表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

538/1373

26-18,気付き

「そもそも何で私、抱き寄せ魔法に拘ってるのかしら。

 新しい魔法を作れば良いのよ。

 折角イメージした魔法を使えるなんて能力あるんだもの」


「「「……」」」


「皆も気付いてなかったのね」


「正直忘れていました。

 アルカ自身殆ど使っていませんよね?

 戦闘はともかく、普段の生活にはもっと使ってみては?」


「そうね。

 ハルちゃん、改めて活用法を一緒に考えましょう。

 というか、ノアちゃんも欲しい魔法があれば言ってね。

 私が作ってハルちゃんが解析すれば、大抵のものはルチアが使えるから」


「まかせて」


「でもそう都合よく使える魔法が出来るのですか?

 抱き寄せ魔法の原理だってわかっていないのですよね?」


「この能力で産み出す魔法の効果には二つの理由があるの。

 一つは私のイメージ。

 これが正確なら、より確実に望む魔法に近づくわ。

 もう一つは安全装置。

 抱き寄せ魔法がおかしな性能になったのはこれが原因よ。

 私の考え不足を補って機能を付け足してくれるの。

 その結果、相手のあらゆる耐性を無効化する機能が追加されたのよ」


「改めて聞いても意味がわからないわね。

 どうしてそうなるのよ。

 私の持つ神のギフトどころか神本人の耐性にまで干渉するってどういう事なの?」


「さあ?

 私の能力を作ったニクス本人が、この魔法の事はバグ呼ばわりしているのだもの。

 気にするだけ無駄だと思う」


「よくそんなもの使う気になりますね」


「さっきもう少し使えって、ノアちゃんが言ったのに……」


「もうその能力でシイナの事助ければ良いんじゃないの?」


「「「……」」」


「神の力を超える可能性すらあるのなら、ニクスが無理だと言っても救う方法が見つかりそうじゃない?」


「ハルちゃん、どうしたら良いと思う?」


「ニクスのいいぶん」

「シイナ」

「せいめい」

「ちがう」


「そう言っていたわね。

 シーちゃんが機能を停止しても転生は出来ないって」


「それはどういう意味ですか?」


「えっと、シーちゃんは凄い魔道具みたいな存在なの。

 魔道具が壊れるのと、人が亡くなるのは違うでしょ?

 アムルのように魂だけ存在するなんて事はできないの。

 壊れたらそれっきり。何も残らない」


「それは……」


「だから、先ずはシーちゃんに命と本物の魂を与えなければいけない」


「命と魂を与えるって、そんな事が許されるのですか?

 仮に成功したとしても、ニクスにすら出来ない事をやってしまって、アルカは人でいられるのですか?」


「一応、ニクスから止められてないから大丈夫かなって」


「それは単に不可能だと思っているからでは?

 万に一つも可能性など無いと思考停止しただけでは?」


「……その通りでしょうね。

 ニクスならそう考えるはずだわ」


「これもうっかり案件かもしれませんよ?」


「最近悪巧みしないから忘れていたわね。

 そういえば、あの子うっかり女神だったわ」


「なら」

「むしろ」

「かのうせいある」

「ためす」


「どういうアプローチにしましょうか。

 下手に効果のわからない魔法を使って、シーちゃんの肉体に別の命が宿ったりしたら洒落にならないわ」


「小春、怖いこと考えるわね」


「止めて下さいって意味で言ったのに、何でかえってやる気になっているんですか?」


「しんぷるにいく」


「にくたい」

「かりのたましい」

「ませき」

「ゆうごう」


「ひとつにする」


「魔石の件はニクスから釘刺されてるのよ」


「ぐぬぬ」


「二人ともストップです。

 そこまでにしてください。

 シイナの件はニクスに確認してから進めて下さい」


「ダメ?」


「ダメです。ハルの頼みでも聞けません」


「なら私からもお願いよ、ノアちゃん」


「アルカの頼みなら容赦なく断れます」


「ひどい……」


「正直オチわかってたでしょ?」


「まあそうなんだけど」


「じゃあ、ノルンの件に話を戻すけど、ノルンを呼び出す魔法は出来たわ」


「はあ!?

 何言ってるんです!?」


「大丈夫よ。心配しなくても今すぐ使ったりしないわ」


「いや、そっちもですけど、そうじゃなくて、出来たってどういう事です?

 ついさっきまでどうしようも無いって話していたのに、どうして突然そうなるんです?

 そもそも、魔法の効果は本当に試してもいないのにわかるのですか?」


「なんとな~く、上手くいきそうな気がしているわ」


「ダメじゃないですか!」


「いやでも、不老魔法の時と同じくらいには手応え感じてるのよ!

 流石に人化魔法の時程の確信は無いのだけど」


「そんなアルカにしかわからない感覚言われても困ります!

 というか、不老魔法ってそんな曖昧な状態で使ったんですか!?」


「安心して!

 ノアちゃん達に使った時は、私で実験した後だったし!

 今の状態に問題がないのはニクスにも確認済みよ!」


「安心できませんよ!」


「かいせきする」


 ノアちゃんはそう言うなり私に同化して、私が思い浮かべた魔法を調べ始めた。



「愛する相手の部分を神の座の神様って条件に置き換えてみたのだけれど、どうかしら。

 ある程度の制約なら置き換えられるんじゃないかと思ったのだけど」


「そもそも何で制約が必要なの?

 思い浮かべた相手を引き寄せるじゃだめなの?」


「それだとなんでか上手く行かないの……」


「自分の能力なのに曖昧すぎるでしょ……」


『ノア』

『しんじて』


『すこしかかる』

『けど』

『ちゃんと』

『しらべる』


『つかうまえに』

『せつめいする』


『だからおねがい』


「……とりあえず調べてみて下さい。

 それから判断しましょう」


『ありがと』

『ノア』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ