26-9.始動
私はグリアのお母様との話を終えた後、グリアをシーちゃんの船に送り届け、ハルちゃんを回収して自室に転移した。
『ラピス、さっきのは何をしたの?』
『何の話?』
『ラピスが私の失言を止めてくれた時の事よ』
『?
何って、普通に話しかけただけじゃない』
『?
ハルちゃん、私の記憶確認してくれる?』
『もうした』
『おかしなとこない』
『ふつうにとめただけ』
『どういう事?
私は覚えているわよ。
私の失言でグリアを怒らせて、お母様と約束して、ノアちゃんに叱られたの。
けれど、気がついたら失言の直前に戻っていた。
そこでラピスが止めてくれたの。
ラピスが未来の映像を見せたとかではないの?』
『いまアルカ』
『おもいうかべてる』
『ばめん』
『きおくない』
『??』
『きおく』
『だんぜつない』
『みらいみた』
『ちがう』
『かこにもどった』
『ちがう』
『きおく』
『むじゅんない』
『おもいうかべた』
『ばめん』
『いまとつぜん』
『はえてきた』
『そんなかんじ』
『???』
『かせつ』
『へいこうせかい』
『きおく』
『のぞきこんだ』
並行世界?何で?
『アルカしか』
『にんしきむり』
『けど』
『おもいうかべる』
『なら』
『ハルみれる』
『つまり?』
『アルカのちから』
『かも?』
なんで?
過去に戻ったのではないのは何となくわかる。
未来予知ではなく並行世界だと思う根拠は?
『みらい』
『そんざいない』
『すこしちがうみらい』
『あるだけ』
『じかん』
『いっぽんみち』
『えだわかれない』
『いま』
『つねにせんとう』
『???』
『むずかし』
『せつめい』
『大人モードで普通に喋ってみるとかどう?』
『もんだい』
『ちがう』
『アルカ』
『おばか』
ひどい……
とりあえず、ニクスに相談してみるべきよね。
『ダメ』
『そうだん』
『なし』
『なんで?』
『いいから』
『おねがい』
『まあ、ハルちゃんがそこまで言うならしないけど』
『ありがと』
『ラピス』
『かわって』
『シイナ』
『そばにいって』
『わかったわ。ママ。
あるじの事お願いね』
『まかせて』
『ハルちゃんが私と一緒にいるの?
シーちゃん転生計画の方は良いの?』
『なんとかする』
『アルカネット』
『しどうする』
『ラピス』
『つなぐ』
『大丈夫よあるじ!ママを信じて!』
『それは勿論信じてるけどさ』
『じゃ行ってくる!』
私の中からラピスの気配が消える。
『え?今の何?ラピス何したの?
私の中から転移したの?』
『アルカネット』
『チグサのところ』
『いどうした』
『転移とは違うの?』
『ちがう』
『けーぶる』
『みたいの』
『ラピスはチグサの中に移ったの?』
『ちがう』
『チグサでぐち』
『しけんうんよう』
『うまくいった』
『そんなのぶっつけ本番で試して大丈夫だったの?』
『けっかおーらい』
『あんまり無茶しないでね』
『サナとナノハ』
『てつだう』
『まずはかいせき』
『はい!』
『…………がってん』
ハルちゃんの真似?
ナノハ可愛い。
『アルカ~』
『はいはい。サナも可愛い可愛い』
『雑なのです!』
『アルカ』
『勿論ハルちゃんも可愛いわ!
最高よ!抱きしめたいから出てきて!』
『えっぐひっぐ』
『サナも出てきて。
抱き締めてあげるから。
なんでかサナって虐めたくなるのよね』
私の腕の中にナノハが現れた。
ちゃっかりしてるわね。
遅れて現れたサナと合わせて二人を抱きしめる。
『ハルちゃん?どうしたの?
出てこないの?』
『いまむり』
『いそがし』
『え!?』
『アルカのため』
『ハルがんばる』
『あとでいっぱい』
『ぎゅしてもらう』
「手伝うのです」
「…………ナノハも」
『ごめん。二人も手伝ってて言われてたのに私が空気読めてなかったわね。
ハルちゃん、二人は返すわ。
よろしくね』
『うん』
『がんばる』




