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4-9.ドワーフの国

私はドワーフ爺さんに教わった地点に向かって一人で飛んでいた。



遂に飛行魔法の魔力消費問題が解決した。


最初はなにも考えず飛行魔法を使っていたつもりだった。


自分で効率改善を試していた時は、羽をイメージしてみたり、

足や背中からジェット噴射するのをイメージしたりと

様々な方法を試していたが、思うように改善できなかった。



今回はグリアに協力を仰ぎ、まず私が飛ぶことについて

現在どんなイメージを持っているのか正確に分析した。


実際には念力で常に自分を浮かしているようなイメージに近かった。


これを自分の重力を無くして浮くようにし、

移動時は推進力を放出するようにイメージしてみたところ、

魔力の消費量は大幅に削減された。


この辺りの方法も全部グリアに教えてもらった。

最初からもっと頼っておくべきだった。




今はドワーフの国が封印された地点を探している。

辿り着いたら自宅と転移門で繋いで仲間たちを呼ぶ手はずになっている。



ちょっと前の私なら今回の件は一人で解決しようとしただろう。


なにせ、ドワーフ産の魔道具がわんさか眠っている場所だ。

しかも封印されているとは言え、国を滅ぼす程の力があるのだ。


そんなところにノアちゃんやセレネを連れて行くなんて怖くてたまらない。

今までクレアに素直に力を貸してもらうなんて考えもしなかった。

戦闘能力の無いグリアを連れて行くつもりにはならなかった。



でも、今は皆に頼る事にした。

ノアちゃんもセレネももう守られるだけの存在じゃない。

クレアがいれば心強い。

グリアの頭脳は頼りになる。何が起こるかわからない遺跡なんて尚更だ。



こうして、

ドワーフ爺さんに今回の件を頼まれた後、

私は皆に協力を仰いだ。

皆快く協力してくれた。

これできっと大丈夫。






ドワーフの国は地下に存在する。

入口は洞窟の中にあるらしい。

この辺りに町はない。

たぶんまだ誰にも発見されていないと思う。

少なくとも情報は出回っていない。


それらしき洞窟を見つけ、

中を進んでいこうとしたところで、

折角ならもう皆を呼んでしまおうと考え直す。


ここがハズレでもきっと皆笑って許してくれる。

とことん頼ってしまおう。


私は自宅に転移門を繋げる。


「みんな!来て!」


「「はい!」」「おう!」「いいとも」




私達は五人で洞窟を進んでいく。



「これじゃあないかね?」


私には壁にしか見えない箇所を指して

グリアが言う。


「本当ですね。

これ壁に偽装してありますが人工物になっています!」


グリアの指した場所を調べるノアちゃん。


「壊しちまえば良いのか?」


クレア、ステイ!


「アルカなら簡単に壊せるよね!」


セレネ、あなたも!?


グリアとノアちゃんの冷静組が扉を調べていく。


なにやらグリアの指示でノアちゃんが

扉の周囲をいじっていくと扉が動き出した。


さっすが!頼りになるなぁ!


私が一人でここまで来ていたら絶対に見逃していた。



扉の先は下に降りていく階段になっていた。

階段を降りて先に進んでいく。


私の近くに来たグリアが囁くように言う。


「気を付けたまえ。

あの扉には最近動かした形跡があった。

この先に先客がいるかも知れない」



私は全員に、警戒して静かに行動するように合図を送る。

階段を降りきってしばらくは代わり映えのしない洞窟が続いた。

途中から人工物と思われる通路に変わる。


その壁や床は今まで見たことが無いものだった。

厳密に言うならば、実際に見たことがないだけで、

よく知っているものに近かった。


というのも、映画等で見たことがあるのだ。

コンクリートでも木でも石材でもない、

未来の建物のような質感に見える。

強いて言うならばプラスチックのような金属のような感じだ。


思っていた以上にドワーフの国の技術力は高かったのかもしれない。

この光景を見ていると、ドワーフの国に迷い込んだ人間の男は

もしかしたら私とは別の世界、

もしくはもっと未来から来たのではないかとすら思う。



周囲の警戒を続けながら前に進んでいく。

そうして、道の先に光が見えてくる。


光は段々と強くなっていき、

開けた空間に出た瞬間、辺りは光に包まれていた。


そこは、地下のはずなのに昼間のように明るい空間だった。

この光は天井から射しているようで空間全体に明るさが保たれていた。


私達のいる場所から見下ろす形で町全体が見渡せる。



その光景はとても六百年前に滅びた国には見えず、

今なお生きているようにすら見える。



ただ、音だけが無い。その事が、

誰一人生きている者はいないのだと否応なく突きつけてくるようだった。


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