27-23.想定外
「これは想定外だったわ」
「しっぱい」
「予想外だったのです」
「甘くみていたわね!」
「…………こんなはずでは」
「考えが足りてへんかったわな」
「「迂闊だったわね」」
「我もう戻って良い?
続き気になるんだけど」
「この部屋、こんな事の為に使うはずじゃなかったわよね」
「ご心配なく。現在この部屋以外は空室率 100%ですから」
私はハルちゃんズ+シーちゃん(分体)と共に討論会用に用意した部屋で、作戦会議を開いていた。
「まさか、皆シアタールームから出てこなくなるなんて……
一応、全く想定していなかったわけでもないから、インターバルは用意していたのに、その間も誰も出てこないわね。
なんか、そのままシアタールームで語り合ってるし。
とりあえず、それぞれに親交は深めてるみたいだし、目的だけは果たしてるのが救いね」
「もともと」
「ひまなれてる」
「すうじかん」
「ていどじゃ」
「がまんにもならない」
「インターバルの時間を伸ばすべきだったのですか?
けれど、一週間という範囲では無理があったのです」
「それ以上にあにめを気に入り過ぎた事が原因よ!
この調子じゃ祭りの終了と同時に暴動が起きるわ!」
「もう三日も閉じこもってるのよ?
そろそろ潮時だと思うのだけど」
「…………にんげんちがう」
「…………きゅうけいいらない」
「…………げんかいない」
「早速ズレ出てきたわな~」
「「人間基準で計画を立てるのはナンセンスだったわね」」
「今更言っても仕方ないじゃない」
「ね~え~
続き~見たいよ~」
「クルル、落ち着きなさい。
あなたはアルカネットで何時でも見れるでしょ」
「そういえば、あの子達にアルカネット開放してないの?」
「まだ」
「きのうせいげん」
「たいけんばん」
「ふるかいほう」
「ひきこもる」
「かくじつ」
「ナイス判断よ、ハルちゃん」
「えっへん」
「なら、図書館みたいなのでも用意する?
映像データや書籍を用意して貸し出すの。
強制的に出歩く機会を設けましょう。
シアタールームも少し残して映画館にしてもいいし」
「だとうなあん」
「シイナ」
「よろしく」
「はい!直ちに準備を始めます!」
「ごめんね。
後で二人きりで過ごしましょう。
何でも好きなことをしてあげるわ」
「楽しみです!マスター!」
「ご褒美がワンパターンなのです。
別に良いですけど……」
「とりあえず、事態の収拾に向けて動きましょう。
図書館の準備が終わり次第、お祭りは終わりにして、混乱が起きないように日常に戻しましょう。
慎重に進めるのが重要よ。
流石に全員が一斉に暴れ出したら面倒だわ」
「それと、もう一つの準備としてハルちゃんズのメンバーだけ、力の供給を増やせないかしら。
力で支配するつもりはないけど、万が一混乱が起きた時に私とイロハだけでは加減が難しいわ。
ハルちゃんズは他のフィリアス達と明確に力の差を付けたいの。
これは今後纏めていく為にも必要なはずよ」
「どうい」
「やること」
「たんじゅん」
「パスふとくするだけ」
「イロハ」
「てつだって」
「良いけど、言うほど簡単なことでもないでしょ?
既に結ばれた契約の術式に介入する気?
それとも、新たに増設するの?
どっちにしたってすぐには出来ないわ」
「そうでもない」
「めいあんある」
「まずはためす」
「共有して」
「がってん」
「…………何考えてるのよ!!」
「ちゃんとみて」
「でもこれ!?」
「まじめにやって」
「うぐっ……」
「……」
「どう?」
「……理屈はわかるけど」
「ふっ」
「イロハ」
「まだまだ」
「イロハは何で真っ赤になってるの?」
「きっ気にしないで!」
「おじけずいた?」
「そんなわけないでしょ!
良いわ!やってやろうじゃない!」
「そのいき」
「さっそく」
「ためす」
ハルちゃんがそう言うと、私とハルちゃんとイロハだけ、私の部屋に転移した。
「皆でやらないの?」
「何言ってるのよ!?」
「?」
「イロハ」
「おちつく」
「アルカ」
「しらない」
「……ごめんなさい」
「?」
「そこねて」
「うん」
私はハルちゃんの言う通りにベットに横になる。
ハルちゃんとイロハが私の上に登ってきた。
「するの?」
「そう」
「まかせて」
「うん。良いけど」
「なんであっさり納得するのよ……」
「だってもう何度もしてるし」
「そういう意味じゃないわよ!」
「アルカ」
「パス」
「いしきして」
「ハルとイロハ」
「しゅうちゅうして」
「ただあいして」
「みをゆだねて」
「それですむ」
「わかったわ。そういう事なら任せておいて」
「イロハ」
「しゅうちゅう」
「わかったわよ!やってやるわよ!」




