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4-3.お願い

私はギルドロビーでギルド長を見かけて話しかける。



「お前から討伐依頼を受けたいだなんて

どんな風の吹き回しだ?」


「違うわ。強い魔物の目撃情報が欲しいだけよ。

別に依頼になってなくても良いの。

未開拓地の奥で目撃されたとかでも

なんでも良いから情報ちょうだい。

転移魔法もあるからどこか遠くでもいいわ。

ギルドなら世界中の情報得られるでしょ?」


「まあ、それは構わないが・・・」


「あと、ついでにクレアにも声かけといてくれる?

最近、見当たらないみたいなの。

できれば一緒に行ってもらいたいから。」


「わかってはいたが、

問題が起きた時のアルカはよく働くな。

どうして普段からこうじゃないんだ?」


「うっさいわ!」


「「アルカはやればできる子なんです!」」


「二人共、お願い止めて・・・

ここでそんな事大声で言わないで・・・」



回りからクスクス笑い声が聞こえるのは

絶対被害妄想なんかじゃないやい!



私は恥ずかしくなって直ぐにギルドを脱出した。



「ダンジョンには行かないのですか?」


「う~んまだ良いかな。

今回欲しいのは強力な魔物の魔石だから、

ダンジョンで探すと時間がかかるのよ。

一回で目的の物が手に入るとも限らないしね。

他にもいろいろとやることがあるから、

目撃情報を待って、ダメそうならダンジョンにも行くわ。」


「わかりました。」


「今回はノアちゃんの事も頼りにしてるわ!

クレアとの訓練ですっごく強くなったものね。」


「はい!任せて下さい!」


「アルカ!私も!」


「「・・・」」


「なんで二人共黙るのよ!」


「「だって・・・」」


「やっぱり私はいらない子なんだ・・・」


「「違うよ!そうじゃないよ!」」


「「「ぷっふふふ」」」


「ごめんね。今回はグリアとお留守番かな

セレネと一緒に行ける日も楽しみにしてるから。」


「わかった。いっぱい訓練して待ってる!」


「セレネ良い子ね。大好きよ」


「アルカ!」


「もちろんノアちゃんも!大好きよ!」


「なんかついでみたいです・・・」


「ノア、尻尾が嬉しそう」


「セレネ!?」



キャーキャーやり始めたノアちゃんとセレネを眺める。

うちの子達やっぱり可愛い。





私は家に戻ってグリアの部屋に向かう。


「グリア今良い?」


「ああ。大丈夫だとも」


「ドワーフ爺さんのところで見た魔道具どう思う?」


「流石に見ただけではなんとも言えんな。

少なくとも現在知られている技術ではない。

仕組みだけでなく、加工技術も含めてだ」


「昔に作られた物ってこと。」


「大昔、それも数百年前は間違いないだろうな。」


「あのお爺さんは何者なのかしら」


「それこそ君の方が詳しいだろうに」


「それが、名前も教えてくれないのよ」


「まあ、あんな物を持っているのだ。

只者ではあるまい。」


「ドワーフの国って知ってる?

私、世界中を旅したけど聞いたこともないのよね。

というかドワーフ自体あのお爺さんしか見たことないのよ」


「いや、少なくともこの国には無いな。

少し調べてみるとしよう。」


「お願いね。個人の事情を詮索するようで

気が引けるけど、言ってたことが気になっちゃって」


「アルカ君がこの国に来る前に居たところという話のことかね?」


「流石ね。やっぱり気付いてたわよね。」


「この話をすると言う事は、話すつもりになったのかね?」


「ええ。そのつもりよ。言うまでもないだろうけど、

この事は殆ど誰にも教えてないから。グリアを信頼したから話すのよ」


「光栄だね。ノア君達は知っているのだろう?」


「そうね。ノアちゃんとセレネ、後もう一人だけ知っているわ。」


「それで?」


「私は異世界から来たの。

魔法が無い代わりに科学と呼ばれるものが発展した世界」


「なるほど。その科学とやらは気になるね。

そこが今回の話の目的なのかな?」


「ええそうよ。話が早くて助かるわ。

あの世界では火や水だけでなく、

電気をエネルギーとする技術があった。

その技術は世界中に広まっていて、

こっちの世界でいう平民でも皆がその恩恵を享受していたわ。」


「例えば明かりを付ける時、

例えば遠くに移動する時、

例えば何かを知りたい時」


「明かりはろうそくではなく、

電気を光に変換するものが

指先一つでいつでも使えた。」


「遠くに移動する時は馬車ではなく、

自動車や電車と呼ばれる鉄の箱にのって

馬車よりずっと早い速度で移動できた。

しかも飛行機っていう鉄の鳥もあったのよ

人はそれに乗って海や山すら越えていくの」


「何かを知りたい時は、本だけではなく、

世界中の人が情報を共有する装置で調べることもできた。

その装置には本一冊の何億倍でも足りないくらいの情報が

入っているのよ。」



「で、結局何が言いたいかと言うとね。

その世界では殆どの人が

この世界で言う大魔法使いのように

様々な技術を使いこなすことが出来たの。

身分や生まれの差も無くね」


「それこそ、あの魔道具のように」


「ここからは半分妄想の話になってしまうのだけど、

向こうの世界でよくある創作の話に、

進歩しすぎた技術で世界が滅んでしまうというのがあるの」


「エネルギーの枯渇。戦争の激化。

意図せぬ天敵の創造。人間性の喪失。理由は様々だわ」


「あの魔道具を持ってみて、お爺さんの言葉を聞いて、

私はドワーフの国もそうやって滅びてしまったんじゃないかって思うの。

もしかしたらそこにはあの世界から来た人間も関わっているのかもしれない」




「確かに妄想にしか聞こえない話だね。

まあ、言いたい事はわかったとも。

つまりあの技術を私が持ち出さないようにしたいのだろう?」


「まあ、言葉を選ばずに言うならそういう事だわ。

上手く、技術を手に入れたとしても魔王討伐後には絶対に手放して欲しい」


「ああ、約束しようとも。

わざわざ秘密を明かしてまで警告したのだ。

君の信頼に答えるくらいはするともさ」


「ありがとう。信じているわ」


「確かに研究したい気持ちは大きいが、

あれが危険なものであることは私にもわかるとも。

別に世界を滅ぼしてしまいたいわけじゃないのだから」


「後付に聞こえるかもしれないけど、

この話をしたのは警告だけではなくて、

グリアを信頼していると示したかったからでもあるの」


「わかっているとも。これからもよろしく頼むよ。

仲良くやっていこうじゃあないか」


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