来たがってくれたのだし、側にいるべきかしら。

まあ、単に余所の人が打った刀に浮気したのが、爺さんに悪いとでも思って一人で来づらかっただけかもしれないけど。



「主!我もあれ欲しい!」


「なら、後で一緒に頼んでみましょうね~」


「うん!ありがと!主!」


「アルカ、クルルを甘やかし過ぎよ。

 武器なんて要らないでしょ。

 何でもかんでも好きなだけ与えるなんてダメよ」


「イロハ様~

 おねがい~」


 イロハに纏わりついて甘えるクルル。



「……仕方ないわね」


 ちょっろ。



「アルカ、聞こえてるわ」


「事実じゃない。

 ついさっき自分が言った事を思い返してみなさい」


「……仕方ないじゃない」


 まあ、わかるけど。

クルルが可愛すぎるのが悪い。



『アルカもすっかり骨抜きなのです』


『最近ラピスの事もお嫁さんなんだって忘れてないかしら』


『…………ナノハたちも。そう』


『皆を満足させなあかんえ~』


『皆、もう少しだけ待っていて。

 深層の準備ができたら個別に相手してあげるから』


 まあ、向こうは時間経過なんてないからやろうと思えば何時でもできるのだけど、私の精神安定の為にも今日一日はこっちで過ごしたい。



『『『『『『『は~い』』』』』』』


 あれ?

なんか多くない?

サナ、ラピス、ナノハ、チグサ、ハルちゃんと誰かしら。



『小春!私を忘れるなんて酷いよ!』


『アリスはまだダメだってば』


『なんでよ!?』


 むしろアリスこそ何でよ。

私の分身じゃないの?

セレネとしたら?



『初めては小春って決めてるの!』


『どうしてそうなるのよ……』


『えいさいきょういく』


『ハルちゃんのせいなの!?』


『アリス』

『アルカのいちぶ』

『つまり』

『ハルのいちぶ』


『ハルのすべて』

『つたえる』

『とうぜん』


『なるほど……

 それで……』


『わかったら観念して!小春!』


『……仕方ないわね』


 私は私世界にいるシーちゃんを呼び出して、アリス用の分体を作ってもらった。

アリスはすぐさま分体に乗り移る。

こうなったらアリスの指輪も用意するしかあるまい。

ノアちゃんなんて言うかしら。

今は爺さんとの話に夢中で何も言わないけれど、ノアちゃんならアリスが出てきた事にも気付いているはずだ。

そこから私の意図だって察するだろう。



「小春~!!」


 燥ぐアリスを抱き上げて落ち着かせる。

お客様、店内では静かにしましょう。


 ところで、もう一人誰かいなかった?

まあ、あとこの場で姿を見せていないのはルチアしかいないのだけど。



「こはる、わたしも行きたいわ。

 いつ連れて行ってくれるの?」


「準備ができ次第よ。

 最初にノルンを招待するわ」


「嬉しいわ、こはる」


「私の事も忘れないでよ」


「順番って言ったじゃない、イロハ」


「我はイロハ様の次!」


「良い子ね、クルル」


「こんな所でなんて話してるんですか。

 場をわきまえて下さい。

 私の用事は済みました。

 アルカ達も指輪の依頼をするのですよね。

 アリスの事は後で話しましょう」


「はい」


「今更怒ったりなんてしませんよ。

 ちゃんと家族の前で説明してくれれば良いだけです。

 それと、私もお願いしますね」


「?」


「ルチアに聞きました」


「深層の事?」


「内緒にしたい気持ちもわからなくは無いですが、私とセレネにまで隠すのは許しません」


「セレネには一番隠したほうが良いじゃない?」


「それは……諦めて下さい」


「はい」


「とにかくこんな話しは止めましょう。

 早く用事を済ませて下さい。

 この後も一日買い物に付き合ってもらうんですから」


「あら、そうなの?

 ならわたしは指輪の件が済んだら、こはるの中に戻るわ。

 イロハ、クルル、アリス、あなた達も付き合いなさい」


「「「うん」」」


「ありがとう、ノルン、皆」


 折角気を使ってくれたのだ。

今日は思う存分ノアちゃんとデートする事にしよう。

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