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27-11.進展

「そういえば、収納魔法が変わらずに使えるのに、転移が出来ないのはなんでなの?

 私の転移門って収納空間、つまり世界の狭間を経由しているのだから、行けそうな気がしない?」


「マスター、そこには時間差が影響します。

 そこまで計算に入れることが可能ならば、転移も可能だとされています」


「その口ぶりだと、シーちゃんの世界の技術でも、世界間転移は実現していないのね」


「はい、面目ないです」


「いいえ、気にしなくて良いわ。

 それさえわかっていれば、私の能力ならどうにでもなりそうだし」


「無理よ。こはる。

 大前提として、その能力はお母様の世界でしか万全には機能しないわ。

 もしかしたら、他の世界でも好き勝手出来る可能性はあるけれど、そんな事をすればファンが増える程度じゃ済まないわ。

 最悪、お母様が責任を取らされるかも。

 それと、世界間転移については時間差だけが問題ではないの。

 それが何かまでは教えられないけどね」


「ファンを隠語にするの止めない?

 まあ確かにこの能力は、普通に使う分にはあの世界の法則に縛られていたし、言ってる事はわからなくはないけれど、先日のシーちゃん人化の際にリミッターが外れたままになっているのよ?

 ニクスは今回みたいな事を見越して掛け直さなかったんじゃないの?」


「そうね……

 流石お母様ね。自力でそこまで想定していたなんて。

 けれど、それでもまだダメよ。

 最後の手段にしておきなさい。

 正式な手続きを踏まなければ、お母様に迷惑が掛かるわ。

 まあ、お母様はそんな事気にせずに帰ってこいって言うのでしょうけど。

 ともかく、今はまだ止めておいて。

 こはるの能力で産み出す魔法は、どんな方法で無理を通すのかわからないのだから」


「わかったわ。

 けれど、どうしようもなくなったら使うからね」


「ええ。それでいいわ。

 その時は私も協力してあげる。

 少しでもお母様の負担にならないようにしたいもの」


「ありがとう。

 ノルンが手伝ってくれるなら、頼もしいわ。

 緊急時の手段が手に入ったのも朗報ね。

 誰か他に気になる事はある?」


『しょうあく』

『かんりょ』


「お疲れ様、ハルちゃん。

 ナイスタイミングね。

 イロハの方は?」


『まだ』

『けど』

『しょうあく』

『きょうりょく』

『してくれた』


「そう。

 イロハもありがとう。

 ハルちゃん、引き続きよろしくね」


『がってん』


『……』


「イロハ?

 なにか言いたい事があるの?」


『……』


「ゆっくりで良いからね」


 それっきり、イロハの気配は薄れた。

結局何も言わなかった。

まだ色々と複雑なのだろう。

そんなの当然なのだけど。



「さて、とりあえずの準備が完了したようね。

 シーちゃん、こっちも問題ない?

 ノルンはどう?」


「問題ありません!マスター!

 何時でも世界間航行に移れます!」


「私も問題ないわ。状況を進めましょう」


「ハルちゃん、お願い」


『らじゃ』


 ブリッジのモニターに映し出される地表世界に大した影響は出ていない。

けれど、世界中の気配が変わっていくのを感じる。

別の世界だからと気にもしていなかったけれど、ダンジョンが消滅して始めて気付いた。

ダンジョンの有無で空間から感じる気配が全然違う。

今は私達の世界ともそう変わらない。


 異常事態だからって、慌てていないで、もっと冷静になればすぐに気付いた筈だ。

ダンジョンは特有の気配を放っている。

その気配だって、私達の世界のものと、そう変わらない。



『そうでもない』

『きょうつうてん』

『あるだけ』


『にてる』

『いわれたら』

『そうおもう』

『そのていど』


『ハルも』

『きづかなかった』

『さいしょ』


「慰めてくれてありがとう、ハルちゃん」


『じじつ』


「それで、この世界の神はまだかしら。

 グレイグー作戦始めてみる?」


『まってくださ~い!!!!』


 知らない声が聞こえてきた。

どうやら、ようやくこの世界の神が出てきてくれたらしい。



「姿を見せなさい」


『ごめんなさ~い!!

 まだ無理なんです~!!』


「声が大きいわ、ボリューム下げて!

 無理なら名前を教えなさい!」


『え~!?

 名前ですか~!!

 ミーシャとお呼び下さ~い!!!』


「ハルちゃん」


『がってん』


 私はノルンの時と同じ様に、ハルちゃんの繋げた神の座への道を使ってミーシャと名乗った神を引きずり出す。



「は!?え!?」


 私の腕の中には、ニクス以上に幼い女神が現れた。

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