24-21.改築
翌朝、先ずはルチアとアウラを連れてノアちゃんの元に向かう。
セレネはまだ寝ているだろうけれど、ノアちゃんに二人とも預けておく事にした。
「「アルカ、またお泊りして良い?」」
「え?」
「アルカ、ルチアに何をしたんですか?」
「私も今さっき対面したばかりよ。
ハルちゃんも妙なことはしてなかったわ」
「「居心地が良いの」」
「私の中の?」
「「そう」」
「……ちょっとイラッときました」
「「ノアが悪いんじゃないよ!
アルカがへんなんだよ!」」
「ルチアはアルカの所にいたいですか?」
「「ううん。そうじゃないの」」
「なんでアウラも答えてるの?」
「「セレネの所に戻りたいから」」
「とりあえず、二人とも私の所にもたまに遊びに来るって事で良いの?」
「「そう。そんな感じ」」
たまに高級旅館に泊まりたい的なやつ?
『アルカいがいと』
『けいやくはじめて』
『データとりたい』
『ねがったり』
『かなったり』
『ノアちゃんには聴こえないように言ったわね。
ハルちゃん。』
『しかたない』
『ノアおこる』
「まあ、良いです。
ルチアは今すぐ同化しますか?」
「「うん。する」」
アウラを残してノアちゃんに同化するルチア。
『「アウラはノア手伝う。
なにか指示を頂戴」』
「わかりました。
私は朝食の支度をしていますので、アウラはセレネを起こしてきてください」
『「わかった」』
そう言って、走り去るアウラ。
「何となく想像はしていましたが、やはりルチアは昨晩とはまるで力の総量が違いますね」
『おみっとした』
『ぎのうさいのう』
『ゆうせん』
『けいやくぜんてい』
「どの道、私との契約で力の総量は上がるから、そこは小さくしてダンジョンコアの消耗を抑えたの?」
『そう』
『このほうほう』
『まだまだだせる』
『いちぞく』
『つくる?』
「ダメよ。
ハルちゃんが自分の意思でやりたいのなら止めないけど、私に聞くようなら許さないわ」
「ダメです。問答無用で認めません。
何でアルカ認めてもいいと思ってるんですか」
「ようは、子供を作るって話よ。
これから一生、ハルちゃんに子作りするなって言うのは酷いじゃない」
「もう十分でしょう?
それに、その子はアルカの子供にもなるはずです。
そんな他人事みたいに言わないでください」
「そうね。
ハルちゃん、子供は計画的に産んでいくとしましょう」
「がってん」
「だからダメですってば!」
「私達には何千年でも寿命があるのよ?
子供が欲しくなる時もあるかもしれないじゃない。
大丈夫よ。ちゃんと独り立ちするまで育て上げるわ」
「誰も独り立ちしそうにないから言ってるんです!
国でも興すつもりですか!?」
「良いかも。フィリアス王国。
私の可愛い娘達が運営する国。
そんなの楽園じゃない。
真剣に検討してみるわ」
「アルカにとって楽園でも、その子達にとっては寂しい国なのですよ?
本気でわかっているのですか?」
「もっと契約の繋がりを強く出来ないかしら。
常に側にいる感覚が増せば寂しく無くならないかしら」
「これ以上ふざけた事を言うなら怒ります」
「わかった。今はもう言わない」
「まったく。全然納得してませんね」
「そうそう、この子達の総称はフィリアスでどうかしら。
種族名も兼ねているわ。
意味は娘達よ」
「本人達が納得しているのなら、それで構いません。
そもそも、私が纏めて呼ぶことはあまり無いでしょうし」
「そうね。私が呼びやすければ何でも良いわよね」
「さあ、話は済みましたね?
朝の支度を済ませてください。
朝食を終えたら、お爺さんを迎えに行くのでしょう?」
「うん。その予定よ。
私も改築の手伝いするから、一日忙しいと思う。
何かあったら、早速ルチアに頼ってあげてね」
「はい。そうします。
朝食作りも手伝ってもらいましょう」
私はノアちゃんを残して部屋に戻り、身支度を整えた。
それから暫くして朝食を済ませ、予定通りにドワーフのへパス爺さんの店に向かった。
「爺さん、今日から頼んだわね」
「おう。任せておけ」
「そう言えば、カノンとお姉ちゃんの指輪はどう?」
「そう急かさんでも作ってやるわい。
注文からたった数日じゃまだ材料が届いとらん。
今回も随分と厄介な注文じゃったからな。
もう一月程度はかかるじゃろう」
「爺さんって、いつもどうやって仕入れているの?
普通もっとかかるでしょう?
私の注文するようなものなんて、材料の仕入れだけで、下手したら半年くらい当たり前なんじゃないの?」
「そんなもん企業秘密に決まっとろうが。
ほれ、くだらん事言っとらんで早く行って作業を始めるぞ」
「は~い」
私は爺さんを連れて、別荘に転移する。
それから数日かけて改築作業を進めていった。
私も魔法で作業を手伝ったり、ノアちゃん達の意見も聞いて細部の調整をしてもらったり、皆で関わりながら豪邸を建てていく。
そうして、ようやく完成した館を前に既視感を感じる。
もしかして、ハルちゃんのダンジョンも使えた?
わざわざ建てなくてもすぐに出せた?
カスタマイズも出来たかも?
『うん』
『いつでもだす』
『気付かなかったことにしましょう。
折角ここまで苦労して作り上げたのに水を差す事無いわ』
『がってん』




