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25-6.家族

 私はグリアと共に、自室に転移した。



「何故君の部屋なのかね?

 私を連れ込んでノア君達にどう思われるかわかっているのかね?」


「まあ良いじゃない。

 少しだけ話しをしましょう。

 お母様にもああ言ってしまったのだし」


「何でもかんでも安請け合いしすぎなのだ!

 本当にいい加減にしたまえよ!」


「この件に関してはグリアに責められたくないわ。

 それで?グリアはどうしたいの?

 一生独り身でいたいの?

 お母様安心させたくないの?

 それとも本気で出会いの場を用意しても良いの?

 私のお嫁さんよりそっちの方が良い?」


「やめんか!ふざけた誘導の仕方するんじゃない!」


「まあ、私はどちらでも良いわ。

 けれど、できれば側にいて欲しいわね」


「いらん心配だ!

 母様には悪いが、諦めてもらうだけだ!」


「まあ、グリアがそう決めたなら無理強いは出来ないけど。

 じゃあこの話はここまでね。

 私はノアちゃんに学園の件相談するけど、グリアはどうする?

 一緒に話す?」


「いや、部屋に戻らせてもらう」


「そう。今日はありがとう。助かったわ」


「アリア君達のためだ。

 それに、私も世話になっているのは間違いないのだ。

 気にする必要は無いとも」


 私はグリアを見送ってから、ノアちゃんに部屋に来てもらった。



「というわけなのよ」


「今朝も聞いていたので、学園の件は問題ありません。

 ですが、グリアさんの件は別です。

 なんで毎度毎度、外堀から埋められてしまうんですか?

 グリアさんにその意図が無いにせよ、親を紹介されて関係を応援までされてってなんでそんな展開になるのです?

 セレネが言っていたように、この世界がなにかアルカの都合が良いように捻じ曲げられているんですか?」


「そうは言ってもね……

 それに、その件はグリアが断固拒否したから、これ以上は進まないわよ。

 安心して?」


「何が安心してですか。

 ならば、他の方法を提示する必要があるでしょう。

 これからアリア達がお世話になるのに不義理を働くつもりですか?」


「こればかりは仕方ないじゃない。

 独り身で生きていく人だって別に珍しいわけではないでしょう?」


「それがわかっているなら安請け合いしないでください!

 関係を見直すと言ってしまったのでしょう?

 なら本気で取り組んでください。

 一言二言交わしただけで諦めるのは見直したとは言いません」


「はい……仰るとおりです」


「グリアさんの事はアルカに任せます。

 必ずなんらかの形で責任を果たしてください」


「はい」


「まあその話はともかく、学園の事は感謝します。

 私も経験が無かったので思い至りませんでした。

 アリアもルカも教育は必要ですね。

 ですが、リヴィも本当に行かせるのですか?

 まだ早いのではないですか?」


「そうだけど、後から何年も一人で通うのは寂しいでしょ?

 リヴィは成長魔法も使えるし、実年齢以上にしっかりしているから、ルカと一緒なら問題ないと思うのだけど。

 それにできればルカのボディーガードもして欲しいのよ。

 アリアにはラピスを付けるわ」


「そのコンビ見直しません?

 アリアにリヴィで、ラピスにルカじゃないです?」


「私もそう思う。

 けれど、流石にリヴィにアリアの年齢に合わせてもらうのはどうかと思って」


「まあ、それはわかりますが。

 というか、中身的にはアリアとラピスの方が低学年と言われた方がしっくり来ます」


「あはは~」


 否定できない……



「ともかく、残りの期間でしっかり鍛えておきます。

 ちなみに通うのは家からで良いのでしょう?」


「ええ。そのつもりよ。

 本当なら寮での生活とかも経験させるべきなんでしょうけれど、流石にまだその覚悟は持てないわ。

 何年か通って問題がなければ改めて考えましょう」


「はいそれで良いと思います。

 私もリヴィと離れるのは嫌ですし、全員まだまだ鍛える必要があります。

 帰宅後は訓練に励んでもらうとしましょう」


「なんだか部活みたいね」


「ぶかつ?」


「なんでもないわ。

 ところでノアちゃんはどうする?

 せっかく日中は手が空くのなら、私達に付いてこない?

 ここでの生活だけでは退屈してしまうでしょう?」


「そうですね。家事はルチアが手伝ってくれるので前以上に時間はありますしね。

 けれど、冒険者活動を再開してみるのも良いかと思ってました」


「なるほど。

 やりたい事があるのなら無理にとは言わないわ。

 まだ二ヶ月以上はあるからゆっくり考えておいてね」


「はい」


「学園の件はこんなところね。

 ……グリアの件、いい方法無いかしら」


「任せると言ったはずですよ?」


「相談に乗ってくれる?」


「私に新しい女性を口説く算段を問うのですか?」


「違うわ。

 それ以外の方法についてよ」


「それ以外と言われましても……」


「今のところはっきりしているのは、

 私はグリアに恩を返したい。

 グリアは結婚に興味がない。

 理事長さんはグリアに身を固めて幸せになってほしい」


「今のグリアさんとの関係は、端から見たら雇用主と被雇用者でしかありません。

 私達はグリアさんを家族だと思っていますが、お母様の立場からすれば理解しがたい事でしょう。

 言い方は悪いですが、職員なのか居候なのかわからないのです」


「そうね……

 なら、私達は家族なのだと、家族としての愛を向けているのだと証明できれば安心するかも?」


「そのわかりやすい形が結婚なのでしょう?

 家族のように思っている事と、家族である事はイコールではありません。

 少なくとも、お母様の立場としてはそのはずです」


「うぬぬ……

 なら私とグリアで契約でもしてみる?

 魔術的な繋がりならどう?」


「仮にも魔法大学の上に立つ人に、娘との隷属契約を見せるのですか?

 流石に問題があるでしょう。

 それに寿命の件もあります。

 レーネと同じように寿命も無い存在になってしまえば、グリアさんの本意ではありません」


『それはない』


『にんげん』

『かわらない』


『しんか』

『まものにしか』

『おこらない』


「ハルも聞いていたのですね。

 なるほど。それは少し安心しました」


「ハルちゃんはなにか良い案無い?」


『グリアけっこん』

『なにがもんだい?』


「グリアの方が望んでいないわ」


「まるでアルカは気にしていないようなもの言いですね」


「まあ、側にいて欲しいと思っているのは事実ね。

 流石に恋愛感情は無いけど、形だけ結婚するのは気にしないわ」


「アルカがそんなだから嫌がっているんじゃないですか?

 本気で口説けば案外簡単に受け入れるのでは?」


「ノアちゃんは推奨するの?」


「しません」


「ならこの話はそれで終わりよ。

 今のところお互いに気持が向いていないのだし、わざわざ意図的にそうする必要はないわ」


「じゃあどうするのです?

 結婚する気は無いけれど側にはいて欲しい。

 家族とは思っているけれど、相手の家族には理解を得られず、対応を求められている。

 アルカはグリアさんをどうしたいのです?

 結局はその気持ち次第では無いのですか?

 伴侶ではない家族として、グリアさんを縛りたいと、グリアさんの家族に認めさせるしかないのでは?

 それにはなにかしら、社会的に認められる形が必要なのではないですか?

 そうでないのなら、雇用主と非雇用者と割り切った形を示したほうがまだ納得できるかもしれません。

 ようするに、いつも通り中途半端だから不安に思われたのですよ」


「うぐ……」


「この件は場を改めるとしましょう。

 皆にお願いして一緒に考えてもらった方が良いでしょう。

 カノンやセレネなら良い案を出してくれるかもしれません。

 お姉さんも何か思いつくかもしれませんね。

 少なくとも、私とアルカとグリアさんには向いていない問題です」


「そうね。今晩時間を貰いましょう」

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