27-15.万能
「とりあえず、お祭り等開催してみてはどうでしょう!」
「良いわね。
けれど、内容はどんなのにしようかしら。
残念ながら食料は心許ないのよ。
少なくとも数千人で飲み食い出来る程じゃないわ」
「アニメ」
「えいが」
「じょうえいかい」
「する」
「できれば皆で親交も深められるようにしたいのだけど」
「とうろんかい」
「そくばいかい」
「みたいの」
「やってみる」
「マスター!グッズ作りは任せて下さい!」
著作権……
まあ、異世界でまで関係ないわね。
「私の記憶から取り出した映像を船内で上映会して、それを元に討論会を開くのね。
即売会の方はどうしようかしら。
まだ貨幣なんて用意してないのだけど」
「そちらもお任せ下さい、マスター」
シーちゃんは万能ね。
もう、この船の中なら神にも近い存在じゃないかしら。
「無料配布にしても良いのだろうけど、何れは貨幣文化も浸透させるべきだろうし、丁度良いかもしれないわね。
参加者には事前にある程度配るとして、それ以外にも討論会でどれだけ発言できたかとかでも追加で配っても良いかもね」
「武闘大会も開いてはどうかしら!
あにめの技を再現出来る場を用意するのよ!
口下手な子でも参加しやすいと思うわ!
もちろん、優勝賞金も出しましょう!
それに、芸術点みたいな特別賞もあったら良いかも!」
「それも面白そうね。
シーちゃん、ラピスの案はどう?
船体に影響が出ないようにできる?」
「問題ありません。参加者の安全も確保します」
「ありがとう。
流石の万能っぷりね、シーちゃん」
「「万能とかそういうレベルの問題なの?」」
「ええやん。便利で」
「そういう問題なのです?」
「何を話しているのか良くわからないよ……」
「ハルちゃん、クルルにも基礎知識は入れてあるのよね?」
「うん」
「主!教えて!」
「あとでね~」
「あるじ!ラピスに任せておいて!」
「おねがいね~」
「…………zzz」
「ナノハは興味無さそうなぁ~」
「何時もならまだ寝てる時間だものね」
「「ナノハは寝過ぎなのよ。
何で昼過ぎまで寝てるのが当然なのよ」」
「まあ、良いじゃない。
今は別にやる事があるわけでもないのだし」
「「今それを考えてる最中じゃない」」
「ルチアとアウラはやりたい事ある?」
「「考えるのは任せるわ。
どんな内容でも手伝ってあげる」」
「ありがとう。
人数が多いから助かるわ」
「そもそも全員参加してくれるのかしら」
「大丈夫よ、ノルン。
あの子達の乗せ方は良くわかってるもの」
「アルカさんの世界のサブカルチャーなら確実ですね!」
「ミーシャは知ってるの?」
「はい!よく知ってますよ!
暇つぶしに最適です!」
「アルテミシア、あなたちゃんと反省してるの?」
暇つぶしが過ぎてあの惨状に気付かなかったとか?
私達の世界のサブカル文化が余所の世界を滅ぼしかけたの?
「ミーシャはこれからどうするつもりなの?
暫くはまともな戦力なんていないのよね?
復興するまでだって、新しいダンジョンは生まれるのでしょう?
またどこからか人を呼ぶつもりなの?」
「「アルカ、余計な事を聞くべきではないわ。
私達が責任を持つわけにもいかないのだし」」
「そうね」
「ご安心下さい!
芽が出た段階ならば、摘み取ることは可能です!」
「アルテミシア、止めなさい。
余計なことを伝えてはダメよ。
どれだけこはるの力が強大でも、この子は人間なの。
あなたもわかっているでしょ?」
「そうでした!すみません!
今のは忘れて下さい!」
「詳しく伝えちゃいけないのは共通認識なのね」
「そうよ。
もし何でも喋ってしまう神が近づいてきたら警戒なさい。
その神は確実にこはるに害意を持っているわ。
もしくは、どうなろうとも興味すら無い相手よ。
関わっても碌な事にはならないわ」
「わかった。用心しておくわ」
「そうしなさい。
それに、わたしも守ってあげるわ。
こはるの側にいてあげる。
いつまででも」




