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25-24.ズルズル

 今は部屋の中に私とカノンの二人だけだ。

ハルちゃん達は同化している。



「嫌よ。今日はダメ。

 雰囲気作って出直して」


「じゃあ何で大人しく押し倒されているの?

 今のカノンなら転移だって使えるのよ?」


「私じゃないわ。使えるのはスミレよ」


「同じことよ。

 あの子達は宿主の一部となるのだもの」


「私はそんな風に割り切れないわ。

 もうその話は止めましょう。

 アルカに嫌な気持ちなんて持ちたくないわ」


「なら尚更よ。

 我慢はダメよ。

 お互いの気持は全てぶつけあいましょう」


「ひどい人」


「そうよ。私は最低な人間よ。

 カノンが絶対に私を嫌いにならないと知っているからこんな事を言えるのだもの」


「どうしてそんな風に盲信できるの?

 アルカが信じているのは本当に私なの?

 それとも、なにか妙な力にでも頼っているの?」


「もちろんカノンの事を信じているのよ。

 自分の事なんて何一つ信用していないわ。

 そして私の知る限り、私にそんな都合の良い力は無いわ」


「何だか含みのありそうな言い方ね」


「私に都合の良い事が多過ぎるとは思っているわ」


「なら精々油断しないでね。

 魔法が解けたら皆居なくなってしまうかもしれないわよ」


「そんなわけないじゃない。

 きっかけにどんな理由があろうと、私は今もこれからも皆の気持ちを疑ったりしないわ。

 ずっと側に居てくれるって信じてる」


「だから、それがダメだって言ってるのよ」


「ならカノンが警戒していて。

 私の為に考えて。私を理不尽から守り抜いて」


「ひどい人」


「嫌い?」


「そんなわけ無いでしょ!何度も言わせないで!」


「私も。カノン大好き。愛してる」


 私はカノンにキスをする。



「もう」


「雰囲気出てきたでしょ?」


「勝手に盛り上がっているだけじゃない」


「わかったわ。ごめんなさい。

 今日はもうしないわ」


 私はカノンの上から体をどける。



「さて、お風呂に入って寝てしまいましょう。

 明日はどうする?

 デートは止めておく?」


「……本当に諦めるの?」


「どうなっても知らないわよ」


 私は再びカノンに覆いかぶさった。


 翌日の夕方頃になって我に返った。



「またやっちゃったわ……」


「どういう意味よ?」


「いえ。なんでもないわ」


「素直に吐きなさい。

 初めてなのに丸一日近く拘束しておいて、最後にそんな言葉吐かれてどう思うかわからないの?」


「……言っても怒らない?」


「言わなくても怒ってる」


「……レーネともお姉ちゃんとも、丸一日こうして過ごしていたから、少しは自重してちゃんとデートしようって思ってたんだけど……

 我慢できなかったの……」


「もう!もう!もう!」


「痛い!カノン痛い!」


「うるさい!最悪よ!どうしてそんな事ばっか言うのよ!

 空気読みなさいよ!怒るに決まってるじゃない!

 どうせならもっと幸せに浸っていなさいよ!」


「カノン!ごめんね!」


 私はまたカノンを押し倒した。



「もう日付変わっちゃったわよ」


「明日、というか今日はノアとのデートだっけ?」


「そう。帰らないと」


「朝になったら帰りましょう。

 まだ離したくないわ」


「カノン、ヤケになってる?」


「最低なアルカには丁度いいでしょ?」


「ダメよ。カノンは綺麗なカノンのままでいて」


「うるさい。私はもうアルカから離れられないの。

 一緒に堕ちてあげるわ」


「カノンが壊れた……」


「アルカのせいね」


「それはそう」


「いいから少し寝ましょう。

 明日、ノアには一人で謝ってね」


「カノンひどい……」


「アルカ程じゃないわ。

 もう口は開かないで。

 しっかり抱き締めていて」


「仰せのままに。お姫様」


「うるさい」


 ひどい……


 翌朝、こっそり自室に転移して何食わぬ顔で朝食の席に向かうも、あえなくノアちゃんからお説教を貰う事になった。


 ノアちゃんの決定によりデートは一日スライドする事になり、今日は休むことになった。

自分のデートは万全の状態で臨むようにとの事だった。

一体何をするつもりなのかな~



「アルカ、私のデートは三日間にしなさい。

 それなら許してあげるわ」


 ついでのようにセレネには追加の日程をねじ込まれた。

まあ、私は嬉しいけれど。

他の子達は大丈夫?もう一周する?

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