25-3.三日目:年少組
私はアリア達を連れて未開拓地に戻ってきた。
とはいえ、別荘とはそれなりに離れた場所だ。
なにせ、今日まで隠しておきたかったからだ。
「なにするの?」
アリアは私が用意したものを見て戸惑っている。
「これが楽しいもの?」
ルカもピンときていない。
「アルカつくった?」
リヴィが一番冷静かも?
私は子供モードに変身してアリアの手を引いていく。
先ずは小手調べのシーソーだ。
アリアを反対側に座らせてから私も座って上下する。
私はハルちゃんと爺さんに協力してもらってアスレチックを作ってみた。
ハルちゃんが私の記憶から設計図を作り、爺さんが実際に作ってくれたものだ。
シーソーの他にもブランコ、登り棒、ジャングルジム等の基本的な遊具から、もっと本格的なものまで選り取り見取りだ。
シーソーに乗ったアリアは燥ぐ私に戸惑うばかりで、全然楽しそうにしていない。
普段からもっと激しい動きをしているから楽しみ方がわからないのだろう。
ノアちゃんが投げる勢いの方が強いもんね。
私はめげずに次の遊具に連れていく。
遊んでいる内に段々とアリアも楽しみだした。
アリアを見てリヴィが続き、私はルカの手も引いていく。
そうして夕方まで遊び倒した。
なんか勢いで押し切ったけど、この子達の身体能力を考えて作り直さないとダメかも知れない。
体の小ささに反して身体能力が高すぎる。
力を加減しても楽しめたのは精々ジャングルジムくらいだった。
お互いに動き辛い中で追いかけっ子するのもそれはそれで楽しかった。
『つぎかんがえる』
『もっとむずかしの』
『いっそ広い間隔で丸太でも立てて並べるだけの方が楽しめるかしら』
『リヴィとべる』
『それ言い出すとどうしようもないわね』
『つぎはS◯S◯KEさいげん』
『そうね。子供向けよりそっちにするべきだったわね』
『もえてきた』
『頑張って!』
「アルカ!楽しかった!」
アリアは笑顔でそう言ってくれた。
きっとこれは本心だろう。
良い子だなぁ~
可愛いなぁ~
「でも物足りなかったでしょ?」
「アルカ!そういう事言わないの!」
ルカが私の余計な一言を咎める。
ごめん。その通りよね。
せっかくアリアが笑ってくれてるのに。
「リヴィもたのしかった!」
少し飛んで私の後ろから抱き締めてくれるリヴィ。
ルカに怒られた私を慰めてくれているのかしら。
それとも純粋に感想を言ってくれたのかな。
なんにせよ、皆優しい子だ。
私は肩にかかったリヴィの腕を握りしめてもっと引き寄せる。
そのままリヴィをおんぶして全力で走り回る。
耳元できゃっきゃと喜ぶリヴィの声を聞きながら、暫く続けた後、アリアとルカにもせがまれた。
そうしてまた暫く走り回り続けた。
「完全に暗くなちゃったわね」
「ルカ姉怒るよ」
「……このまま逃げちゃう?」
「もっとおこられる」
「リヴィの言う通りよアリア。
それにまだ怒られない可能性も残っているわ。
いつ帰るなんて約束はしてないし……」
「どうせノア姉達も遅くまでデートするつもり。
そこを突けば回避できる……はず」
「その辺はルカに任せるわ。
私だと余計なことまで言って怒らせるだろうし」
「それは間違いないわね!
頑張ってルカ!」
「がんばれ~」
「ええぇ……」
「ともかく帰りましょうか。
流石にじっとしていると冷えるわ。
まだ冬だし。
だから他にしたいことがあったらまた次回って事でね」
「「「は~い」」」
私は三人を連れて自室に転移する。
家族に帰ったと挨拶をしてから露天風呂に向かう。
今日ばかりはノアちゃんも怒らなかった。
晩御飯も作ってくれていたようだ。
お風呂から出たら頂くとしよう。
そういえば昼も食べずに遊んでたんだった。
途中で収納空間から出したお菓子を食べて休憩したけど。
特別サービスの食べ放題にしたら全員お菓子だけでお腹いっぱいにしてしまったものね。
「アルカお尻ばかり触りすぎ!
流石に恥ずかしいわ!」
「ルカの触って良い」
「リヴィのも!」
「今日はアリアの番よ~
ルカとリヴィは昨日と一昨日、沢山ぎゅってしたでしょ」
「うふふ~」
アリアが私の言葉に嬉しそうにする。
「でもアリア嫌って」
「アリアいやって!」
「嫌って言ってない!恥ずかしいって言ったの!
今日は私の番!」
「仕方ない。いっそこの機会にアルカ落としてよ。
そうしたらルカもすぐだろうし」
「リヴィがおとす」
「任せて!私の魅力でメロメロにしてしまうわ!」
メロメロて……
「もうとっくにアリアに虜よ~」
「じゃあ今すぐ結婚してくれる?」
「もう婚約してるじゃない」
「違うでしょ!
結婚してもっと凄いキスしてくれるんでしょ!」
「普通にしたって寝落ちしちゃうじゃない。
ちゃんと耐えられるようになったらね~」
「アリア。キスだけじゃない」
「ルカ、お口チャック。
それ以上はダメよ」
「?」
流石にリヴィは知らないようだ。
ルカも二人には教えてないのか。
三人でもキスくらいはしているらしいし時間の問題かもしれないけど。
『いつまで入ってるんですか?
せっかく温め直した晩御飯が冷めてしまいますよ?』
『ごめんね~今上がるわ~』
ノアちゃんから念話が飛んできた。
私は子供達を連れて風呂から上がり、夕食を済ませて自室に戻る。
「アルカ私にべったりね」
私はアリアをベットに寝かせてお腹に顔を埋める。
舐めたい。かじりたい。
「今日はアリアを離さないわ~」
「もう寝る。アリアばっかだし」
「リヴィあいてしてくれない?」
「二人ともカモン!」
私は三人を横並びに寝かせて覆いかぶさる。
「うふふ。今晩は寝かさないわよ~」
「なにするの?」
「望むとこ」
「ねむいよ?」
「まあ、流石に冗談よ。
あと五年は我慢するわ」
「なにを?」
「長すぎ!絶対無理!」
「……zzz」
一人脱落。
眠いって言ってから随分と速かったわね。
何だかんだ、今日は燥いでたから疲れていたのね。
「じゃあ、二年」
「だからなにを!」
「無理。アルカが我慢できない」
「そんな事ないわよ」
「もう!二人だけでわかる話しないで!
今日は私の番なんでしょ!」
「ごめん、ごめん。
アリアは可愛いわね~」
「えへへ~」
「アリアちょろい」
「ルカも可愛いわ~」
「ふふ」
「ルカだってチョロいだわ!」
「皆ちょろインズだものね~」
「そういうアルカが一番。
お嫁さんいっぱい」
「そうよ!今だって三人も連れ込んでるくせに!」
「良いじゃない。三人とも私のものなんだから」
「ならもっと!キス!」
会話が無限ループし始めた。
いつもいつも似たような事しか話してないわ。
やっぱり、この閉じられた環境は良くないのかも。
もう少しこの子達が強くなったら、町の側にメインの拠点を移して、私達以外の友達も作らせてあげなきゃだわ。
何処かに良い感じの学園でも無いかしら。
魔法大学があるあの王都なら子供向けの学園もあるのかな。
明日はデートも無いし、グリアに聞いておこう。
人間関係だけでなく、知識の面でも教育は必要だろうしね。




