4-4.狩りデート
私達は未開拓地の奥地に来ていた。
残念ながらクレアは来ていない。
私とノアちゃんの二人だけだ。
まさか私がクレアの不在を残念に思うことがあるとは・・・
人生ってわからないものだ。
流石に異世界転移したとき程の驚きではないけども。
転移は行先をイメージする必要があるため、
まず、この地に一番近い行ったことのある町まで転移した。
その後は飛行魔法と転移魔法を組み合わせて飛んできた。
飛行魔法だけでは未だ魔力消費が多いため、
空から視界を確保して見える範囲で
一番遠いところに転移するのを繰り返したのだ。
お陰で、魔物の情報を得たその日の内に現地まで来ることが出来た。
私は周囲を探知して魔物の居場所を探る。
「いた!行くよノアちゃん!」
私はノアちゃんを抱きかかえて、
先程までと同じ様に目的の場所に向かう。
「あれですね!」
目視したノアちゃんが言う。
私は少し離れた高台に降り立って、
ノアちゃんを降ろす。
「今回は私の新しい魔法をちょっと試してみたいから、
ここで少し待っててくれる?」
「わかりました。」
「ありがとう。
じゃあ、ちょっと行ってくる。」
私は敵の鼻先に転移する。
今回の獲物はドラゴンだ。
ドラゴンは魔法防御が高い。
魔王や勇者が体に纏う力の壁を突破する方法を
模索している私にとっては都合の良い仮想敵だ。
ドラゴンの鼻先に向かって爆撃魔法を打ち込む。
衝撃でのけぞったドラゴンの頭が入る位置に転移門を展開する。
そして、ドラゴンの頭が入ったタイミングを見計らって、
転移門を解除した。
転移門が消えたことで、頭が首から切り離される。
あっさりと頭を失い倒れるドラゴン。
亡骸を収納魔法に入れてノアちゃんの元に戻った。
「・・・」
ノアちゃんがジト目を向けてくる。
「ノアちゃん?その・・・」
「アルカのバカ!!
頼りにしてるって言ったのに!
ちょっと試すでなんで倒しちゃうんですか!
私何の為に来たんです!?」
「ごめんなさい・・・」
「いっぱい頑張ったの見せたかったのに!」
「はい・・・」
「どうしてこんな事を?」
「ドラゴンは魔法が効きづらいから試すのにちょうど良いかなって・・・
流石にクレアに使うわけにはいかないし・・・」
「先に言っておいてください!
そうすれば私だって怒りませんよ・・・」
ノアちゃんが落ち込んでしまった。
「ごめんね。
これからまだもう一匹倒しに行くから、
そっちではね・・・」
「わかりました。それで許します。」
「ノアちゃ~ん!」
私が抱きつこうとすると、
ノアちゃんに避けられてしまう。
それからしばらく追いかけ回すが、
全く捕まえられない。
「もう十分ノアちゃんの頑張りわかったよ!」
「こんな事で見せたくなかったです!」
また怒らせてしまった・・・
ちょっと前まで、私に一撃も
入れられなかったのに、
ものすごい進歩だ。
今なら模擬戦しても負けてしまうかもしれない。
「まあ、でもその動きなら
ドラゴンが相手でも問題なさそうね」
「アルカが倒しちゃいましたね!」
いかん、何言っても怒らせてる
「ごめんなさい。もうしません。
仲直りして下さい。」
「しょうがないです。」
渋々近づいてきたノアちゃんを抱きしめて、
次の目的地への転移門を起動する。
ノアちゃんを抱き上げて転移門を潜ろうとしたところで
ノアちゃんから質問された。
「これ毎回抱っこする必要あるんです?
アルカと一緒じゃないと潜れないわけじゃないですよね?」
「・・・はい。必要はないです。」
「・・・しょうがないですね」
ノアちゃんは私に顔を押し付けて
表情を見られないようにしながらそう言った。