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26-26.熱意

「シーちゃんがダンジョンコアを解析したり出来ないの?」


『まだむり』

『まりょくかんち』

『できない』

『しんりきも』


「そういえば、私の力にも気付いていなかったわね。

 ハルちゃんが船に干渉して起動したのはどうやったの?」


『すいっち』

『おしただけ』

『みたいなもの』


『ふねのきのう』

『おこしただけ』


『それに』

『マスターとうろく』

『ふねがわのきのう』

『だった』


『ふねのきのう』

『しょうあく』

『できても』


『ぎじゅつまで』

『ぜんぶ』

『りかいした』

『わけじゃない』


「そうなのね……」


「三年もあるのだし、シイナに覚視を習得させれば良いんじゃない?

 今ならルネルさんだっているんだし」


『むずかし』

『かくし』

『そしついる』


『たぶん』

『シイナ』

『そしつない』

『いのちないから?』

『かも』


「もしかして、未だにルカが習得出来ていないのも素質の問題なのでしょうか。

 アルカも時間がかかっていたのでそんなものかと思っていましたが。

 けれど、アリアとカノンがあっさり使えたので、血筋的には使いこなせそうな気もしたのですが。

 その件についてルネルさんは何も言いません」


「最悪、フィリアスがいればどうにでもなるんじゃない?

 同化すれば体験だけなら何時でもできるだろうし」


「とりあえず、もう暫くは様子を見ましょう。

 数年程度は元々覚悟していたのですし」


「そうね。ルネルもいるんだし、どうにでもなるでしょう」


「ルカの事も気になるけれど、今はシイナの話よ。

 ハルの見立てではシイナに覚視を使わせるのは難しいと。

 なら当然魔力感知の訓練はさせてみてるんでしょ?

 シイナの件の一番根幹の問題は、私達とシイナの間で使われている力の質が全く異なる事よ。

 だから、シイナの生命維持に必要なエネルギーの供給方法がわからない。

 けれど、その手段が無いはず無いのよ。

 実際にあの船は動き続けているのだから。

 どうやってかこの世界でもエネルギーを生み出し続けているのだから。

 例えその装置の仕組みもわからなくたって、魔力か神力が感知できればシイナ自身が解析して利用できる可能性はあるのよね?」


『ちがう』

『そうじゃない』


『あのふねのエネルギー』

『ちくせきあるだけ』

『うみだすきのう』

『とまってる』


『ませきとおなじ』

『ほきゅうできなければ』

『いずれはなくなる』


『つかいきれば』

『シイナおわり』


『スリープしながら』

『さんねんもつ』

『けど』


「え!?」


「なら、ニクスを説得して期限を延ばしても意味ないのね」


『それに』

『かいせき』

『むずかし』


『シイナ』

『ふねのつかいかた』

『いがい』

『なにもない』


『ことば』

『じょうしきすこし』

『しってるだけ』

『あかんぼう』

『みたいなもの』


「アルカはそんな子に手を出してるの?」


「リヴィもいますし今更では?」


「ノアはそれでいいの?」


「それこそ今更です」


「ほら、もう脱線しない。

 次よ次。

 教育と解析は時間をかけるしかないのでしょう?

 けれど、その時間も三年以内って期限があるのね?

 なら、それはそれでハル達に進めてもらうとして、私達にも出来る事を考えましょう。

 きっと思っている以上に余裕は無いのよ」


「セレネ、どうしてそんなにやる気なの?

 アルカはいつもの事だけど、セレネはそんなに熱い性格してたっけ?」


「熱いって何よ。

 そんなんじゃないわよ。

 アルカが困っているなら力になる。

 私にとって重要な事はそれだけよ。

 何時だって私の優先順位の一番はアルカよ」


「セレネ!」


「一々抱きつかないの!

 話を進めなさい!」


「は~い」


「嬉しいくせに」


「当たり前じゃない。

 そんな事より、ニクスもいい加減案出しなさいよ。

 無理ダメ不可能だけじゃない。

 それで本当に協力する気はあるの?」


「うぐっ……

 そう言われても……」


「ノルンは?」


「お母様」


「良いよ。自分の判断で話せると思ったことなら」


「ありがとうございます。お母様。

 こはる、あなたの力なら出来るのではないの?

 お母様に貰った力があるのでしょう?」


「何でも出来るけれど、その代わりに具体的な方法がイメージできないといけないの。

 それが思いつかないから、こうして皆にも考えて貰っているのよ」



「ならこう思い込みなさい。

 シイナは生きた機械なのだと。

 お母様が言ったことも、私達が言ったことも一旦全部忘れなさい。

 魂の有無なんて忘れてしまいなさい」


「下手にこの世界の既に存在する生き物に当てはめようとしなくたって良いの。

 ただこの世界の法則にさえ沿っていれば良いの。

 きっとそれはその能力が上手くサポートしてくれるわ。

 あなたはあなたの想像が及ぶ存在に当てはめてしまうの。

 ただ生きている生命体なのだと強く思い込むの。

 そうして人化魔法を使いなさい。

 きっと人にはならずとも、生きた何かにはなる筈よ」


「あなたの魔法は本来もっと自由なものであるはずなのよ。

 無駄に制約が多いのは単にあなたの頭が硬すぎるだけよ。

 あなたは余計な事を考えすぎなのよ。

 最初に能力を使った時はそうではなかったでしょ?

 収納魔法も飛行魔法もそこまで細かく考えなかった筈よ?

 ただ出来る。そう思っていただけの筈よ。

 抱き寄せ魔法のおかしな部分はそうやって生まれたのよ。

 こはるの想いの強さが生み出したのよ」


「この世界の魔法を学んだ事が、転移魔法の習得に苦戦した事が、グリアに言われた事が呪いになってしまっているの。

 その力は世界の常識なんかで測れるものではないのよ。

 一度全て忘れて呪いを打ち破りなさい。

 その能力に本当に必要なのはイメージじゃない。

 思い込みよ」


「それは、こはるがこうだと思った事を実現する為の力よ。

 お母様がこはるの為に心を込めて創り上げたものよ。

 その能力に出来ないことなんてあるはずがないのよ。

 一人で難しいのなら頼もしい娘達に頼りなさい。

 きっと全て上手くいくわ」



「ニクス、良いの?」


「……良いよ。その能力で本当に出来るのなら認める」


「アルカの能力は自分で作ったものなのに確信は無いの?」


「……正直無い。

 その能力が想定外の挙動をする事があるのは事実だ。

 ノアを求めて生み出した抱き寄せ魔法の事だけでなく、私への想いで能力そのものまで作り変えてみせた。

 少なくとも生み出される魔法の効果に想いの強さが影響しているのは間違いないよ。

 能力自体を作り変えてでもその結果を引き寄せるんだよ。

 それも、場合によっては私の力すら超える程だ」


「そんなもの、尚更使わせるのはまずいんじゃないの?」


「そうなんだけどね……

 少しだけ試してみたいんだ。

 またノルンのように私のアルカに手を出す不届きな神がいないとも限らないし。

 最低限の自衛手段にも使えるかもしれない」


「世界とアルカを天秤にかけてアルカを取るって事ね。

 ニクスも良い感じにおかしくなってきたんじゃない?」


「笑えないよ」


「ニクス……

 私、やってみるわ!

 いいえ、やり遂げて見せるわ!」

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