28-16.順番
ハルちゃんと共に再び心の表層にある私の世界に戻り、ニクスの世界へ帰還しようとしたところで、イロハが近づいてきた。
「次、私」
「イロハ様、我も一緒がいいな~」
「あなた達にとってはさっきやったばかりじゃないの?」
「二人きりでしたいの。
ごめんね、クルル。また後でね」
「いいよ!
どうせすぐに戻ってくるんだし!」
「待って!イロハ!
嬉しいけどちょっとだけ待ってて。
一回ノアちゃん達に会わないと本当にもう保たないわ。
その後でいくらでも相手するから」
「仕方ないわね」
「まさかまた行ってきたの?
その調子じゃ皆に知られたら、まずいんじゃない?」
「そうね、ニクス。
いくらこの表層やニクスの世界では一瞬でも、私にとっては相当な日数になるわ。
下手すると一日が一ヶ月以上になりそうだもの。
皆、秘密にしておいてね」
「時間の問題じゃない?
少なくとも、アウラ達はもう知ったはずよ。
そこからセレネ達に伝わる可能性だってあるわ。
というか、二十人も手を出したからそんな事になってるんでしょ。
いや、本当に多すぎでしょ……
もう少しどうにかならなかったの?」
ノアちゃん、セレネ、リヴィ、ニクス、レーネ。
アリア、ルカ、カノン、お姉ちゃん、ハルちゃん。
ラピス、サナ、ナノハ、ルチア、アウラ。
チグサ、イロハ、クルル、シーちゃん。
「待って!まだ一九人よ!
ノルンにはまだ手を出してないわ!」
「知らないわよ!
その状況で一人の差に何の意味があるのよ!?」
「そもそも、スミレとアリスだって時間の問題じゃん。
いずれは、ミーシャ、こまち、みやこ、グリアも十分に可能性あるんでしょ?」
「ミーシャはなくない?」
「酷いです!?」
「いつの間にいたのよ」
「私は常に、アルカさんが私の事を考えた瞬間に馳せ参じる所存です!」
「厄介な……」
「アルカさん、全然仲良くしようとしてくれませんよね。
口先だけなのですか?」
「あなた、よくそんな態度取れるわよね。
まあ、流石に今回は私が悪いとは思うけど。
というか、なんでミーシャが私の思考わかるの?
ハルちゃん、ミーシャにアルカネット使わせてるの?」
「あくきん」
「してる」
アクセス禁止?
「ふふん!そんなの無くてもへっちゃらですよ!」
「ニクス、ミーシャの思考盗聴を妨害できないかしら」
「必要なら私が保護かけとくけど……」
「ニクス様ぁ!!」
「まあ、良いわ。
流石に可哀想な気もしてきたし。
私が嫌がる事も察してしないでくれると期待しておくわ」
「アルカさん!嬉しいです!」
「ミーシャは特別に私を様付けで呼んでも良いわよ」
「全然嬉しくないです!距離作ろうとしてるだけです!」
「本当に全部わかるのね」
「そんなの思考読まなくたってわかります!
馬鹿にしないで下さい!」
「冗談よ。
それだってわかるでしょ」
「半分くらい本気でした!
私が乗ったらそのまま呼ばせる気でした!」
「半分も無いと思うわ。
精々、三割くらいよ」
「だからなんなんです!?」
「何よ、折角仲良くなろうと思ってジョーク言ったのに」
「……もうそれでいいです。
すみませんでした、私が悪いのですね」
「ミーシャが呆れてる……
珍しい……」
「さあ、何時までも馬鹿やってないで家に帰りましょう。
なんだかとってもヘトヘトだわ」
「アルカさん、どうやら忘れている様ですが、今日はまだ始まったばかりです。
アルカさんは既に何日も楽しんで忘れている様ですが!」
「繰り返さなくたってわかってるわ。
もうベットに入って眠ってしまいたいけれど。
というか、ミーシャなんで怒ってるの?」
「アルカさん酷いです……
私にこんな記憶を見せつけるなんて……」
「勝手に覗いておいてショック受けてんじゃないわよ……
というか、今更じゃない」
「別に何時も覗いているわけじゃないです。
本当に私に意識が向いた時にだけ気付けるようにしているだけです。
私だってアルカさんに嫌われかねない様な事、わざわざしませんよ」
「意外と考えてるのね。
感心したわ」
「言い方は引っ掛かりますが、アルカさんの評価が上がった様でなによりです」
「二人の仲はあまり進展してないよね。
いっそ、アルカがミーシャを愛してみれば?
そうすれば、ミーシャのダメな所だって可愛く見えてくるんじゃない?」
「……試しに二、三日籠もってみる?」
「良いんですか!?
嬉しいです!!
是非行きたいです!!」
「う~ん、でも、本当に愛せるかなぁ?」
「上げて落とすんですか!?」
「とりあえず、ノルンが先よ。
その後で改めて考えるわ」
「それで構いません!
チャンスを下さるのならいくらでも待ちます!!」
「まあ、頑張ってみましょう」
「その前に私の番よ」
「主!我も!」
「じゃあ、私も」
「ハルも」
「またいく」
「私の順番どんどん遠ざかってます!?」




