26-31.悪い見本
「「なんで何も進展して無いの?
私達の件とシイナの件は別の問題でしょ?」」
「いや、何もって程では無いはず……」
「「言い訳しないで。
私達にはアルカの心が丸裸なのよ」」
「……面目ございません」
「「こっちはちゃんと決着つけてきたわよ?」」
「……ちなみに結果は?」
「「もちろんバッチリよ!
ノアもセレネも受け入れてくれたわ!」」
「よくあの二人を押し切れたわね」
「「多分決め手はアルカがリヴィに手を出していた事ね」」
「……」
「「もちろん冗談よ」」
「本当は?」
「「ナイショ。普通はそんな事ペラペラ喋らないものよ。
少なくとも、人間はそういうものでしょ?」」
「もしかして、私の子達より成長早い?」
「しかたない」
「こっちは」
「みほんがわるい」
「ごめんなさい……」
「「それで?
アルカも私達の事を受け入れてくれるの?」」
「え?
いや、それはノアちゃんとセレネにちゃんと先日の件を謝って許可貰ってからじゃないと……」
「「何言ってるの?
もちろん、許可貰ってきたに決まってるじゃない」」
「え?」
「「根回しくらい当然よ。
疑うなら確認してみれば?」」
この子達、私よりちゃんとしてない?
「……別に疑うわけじゃないけど、確認は必要ね」
『ノアちゃん』
『ルチア達の事でしょう?
後はアルカに任せます』
『え?』
『もう私もセレネも説得されました。
少々二人の事を子供扱いしすぎたようです。
……してやられました』
なんだか呆れているような、少しだけ嬉しそうなような、妙な口調だ。
普通に許可を出したというより、負けを認めた感じっぽい?
一体何があったの?
『今更だけど、この間はごめんなさい。
ノアちゃん達に確認もせずに』
『そうですね。あれは良くないことです。
今のままでは、また似たような事が起こるでしょう。
次は気を付けて下さい』
『うん。ありがとう。
ノアちゃん』
『はい。シイナの件も早くって言うとあれですけど、とにかくアルカの帰りが待ち遠しいです。
頑張ってください』
『うん。帰ったらいっぱい甘えさせてあげるからね』
『甘えて欲しいの間違いでしょう?』
『ふふ。ノアちゃんにいっぱい甘えて貰えるのが楽しみ』
『私もです』
ノアちゃんとの念話を終わらせてから、セレネにも念話を送ると、同じような話をしてくれた。
「「ね?言った通りでしょ?」」
「そうね。ならもう切り替えましょう。
改めて歓迎するわ、ルチア、アウラ。
そして、私の娘達としてだけでなく、恋人としても宜しくね」
「「お嫁さんにしてくれるんじゃなかったの?」」
「それはこれからよ」
「「そう。ならそれでも良いわ。
ノアとセレネ程手強いわけでもないでしょうし」」
「言ってくれるわね」
「よくそれ言えたのです」
「サナは私の事嫌いなの?」
「そんなわけ無いのです。
大好きなのです。
わかりきったこと聞くなです。
ただアルカには自分の事を省みて欲しいだけなのです。
ボクはノア達みたいに泣きたく無いのです。
アルカの事も教育していくのです」
「うぐっ……」
「八つ当たりとちがう?」
「チグサすてい」
「サナただしい」
「は~い」
「マスターは悪い人なのですか?」
「そうじゃないわ。
少しだけ欲望と状況に流されやすいだけよ」
「すこし?」
「ラピス」
「アルカにあまい」
「ハルちゃんがそれ言うの?」
「…………ママがそれツッコむのダメ」
「「やっぱりこっちは賑やかね。
スミレも早く来ればいいのに」」
「皆仲良しなんはええことやんな~」
「「のんきね。
その意見には同意するけれど、このままではダメよ。
私達はノアとセレネに早くアルカを返してあげたいの。
少し背中を押してあげましょう」」
「めいあんある?」
「「皆でベットに行けば手っ取り早いでしょ?」」
「あっちも見本が悪かったみたいね」
「絶対セレネの影響なのです」
「ざんねん」
「しっかりもの」
「せいちょうした」
「おもったのに」
「がっかり」
「「なんでよ!?」」




