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25-28.聖女

 遂に正妻ラスボスとのデートだ。

とは言え、恐れる必要はない。

セレネはミーハーだ。

お高い店を回ればゴリ押せる。

私はセレネの事を熟知している。

何も恐れることなどない。

どうせベットに連れ込ませてしまえば出てこれなくなるし。

日程いっぱい解放してくれない事だろう。



「なんて事を考えてないでしょうね」


「……何の話?」


「既に全員のデートの内容は聞いているわ。

 随分とお盛んだったようね。

 私にまで下手な手抜きでもしようものなら許さないわよ」


「そっか……

 セレネは私とするのは飽きちゃったんだ……

 そうだよね。もうあれだけ弄んだんだもの。

 今更私なんかじゃ物足りないよね。

 いくらでも鳴き叫んでくれるニクスや、うぶなアウラじゃないとダメなんだよね……」


「泣き落としがしたいの?

 喧嘩を売りたいの?

 どっちなのかハッキリしなさいよ。

 というか、アウラにはまだ手を出したりしてないわよ!」


「え!?そんなわけ!?」


「私を何だと思ってるのよ!?

 生後数日の幼子に欲情するわけないでしょ!?」


「いや、実際はそうだけど。

 見た目は自由自在だし、精神年齢も十分じゃない」


「知識があることと精神年齢が高いことは別の話よ。

 アウラはまだまだ経験が必要よ」


「ならセレネの中に閉じ込めておかないで外に出したら?」


「出てるわよ?」


「え?あれ以来見たこと無いけど」


「避けられてるんじゃない?」


「そっそんな……」


「私を満足させられたら口添えしてあげるわ。

 どうなるかまでは責任持たないけど」


「セレネぇ~」


「ほら何時までも情けない声出してるんじゃないわよ。

 行くわよ。時間が勿体ないわ」


 私はセレネを抱き締めて転移する。

先ずは例の服屋だ。

これだけは事前に宣言しておいたので、デートの為におめかししてくれたセレネの逆鱗に触れるような失態もない。

今回は我ながら冴えていた。



『普通のことや思うけど~』


『チグサすてい』

『せっかくがんばった』

『ほめてあげるべき』


『ママ!そうじゃないわ!

 今はデート中だから大人しくしてるんでしょ!』


 ラピス!成長したのね!

なんて良い子なの!愛してるわ!



『えへへ~』


『デートしながら別の子口説くなんて悪い人やわ~』


『いいかげん』

『だまる』


『アルカも』

『しゅうちゅう』


『は~い。

 ハルちゃん、チグサの事お願いね~』


『がってん』


 そこからたっぷり数時間はセレネのファッションショーを楽しみ、大量の服を購入していく。

あとでカノンに叱られそうだけど仕方ない。


 そのままカノンのレストランで食事を済ませてから次の町に転移する。

あっちこっちの町を飛び回ってデートを続け、一日目の最後に昔グリアに会うために訪れた魔法大学のある王都のホテルにやってきた。



「ここって……」


「覚えてる?

 セレネが家族になったばかりの頃に泊まったわよね」


「もちろん忘れるわけないじゃない。

 けれど、どうしてここを選んだの?」


「まあ、特別な理由はないんだけどね。

 折角なら思い出のある場所で懐かしむのも良いかなって」


「そう……」


「あの頃のセレネはノアちゃんにべったりだったわよね。

 逆に私とは少しだけ距離があったかも。

 距離というか、遠慮していたのかな。

 今回はリベンジね。

 私にべったりにしてみせるわ」


「なによそれ」


 セレネが笑い出す。

少しだけあった戸惑いは消えたようだ。



 ノアちゃんの時のように、一通り済んで後は寝るだけになった所で、私はセレネに契約を持ちかける。



「何で私が最後なのよ」


「最後じゃないわ。

 まだアリア達がいるもの」


「本気で言っているなら怒るわよ」


「ごめんなさい」


「真っ先に私としてくれても良いじゃない。

 私はアルカの一番なんでしょ?」


「だからこそよ。

 好きなものは最後まで取っておくものよ」


「口先だけ上手くなってきたわね」


「セレネ好みになってきた?」


「ぜんぜん」


「まだまだ精進するわ」


「頑張りなさい」


「は~い」


 いつも通り現れたハルちゃんの導きで私とセレネの契約も完了した。



「すごい……

 期待以上だわ」


「それは良かったわ~」


「これよ。これが欲しかったのよ。

 ずっと羨ましかった。妬ましかった。

 アルカを側に感じ続けるなんてズルいって思ってた。

 やっと繋がれた……」


 ボソボソと呟いた後に泣き出すセレネ。



「セレネ!?

 どうしたの!?

 どこかおかしなところでもあった!?

 大丈夫!?セレネ!」


「大丈夫。落ち着いて。

 感情が伝わらないのはもどかしいのね。

 大丈夫よ。アルカ。

 ただ嬉しいだけよ。

 だって当然でしょ!

 こんなに直ぐ側にアルカを感じられるのだもの!

 肉体の接触なんて目じゃないわ!

 こんなの泣くに決まってるじゃない!」


 私は本格的に泣き出したセレネを抱きしめる。

暫くそうして過ごし、落ち着いてきた所で押し倒してキスをする。



「今日は私に任せてね。

 私のセレネ」


「うん。今ならアルカの全てを受け入れてあげる。

 信じてあげる」


「ありがとう。愛してるわ。セレネ」

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