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25-19.攻略中

 残りのハルちゃんとのデートの間は、シーちゃんとハルちゃんズと共に船内で遊び続けていた。


 ここには卓球とビリヤードだけでなく、ダーツやボーリングすらも存在した。

というか、シーちゃんの翼と同じように卓球台が消滅し、他の設備が何処からともなく現れた。


 これらも全部ナノマシンの力のようだ。

シーちゃんは自分の意思で操作しているらしい。

コンソールも別にあるそうだけど、シーちゃんに頼めば済むのでわざわざ使う必要もないだろう。


 散々に遊び倒している内に夕方になり、そろそろ帰ろうかと話し始めた所で、その前に少しだけお姉ちゃんを連れてこようという話しになった。

私は念話で確認してから魔法で抱き寄せる。


 まずはお姉ちゃんを完全に仲間に加える為の第一歩として、シーちゃんと船の事を紹介していく。

最初から私達の計画を伝えるのは無しだ。

最悪、お姉ちゃんも私達を止めるかもしれない。

あの魔石はそれだけ危険なものだ。

ドワーフと関わりがあった以上、お姉ちゃんもあの魔石の危険性は知っているはずだ。

お姉ちゃんにとっては私の安全が一番大事だろう。


 お姉ちゃんもこの船の設備と私達の世界の共通点に違和感を感じているようだったけれど、細かくツッコんでくる事は無かった。

もしかしたら、ニクスと私の、船を守るための交渉に横槍を入れて私に嫌われた事が引っかかっているのかもしれない。


 もちろん、お姉ちゃんの事を本気で嫌ったわけじゃない。

思わず口に出てしまっただけだ。

あの場で謝って仲直り出来たと思っていたけれど、またこの船に関わってしまって、気になり始めた可能性もある。

ここに来てからのお姉ちゃんの態度は少し変だ。


 明日はお姉ちゃんとのデートだから、そこで少しでも蟠りが無くなると良いのだけど。

お姉ちゃんはまだ昔のようにはかまってくれない。

エイミーの時の方が距離が近かったくらいだ。

話しもできるし場所を選べば抱きしめるのも許してくれる。

けれど、来た当初以来二人きりで寝る事は許してくれない。

話す内容にもほんの少しだけ距離がある……気がする。


 明日のお姉ちゃんとのデートはハルちゃんも一緒だ。

とはいえ、私の中から出るつもりはないみたいだけど。


 代わりに、あれだけ嫌がっていたラピスが待っててくれると言い出した。

二日間シーちゃんと一緒に遊んで仲良くなったからかもしれない。


 私がハルちゃんを連れて行ってしまうと、シーちゃんが一人になってしまう。

通信端末で見聞きは出来るし、姿だけは出せるけれど、肉体の接触が無いのは辛いのだろう。


 シーちゃんは触れ合いが好きだ。

最初は私かハルちゃんから殆ど離れる事は無かった。

それがわかっているからか、ラピスはずっと大人モードでシーちゃんの側にいた。


 今では二人もすっかり仲良しだ。

シーちゃんはラピスに抱き締められても安心している。

この様子を見れば安心してラピスに任せられる。


 きっとアリアとの学園生活も上手くやってくれるだろう。

私ももう少しだけラピスの気持ちに応えてあげようかしら。



『まだはやい』

『ラピスたよられるすき』

『こどものせわ』

『むいてるだけ』


『せいしん』

『せいじゅくちがう』


『もしかして私にラピス取られるの嫌になちゃった?』


『……ちがう』


『そうよね。私はハルちゃんでハルちゃんは私だもの。

 ラピスが私の恋人になったら、ハルちゃんも好きにすれば良いわ』


『なやましい』

『ラピスむすめ』

『たいせつ』


『ふふ。いっぱい考えると良いわ』


『ラピス』

『アルカのむすめ』

『でもある』


『てをだす?』


『今更じゃない』


『のりき』

『かんたんに』

『こころかわりすぎ』


『そう?私にしては保ったほうじゃない?』


『まだまだ』

『うけいれる』

『つもりない』

『はずだった』


『そうなんだけどね。

 他の子と仲良くなって優しくしてる姿見ると我慢できなくなっちゃうのよね』


『どくせんよく』

『かってすぎ』


『そうね。私もそう思う』


『しかたない』

『アルカ』

『ダメにんげん』

『いつものこと』


『皆が好きでいてくれればそれで良いわ』


『まんしんだめ』

『ゆだんだめ』


『おたがい』

『どりょくつづける』


『いっしょにいつづけるにはひつようなこと』

『ハルもがんばるよ』


『ハルちゃん!今晩は二人きりで過ごしましょうね!』


『ダメ』

『あしたママ』

『ちゃんとねて』


『あ~戻っちゃった~』


『あきないくふう』

『ひつよう』


『いつものハルちゃんの話し方も大好きよ』


『ふへ』


 お姉ちゃんに一通り船を案内した後は、一先ず帰宅した。

お姉ちゃんをシーちゃん魔物化計画に巻き込むのは、少しずつゆっくりだ。

今日の所はここまでだ。


 明日のデートでお姉ちゃんを口説き落とせれば、そんな手間かけ無くても良くなる可能性もあるけど。

ともかく最善を尽くそう。



「お姉ちゃん、今日は一緒に寝て良い?

 明日が楽しみで我慢できないの」


「ダメよ」


「何で嫌がるの?

 私の事嫌いになっちゃったの?

 この前嫌いって言った事、まだ許してくれてないの?

 ごめんなさい。お姉ちゃん。

 お願いだから嫌いにならないで。

 お姉ちゃんの事が大好きなんだよ」


「違うわ。そうじゃないの。

 嫌いになんてなるわけないじゃない」


「じゃあ何が問題なの?」


「明日出かけるのは同意したんだから良いでしょ?

 私も楽しみにしてるから早く寝ましょう」


「うん……

 そうだね!

 我儘言ってごめんね!

 明日は絶対に楽しませてみせるからね!」


「……ありがとう。小春」

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