1-6.解決
頭を落とされて巨人は機能を停止した。
よかった。無事に倒せたようだ。
これが、体の何処かにある本体を壊すまで動き続けるとかだったら面倒だった。
私は再びダンジョンコアに近づき、魔道具を切り離す。
今回は新たな魔物は出現しなかった。
流石にリソースが切れたかな?
ダンジョンの原理は未だ不明だ。
魔力を糧にしているのかすらわかっていない。
事態が落ち着き、ノアちゃんに向き直る。
「ノア無事?」
すると何故か戸惑った表情のノアちゃんが見上げてくる。
「もうノアちゃんって呼んでくれないんですか?」
!?
そうだった。
さっきは慌ててたからついそう呼んじゃったんだ。
うわ!めっちゃ恥ずかしい!
心のなかではちゃんづけで呼んでたのバレちゃったじゃん!
私があたふたしていると、ノアちゃんが吹き出した。
「まあ良いです。気長に待つとします」
ノアちゃんの方が大人だ。
こんなにちっちゃくて可愛いのに
しばらくダメージを受けていたが、気を取り直して
ノアちゃんを引き連れて地上に向かう。
道中では先程までの光景が嘘のように魔物は出現しなかった。
無事に地上に出るとギルド長と冒険者に囲まれた。
「コアに付いてた」
私は言葉少なにギルド長に魔道具を差し出してその場を退散する。
あんなに大勢に囲まれてたら、慣れたギルド長相手だって
まともに喋れる気がしない。
私の事をよく知っているギルド長はこの場では問い詰める事なく見逃してくれた。
後日ギルドに説明に行くことになるだろう。憂鬱だ・・・
ノアちゃんに代わりに行ってきてもらおうかしら。
一緒に一部始終を見てたのだし問題ないだろう。ノアちゃん賢いし。
「ダメに決まってるでしょう」
ノアちゃんから突っ込まれた。
高ランク冒険者としての義務?責任?
はい。すみません・・・
その日はゆっくり休み、翌日ギルドに行くことにした。
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「なるほど。話はわかった。
改めてよくやってくれたアルカ!」
ギルド長に説明を終えた。
一緒に付いてきたノアちゃんが補足してくれる。
ノアちゃんは優秀だ。もうノアちゃんがいないとダメかもしれない。
ギルド長は手に持っていた魔道具を机に置く。
「これは明らかに悪意ある何者かの仕業だ。
残念ながらいまだ情報は入ってきていないが、
なにか新しい情報が入ったらお前にも伝える。用心してくれ。」
え~!
それ今後もギルドに顔を出せって事?
嫌よ面倒くさい・・・
そっちでなんとかしてよ!
そんな事をノアちゃんの前では言えず、黙って頷く。
ちくせう。やっぱり連れてきたの失敗だったかな?
まあ、仕方ない乗りかかった船だ。
ここで手を引いたら気になるのも確かだ。
流石に一度退けたのだし、またすぐに手を出してくる事も無いだろう。
「本当なら各地のダンジョンを巡って調査してもらいたい所だが、
まあそこまで言うのも酷というものだろう。」
そう思うなら余計な事口にしないでくれませんかね!?
なんかノアちゃんから期待の眼差しが向けられてるんですけど!
あんた絶対わかってて言ってるんでしょ!
「アルカ!」
ノアちゃんは要件を口に出さず、私を見つめてくる。
ノアちゃんも私の乗せ方分かっててやってるんでしょ!?
やり口がえげつない!
はあ~
仕方ない。
ノアちゃんとのダンジョン巡りは元々考えていた事だ。
ついでと思うしか無い。
「わかったわよ。」
私が渋々そう言うと、ギルド長とノアちゃんが目を合わせて笑う。
あなた達結託したわね!?
まんまと乗せられた私はダンジョン巡りを始める事になった。