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28-9.目標

 訓練を終えた私達はニクス達がいる、私の中の世界のシーちゃんの船に移動した。



「この世界の出入りについては、もう気にしなくて良いよ。

 単にアルカが完全にこの世界の主となっただけだから。

 心配しないで。ギフトとして授けられた物を利用するだけなら、人間から外れたとは言えないよ」


「こはる、要は建前が必要なのよ。

 神は何でもできてしまうから、何より理由を重視するの。

 それは神の範疇を定義する事にも、人の範疇を定義する事にも同じ話よ。

 そうやって自身の在り方も定義するのよ。

 だから神は約束を違えないの。

 嘘をつかないの。

 言葉に気を遣うのよ。

 自身の言葉に縛られないように」


「うん?

 つまり、私は嘘をつけばいいの?

 それが人間らしいって事?」


「間違ってはいないけれど、人としての信頼も失うわね」


「ごめん、冗談です」


「まあ、つまり、理由さえ出来たなら、以前禁止した事でも解禁されるかもって事だよ。

 ただし、あくまでも部分的にだ。

 今回はアルカの世界に限って出入りしてかまわないけど、好きなように別の世界に移動するなんて事は認めない。

 例えばミーシャの世界に転移したりとかね。

 まあ、やらないと思うけど」


「うん。わかった。

 私はこの世界に限って神の真似事をしても咎められないって事ね」


「まあ、そう言えなくもないけど」


「だからって拡大解釈は止めてね。

 お母様の世界から拉致してくるのはグレーよ。

 みゆきを勝手に取り込んだでしょ。

 家族だし咎めたりはしないけど、極端な事を言えばやってる事は異世界転移と同じなのだと理解してね」


「うむむ。

 それはダメね。よくないわ。

 わかった。

 ニクス、家族は出入り自由って許可を頂戴。

 万が一、家族以外を入れる場合は確認するわ」


「良いよ。許可する」


「ありがとう。

 ところで、ニクスごとニクスの世界も私のものになったりはしてないの?」


「調子に乗らないでよ。

 まだまだアルカには力も経験も足りていない。

 そこまでの器は無いでしょ。

 だから強くなって。

 私の全てを受け止められる様になって。

 私の所有者として相応しくなって。

 もちろん、人のままでね」


「ついさっき力不足は実感したばかりよ。

 けれど、必ずやり遂げてみせるわ。

 ニクスの全ては私のものなのだと、心の底から信じさせてみせるわ」


「期待してるよ、アルカ」


「うん!

 さて、いい加減表に出ましょう。

 もう晩御飯の時間よ。

 お姉ちゃんとグリアとミーシャはどこかしら」


「面倒だし抱き寄せたら?」


「ミーシャは無理ね。

 多分グリアも」


「マスター!ご案内します!」


 そうよね。

シーちゃんならわかるわよね。


 私はその場に残っていたニクスとノルンをニクスの世界に送り返してから、シーちゃんに続いて歩き出す。


 お姉ちゃん達はブリッジに集まっていた。

どうやらコンソールを操作するのに夢中になっている様だ。

シーちゃんがいる限り勝手に発進したりはしないだろうけど、あまり変な事はしないで欲しい。

まあ、グリアにはシーちゃんの件で協力を仰いだ手前、強くは言い辛い。

問題が解決したから、はいさよならではあんまりだ。

好きなだけこの船を見て回ってもらうつもりではいる。

それはそれとして、なんでお姉ちゃんとミーシャまで一緒になって遊んでいるのかしら。

契約方法の変更について力を貸して欲しかったのに。



「晩御飯の時間よ。

 一旦切り上げて頂戴。

 というか、あなた達は何をしていたの?」


「何をだと?

 この船について調べていたに決まっているだろう?」


「ごめん、言い方が悪かったわ。

 グリアは構わないの。夕食後も好きに続けて頂戴。

 そうではなくて、お姉ちゃんとミーシャの話よ。

 何も伝えずに放り込んだお姉ちゃんはともかく、ミーシャは契約更新について検討するのではなかったの?」


「ニクス様から聞いてないのですね。

 もうその件は済んでいますよ。

 ニクス様とノルンちゃんがあの場に残ったのは、アルカさんを待っていたからです」


「ミーシャは私の好感度稼ぎがしたいのではなかったの?

 別にあそこで待ってろって事ではないけど、好き勝手船を弄るのは好意的に取られる行為だと思うの?」


「すみません……」


「小春、違うのよ。

 ミーシャちゃんは私達をここまで案内してくれたの。

 私達がここに来たいと言ったのよ」


「お姉ちゃん、もしかしてミーシャの魅了モドキにかかってる?」


「マスター、どうやら違う様です。

 レジストに成功していると思われます」


「小春、大体の事情は聞いているわ。

 もちろん、ミーシャちゃんの件もね。

 けれど、少し疑いすぎではないかしら。

 ミーシャちゃんも反省しているのよ。

 少なくとも、私達には良くしてくれたわ」


「そう。

 ごめん、ミーシャ。

 言い過ぎたわ」


「いえ!お役に立てたのなら何よりです!」


「晩御飯だったわよね。

 ミーシャちゃんも一緒に行く?」


「良いんですか!?」


「仕方ないわね。

 ノアちゃんならきっと多めに作ってくれてるでしょう。

 今日はイロハ達の分もお願いしてるし。

 とりあえず出ましょうか」


 私はシーちゃん、お姉ちゃん、グリア、ミーシャを連れて私の世界を出て、ノアちゃん達の待つ食卓へ向かった。

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