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27-14.脱線

 私は朝食を済ませた後、そのまま皆に食堂に来てもらう事にした。

ついでだし、たまにはお菓子パーティーでもするとしよう。

これなら朝食食べなくても良かったかも。


 でも、シーちゃんが用意してくれたこの食堂では、自動調理機が備わっており、毎日美味しいご飯を用意してくれる。

食べないのは、それはそれでもったいない。


 けど、早く我が家に帰ってノアちゃんの作るご飯も食べたい。


 私が念話を飛ばすと、すぐに全員集まってくれた。

シーちゃん(分体)、ノルン、ミーシャ、ハルちゃんズが席についている。

そして、今回はそれだけではない。

もう二人、特別ゲストが加わっている。


 新たに加わったフィリアスの中で、クルル以外で唯一の第二世代だった二人だ。

一人は、みやこ。

もう一人は、こまち。

この二人はすっかり仲良くなったらしい。

最近では常に一緒にいる。


 今回は二人にミーシャの世界で産まれたフィリアス達の代表になってもらうつもりだ。

本当ならイロハに任せたかったのだけど、未だ復調していないので、とりあえずの代理でもある。


 何れはイロハの側で補助をしてもらうつもりだ。

イロハがどうしてもと拒絶すればまた考えるけれど、基本的にはこの船内のフィリアス達のまとめ役になってもらう。

正直、私には面倒見きれないし。

大半の子はイロハが自分で生み出したのだろうし、多分嫌とは言わないと思うけど。


 それとも、私に全てを奪われたことがトラウマになって、もう関わりたくないと思っているのだろうか。

それならそれでも別に構わない。

なら前にも言った通り私の側にいてもらうだけだ。

私の家族になってもらおう。

私のことを愛してもらおう。

それが嫌ならきっと出てくるだろう。

時間ならいくらでもあるのだし。



『……』


 久しぶりに少しだけ気配を感じた。

やっぱり、私の思考は覗いているようだ。

なら、まずは私が目一杯楽しんでみよう。

天岩戸作戦だ。



「今後のフィリアス達の生活について相談したいの。

 とりあえず当面はこの船で生活してもらう事になるわ。

 私達の世界で自由にさせるわけにもいかないし、もしかしたら何年もこのままかもしれない。

 だから、船内で出来る事を増やしていきたいの。

 理想を言えば、常に外の世界と変わらないくらいの環境を用意しておきたいわ。

 お店や学校、公園や自然環境でも何でもね。

 結局殆どシーちゃんに頑張ってもらう事にはなるんだけど、皆にも案出しをしてもらいたいの」


「主旨はわかったけど、何でアルテミシアまで呼んだの?

 この子とは、すぐに別れて二度と会うつもりも無いのだし、関係ないわよね?」


「ノルンちゃん!?」


「ミーシャはまあ、おまけね。

 それに、元はと言えばこの子のせいなのだし、責任を取らせるべきでしょ?」


「アルカさんまで!?」


「責任ねぇ……

 出来ることなんてあるかしら?」


「ノルン、ストップ。

 何故ミーシャにはそんな風に感情的になってしまうの?

 普段はもっと冷静じゃない」


「……なんか話してると腹立つのよ」


「そんな子供じゃあるまいし……

 って言っても、あなた達ってたった一人でずっと世界を守り続けているのだものね。

 社会経験とかって意味では子供と変わらないのね。

 ニクスもそういう所あるし。

 というか、普段は殆ど子供だし」


「ぷっふふ!ノルンちゃん言われてるよ~」


「「……」」


「ごめん、ノルン。

 ミーシャが悪いのはわかったわ」


「ううん。

 わたしもこんなのにムキになってしまって恥ずかしいわ」


「なんで!?」


「いい加減無駄口は止めるのです。

 役に立たないのなら、せめて邪魔をするななのです」


「ひどい!?」


「はいはい、皆仲良くしましょう。

 正直私もミーシャには思う所があるけれど、こんなでも神様だからね。

 きっと知識は相応に蓄えているはずだわ。

 もしかしたら何かの役には立ってくれるかもしれないのだし、あまり邪険にするものではないわ。

 それにあと一週間程度の付き合いなのだから、もう暫くは我慢して優しくしてあげましょう」


「仕方ないのです」


「アルカさんが一番酷いです……」


「ミーシャ、あなたはここ数日何をしていたの?

 私達を無理やり巻き込んでおいて、謝意を示すでもなく、シーちゃんとブリッジにいる時以外は、殆ど好き勝手に遊んでいただけじゃない。

 道標としての役割を果たしていればそれでいいの?

 このままで本当に力の供給を受けられると思っているの?

 私だって流石にそこまで甘くはないわよ?

 私達の世界に辿り着いてあなたに利用価値が無くなれば、契約は破棄するわ。

 それが嫌なら、私達に誠意を示しなさい。

 仲間に入れて欲しいのだと頼みなさい。

 受け入れて貰える様に頑張ってみせなさい」


「……はい」


「正直、こんな事言わないで一方的に縁を切るつもりだったのだけど。

 何で私、こんな歩み寄る様な事言ちゃったのかしら」


「アルカも」

「えいきょううけた」

「たぶん」

「せいしつ」

「そばではなすだけ」

「えいきょううける」


「洗脳でもしてるの?」


「似たようなものよ。

 自分で操れていないの」


「厄介ね。やっぱり今すぐ船外に放り出そうかしら」


「死んじゃいますよ!?」


「本当?」


「大げさに言ってるだけよ。

 迷子になるだけで死ぬわけじゃないわ。

 一生自力ではどこにも帰れなくなるだけ」


「変わりませんよ!!

 そんなの死ぬようなものでしょ!?」


「まあ、いざとなったら私なら見つけ出せるでしょ」


「そうね。

 多分大丈夫よ。折角だから試してみましょうか」


「やめてくださぁい!!」


「冗談よ。

 ほら、話しを戻しましょう」

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