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25-29.顛末

 セレネと私は翌日から自宅に場所を移した。

セレネは契約後から妙に大人しい。

どうやら今だけは昔のように娘として甘えたいようだ。

自宅に移ったのも、セレネを好き放題したいとかではなく、二人きりで仲良し母娘として一緒に過ごすためだ。


 残った二日間は、いつかやったようにお菓子作りをしたり、膝枕で耳かきしたり、ボードゲームで遊んだりと信じられないほど穏やかな時間を過ごした。



「もう帰らなくちゃね~」


「まだ嫌。もっと一緒に居てアルカ」


「セレネ……」


「私はずっと欲しかったの。

 こんな風に暮らしていたいの。

 お願いよ。全て捨てて私と二人で生きて」


「……ごめんね」


「……冗談よ。そんな事思うはず無いわ」


 私はセレネを抱きしめる。



「ううん。良いのよ。

 セレネがそう思ってくれて嬉しいのよ。

 けれどごめんね。私もセレネも皆の事が大好きだから」


「わかってるの。もう言わないで。お願い」


「うん。わかった」


「けど、あと少しだけこうしていてね。

 一秒でも長くアルカと二人きりで居させてね」


「うん。喜んで」


 寂しい思いをさせてごめんね。セレネ。

もっと頑張るから。



 結局、もう一晩二人きりで過ごしてから皆の待つ家に帰宅した。

ノアちゃんは何も言わなかった。

もちろん、他の皆も。





 結局一月近くデートして過ごしていた。

何故かデートしていただけのはずなのに、新しい家族が三人増えた。

とはいえ、見た目にはあまり変わっていない。


 シーちゃんはまだ一緒には暮らせないし、スミレはカノンに同化している。

チグサも私の中だ。チグサは色々信用できない。

暫くは私の中で過ごしてもらおう。



『ひどいわ~。

 もうなんもしいひんって言うてるのに』


『私の世界ではそういう話し方する腹黒キャラは裏切るって相場が決まってるのよ』


 別に糸目でもないし、なんなら可愛い顔してるけど。



『ハルしってる』

『あにめでみた』


『別に話し方関係無いんじゃない?

 腹黒ってそもそもそういう意味じゃないの?』


『いややわ~

 可愛いやなんて照れるわ~』


『あなたちょっと面白いわね。

 その図太さは他の子には無かった要素ね』


『気ぃ合いそうやん?』


『どうかしら』


『いけずやわ~』


『けど安心して。

 あなたがどんな子でも愛してあげる。

 チグサはもう私の大事な娘だもの』


『無理やり拐うといて良う言うわ~』


『承諾したじゃない』


『あないな力見せ付けられたら、言う事聞くしかあらへんやん?』


『どうしても嫌なら力と記憶を奪って逃がしてあげるわ』


『えげつないな~。

 娘や思てるんやなかったん?』


『だからこそじゃない。

 大切な娘が望む事なら泣く泣くでも叶えてあげたいのよ』


『大人しゅうするわ~』


『まあ、悪さしなければ好きにして良いわ。

 望みがあれば何でも言ってみて。

 可能な限り叶えてあげる』


『出る許可欲しいわ~』


『そのうちね』


『いけず』


『ふふ。良い関係を築きましょうね』


『は~い。アルカはん』


『きょういく』

『つづける』


『チグサには厳し目にしても良いわよ』


『がってん』


『可哀想に……』


『ラピスは出てきていいわよ。

 少し二人で過ごしましょう』


「あるじ!!」


 私は自室でラピスを抱きしめる。



「ラピス~」


「あるじ~」


「遂に手を出しましたか」


「ノアちゃん!?」


「ノア、気が早いわ。

 決定的な場面はこれからだったじゃない」


「セレネまで!?二人してどうしたの!?」


「皆待っています。行きますよ」


「え?」


 私とラピスはノアちゃんとセレネに手を引かれて皆の寝室移動する。

 ベットには何故か全員集合していた。

しかも全員薄着だ。これってそういう事?

まだお昼前よ?どうしちゃったの?



「みんなもう我慢の限界なんです。

 自分たちとのデートで散々味あわせておきながら、アルカが他の子とデートしているのが我慢ならないんです」


「え?まさかそれって?

 アリアどころかリヴィまでいるわよ?

 なにするつもりなの!?」


「良いから覚悟を決めなさい」


 私はベットの中央に押し倒される。

ノアちゃん、セレネが真っ先に私の唇を奪い、レーネ、ニクスも後に続く。

カノン、お姉ちゃん、アリア、ルカ、リヴィ、ハルちゃんと続き、最後にラピスも紛れ込んだ。

流石にルチア、アウラ、スミレ、チグサは参加しなかったけど。

シーちゃん、サナ、ナノハはそもそも参加出来ないし。

そこからまた数日開放される事はなかった。

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