4-7.反省
クレアに指摘された事を思い出しながら、
私は改めて考える。
いまさら魔物を何匹か簡単に倒せたからって、
私のこれまでの戦い方を全部変えてしまおうなんてのは
確かにおかしな話だった。
転移門は確かに強力な切り札になりえるだろう。
だからといって頼り切ってしまえば、
かえって自分の選択肢を狭めてしまう。
これまでだって新しい魔法を覚えることなんていくらでもあったのだ。
別にその都度戦い方をガラリと変えてきたわけではない。
それまでの戦い方に上手く組み込めるように工夫してきたにすぎない。
だと言うのに、今回私は転移門を主軸に戦い方を構成しようとしてしまった。
これではクレアに指摘されて当然だ。
素直に感謝しよう。
そもそも、私だって魔王と一対一で戦うつもりはないのだ。
ノアちゃんもセレネもクレアだって一緒に戦ってくれる。
別に転移門にこだわらなくたって、
クレアが敵を切り裂いてくれるかもしれない。
セレネが敵を弱らせてくれるかもしれない。
ノアちゃんだって敵を翻弄してくれるだろう。
私を守ってもらえれば、岩の槍だって十分に加速させられるだろう。
相手の体勢を崩して転移門に落とすのだって容易かもしれない。
私が自分で相手の体勢を崩す必要はないのだ。
そんな事はそれが得意なクレア達にまかせてしまえば良い。
逆に私もクレア達を補助すれば良いのだ。
バフを自分用に調整するのではなく、
クレアとノアちゃん用に調整したって良い。
私が棒立ちでも、セレネが結界で守ってくれるだろう。
どんどん選択肢が湧いてくる。
私はクレアと戦っている最中、自分には罠を設置するくらいしか
できないなんて考えたが、そんなわけがない。
今までずっと一人で戦ってきたのだから。
これからは皆が一緒に戦ってくれるのだから。
今日は失敗してしまったけど、今日で良かった。
これが本番だったら私は負けていたかもしれない。
誰かを助けられなかったかもしれない。
一度話をしよう。
自分一人で考えたら同じことの繰り返しだ。
ノアちゃんとセレネは今は何が出来るのか。
私と一緒に戦うならどう立ち回るのか。
長い事一人で戦ってきたせいで
そんな事すら考えていなかった。
ノアちゃんの、セレネの頑張りを見せてもらおう。
私の頑張りを見てもらおう。
きっと大丈夫。
皆がいるのだから。
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「第二回、家族会議を開催します!」
「議題は現状の戦力確認と魔王討伐に向けた訓練内容について!」
「「は~い!」」
「意見のある子は挙手をお願いします!」
「「はい!」」
「じゃあ、ノアちゃんから!」
「はい!私は~」
それから長い時間をかけて、
今それぞれが出来る事を皆で共有し、
一緒にするべき訓練について議論していった。
次はクレアも入れてあげよう。
家族じゃなくたって、
親戚のお姉さんくらいの立場はあげようじゃない。
あ!・・・グリアの事忘れてた・・・
家族会議に呼んでなかった!
戦闘要員では無くとも、
彼女の頭脳は誰よりも頼りになるのだ。
次は絶対呼ぶことにしよう。
ごめん、グリア!