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25-21.陥落

 私は宿を取ることは諦めて、お姉ちゃんを抱き締めたままピレウスの町の自室に転移した。


 今日はお互いに子供モードだったので、私は普段の姿に戻って、子供モードのお姉ちゃんをベットに押し倒す。



「何も答えないのなら、このまま強引にいかせてもらうわ。

 私無しでは生きられない体にしてあげましょう。

 ハルちゃん、ナノハお願い」


『がってん』


「え?」


 私の中からハルちゃんとナノハが出現した。

私はお姉ちゃんの指をナノハに咥えさせる。


 ナノハとお姉ちゃんの契約はすぐに完了した。

やはり、私との契約でしか進化はおこらないようだ。

ぶっつけ本番だったから、少しだけ不安だった。

しかもサナが土壇場で嫌がったし。

ナノハは渋々ながら承諾してくれた。

ハルちゃんのママでもある深雪お姉ちゃんに少しは興味もあったのだろう。



「あなた達!一体何しているの!?」


 やばい。お姉ちゃんが正気に戻ったようだ。

ナノハとの契約が衝撃だったのだろう。

始めての契約はかなり心身に影響出るし当然か。



「ハルちゃん!やるよ!」


「うん!」


 私はナノハとの繋がりを介してお姉ちゃんへパスを繋いでいく。



「アルカ!ち!」


「わかった!」


 私は唇を噛んでから、またお姉ちゃんに口づけして強引に血を取り込ませる。

契約に必要なのはほんの少しだ。

舐める程度でも十分なはず。


 今度もそう時間はかからずに契約が成功した。



「小春!あなたまさか!」


「うん。良い感じね。

 契約の繋がってる感覚だけならハルちゃん達のと、そう大差は無いかしら。

 やっぱり感情は見れないのね。

 それに力もあまり流し込めないみたいだわ。

 けれど、これで十分ね。

 お姉ちゃんの存在を十分に感じられるわ」


「なんてことしたのよ!?」


「前にお姉ちゃんとも契約するって言ったでしょ?

 安心して。ちゃんとニクス検査も通過してるから。

 まあ、最初の契約には立ち会わせるようにって言われていたけれど、お姉ちゃんが素直になってくれないのだし仕方ないわよね。

 次の契約の時には呼びましょう。

 そうだ!もう一つも試さなきゃ!

 お姉ちゃん。最初で最後の命令よ。

 お姉ちゃんはこれからどうしたい?

 私と一緒にいてくれるつもりはある?

 答えて」


「やめ!私は!ダメ!

 小春と!嫌よこんなの!」


「あれ?弾かれた?

 けど少しかかりかけたみたい。

 とはいえ、やっぱり命令も難しいみたいね。

 まあ良いわ。どうせ使う気も無いのだし」


「小春!どうしてこんな事をしたの!?」


「どうして?まだそんな事を言っているの?

 何度も言ったはずだよ?

 私はお姉ちゃんを手放さない為には何でもするって。

 お姉ちゃんこそどうしてわからないの?

 私がお姉ちゃんを好きな事、まだ疑っているの?」


「……」


「また黙り?

 もう良いよ。何も答えなくて。

 ナノハありがとう。戻っていいわ。

 ハルちゃんはどうする?一緒にやる?」


「いい」

「もどる」


「そう。じゃあゆっくり休んでいてね。

 必ずお姉ちゃんは繋ぎ止めてみせるから。

 また今度三人で楽しみましょう」


「うん」

「たのしみ」


 ハルちゃんとナノハが私の中に戻ったのを確認して、私はお姉ちゃんをベットに押さえつけてキスを繰り返す。

お姉ちゃんは何度か抵抗の言葉を漏らしただけで、それ以上の抵抗や転移で逃げたりもしなかった。

何時間も続けた頃、ようやくお姉ちゃんも返してくれるようになってきた。



「お姉ちゃん、どうだった?」


「……なにが?」


「気持ちよかった?」


「……うん」


「私の事もっと好きになった?」


「……少し嫌いになりそう」


「まだ足りないのね!」


「なんでそうなるのよ!普通逆でしょ!」


「でも本当に嫌いになったりはしないでしょ?」


「それは……」


「お姉ちゃんが吹っ切れるまでは続くからね」


「何言って……」


 気付くと二日目の夕方になっていた。

そろそろ帰らないと。

明日はカノンとのデートだ。



「お姉ちゃん。もう終わりだよ。

 帰らないと」


「小春!小春!小春!」


「ダメだわ。聞いてないわね。

 どうしてこう極端なのかしら」


 私は今朝方遂に覚醒したお姉ちゃんに身を任せていた。

今は少しだけ気を失っていたようだ。

時間は数分位だろう。

この調子だとその間もお姉ちゃんは続けていたようだ。

そろそろお姉ちゃんをまた正気に戻さないと。

どうするのが良いかしら。

本当は満足してくれるまで続けさせてあげたいのだけど。


 私はお姉ちゃんの頭を撫でながら、もう少しだけお姉ちゃんの好きにさせてみた。


 周囲が完全に暗くなった頃、少しだけお姉ちゃんの気が緩んできた。



「お姉ちゃん」


「小春?あれ?

 私は……」


「まさか忘れたなんて言ったら怒るよ?」


「…………!?」


 真っ赤になったお姉ちゃんは転移してしまった。全裸で。



「どうしよう。呼び戻した方が良いかな」


『そっとしとく?』


「今のうちにはっきりと言葉にさせておいた方が良いと思わない?」


『またにげる』

『かのうせいある』

『ハルもさんせい』


「やっぱそうよね。

 冷静じゃなかった~なんて言って無かったことにされかねないわよね」


『ママそういうとこ』

『ある』


 私は魔法でお姉ちゃんを抱き寄せた。

お姉ちゃんはまだ全裸だ。

どこに行っていたのかしら。



「お姉ちゃん。大好き。

 愛してる。私の想いに応えてくれる?」


「……」


「散々好き勝手してまだ逃げられると思ってるの?

 何時間やってたと思ってるの?

 お姉ちゃんがどれだけ私を好きかたっぷりと伝わったわ」


「……小春のせいじゃない」


「そうなるまで逃げなかったお姉ちゃんのせいでしょ」


「逃げたって意味ないじゃない」


「なら抵抗すれば良かったじゃん。

 いつもみたいに、これはダメだって叱ってみれば、もしかしたら止めてあげたかもしれないよ?」


「止める気無かったくせに」


「もちろん」


「どうして放っておいてくれないの?」


「どうして放っておいてもらえると思うの?」


「質問に質問で返さないで」


「そういうお姉ちゃんこそ私の質問に答えて無いじゃない。

 ちゃん答えてよ。気持ちを言葉にしてよ」


「私は……小春の事が……」


「ほら!あと少し!もうちょっと!」


「変なちゃちゃ入れしないでよ!

 好きよ!大好きよ!愛してる!

 私は小春の事が世界で一番好きなの!

 世界を越えても愛してるの!

 これでいいでしょ!?満足なんでしょ!?」


「うん!嬉しい!

 大好き!お姉ちゃん!」


「もう十分わかったわ。

 帰りましょう。皆も待ってるわ」


「ダ~メ。あと一回」


「カノンちゃんに悪いわ」


「カノンにもいっぱいするから大丈夫よ~」


「私にキスしながらそんな事言わないでよ!」


「じゃあ口を塞げばいいじゃない」


「小春!」


 結局そこからまた小一時間は続けてしまった。

家に帰った時間はだいぶ遅くなってしまい、またかという顔をするノアちゃんに温め直してもらった夕食を食べて、不安げに近づいてきたカノンに、明日も予定通りデートに行くことを伝えた。

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