24-13.紹介
夕方頃に別荘に戻った私達は、再度全員で集まっていた。
今度はクレアとグリアも一緒だ。
当然、セレネとカノンの出稼ぎ?コンビもだ。
二人は最後の両家の家族で集まった時には既に合流していたけど。
向こうで食事も頂いてきたので、クレアとグリア以外は晩御飯もいらない。もう寝るだけだ。
二人も、私達の帰りが遅くなるかもしれなかったのでノアちゃんが予め用意しておいたもので済ませたようだ。
全員、それなりに疲れている様子なので、手早く目的を済ませて眠ってしまう事にしよう。
「皆、お疲れ様。
特にノアちゃんは子供達の引率や、お留守番組の食事を準備したりと、いっぱい頑張ってくれてありがとう!
もちろん他の皆もね!
これでレーネも正式に私の婚約者となったわ。
そして、無事に契約も結んだわ。
他の子達も、今ハルちゃんが新しい契約魔法を作ってくれているからもう少しだけ待っていてね」
「あと遅くなったけれど、改めて紹介したい子達がいるの。
サナ、ラピス、ナノハ。出てきてくれるかしら」
私の中から出現し、皆の前で横並びになるハルちゃんズ。
「赤い子がサナ、青い子がラピス、黄色い子がナノハよ。
何人かはラピスとも既に話しているわよね。
この子達は知識は豊富だけれど、まだまだ危なっかしい所も多いの。
特に、人間の社会には慣れていないわ。
迷惑もかけるだろうけれど、仲良くしてあげてね。
ちなみに改めて念を押しておくけれど、この子達は私とハルちゃんの娘よ。
恋人にするつもりで保護したわけではないからね」
「またそんな事言って!
明日には恋人になっているわ!」
「ラピス、戻りなさい。命令よ」
私の中に戻るラピス。
『酷いわ!抱き締めてくれるて約束したのに!
キスだってしてくれるって言ったのに!』
しまった!念話も封じておくべきだったわ!
「アルカ様、私との婚約式の最中でも構わずに口説いていらしたのですね……」
「ドン引きですね」
「そういう意図じゃないの!
お母さんとして、娘を抱き締めて、頬にキスするって言っただけなの!」
「もし明日まで保ったら、今後は信じてあげるわ」
「それ絶対に私が落とされると思ってるから言ってるんでしょ!?」
「そうよ」
「絶対に耐え抜いて信じさせてみせるわ!」
「耐える必要がある時点で論外です。
その発想になる時点でおかしいのだと理解して下さい」
「ぐはっ……」
「また小さい子ばかりじゃない!
ルカより小さいのだからアリアはもう良いでしょ!
今すぐ受け入れてよ!
お姉ちゃん達と同じ扱いして!
お姉ちゃん達にするみたいなキスしてよ!」
「ルカも問題ないはず」
「リヴィだめ?」
「私ともまだそこまでしてないのに……」
「カノンちゃんは奥手なのね」
「お姉さん慣れてきました?」
「お姉ちゃん来てからまだ数日しか経ってないのにね」
「セレネちゃんのせいじゃない……」
「私とアルカが愛し合うのを見て吹っ切れちゃったの?
ならお姉ちゃんもどう?
アルカは私の体に夢中よ?」
「吹っ切れたと言うより深く考えない事にしただけでは?」
「セレネ!お姉ちゃんを口説くのは私が先よ!」
「アルカにしては苦戦しているじゃない。
お姉ちゃんだけじゃなくてカノンもだわ。
のんびりしてたら、私が初めてを奪ってしまうわよ?」
「無理に決まってるでしょ。
アルカのせいで感覚が狂っているんじゃないですか?」
「それもそうね。
今晩はノアが相手して頂戴。
アルカはラピスの相手で忙しいのだろうし」
「嫌です。疲れました。寝ます」
「じゃあニクスで我慢するわ」
「嫌だよ!?」
「あれ?クレアとグリアがいない」
「とっくに戻りましたよ」
「相変わらず鈍いわね。
レーネ、ニクス私達も行きましょう」
「何自然にレーネも連れて行こうとしているんですか。
ニクスだけで我慢して下さい」
「は~い」
「嫌だってば!!
助けて!アルカ!」
「ごめん……
今日はハルちゃん達の為に使うって約束しちゃったの」
「全然一緒にいてくれないじゃん!
約束が違うよ!!」
「アルカが開き直ったのは、元を正せばあなたが卑劣な手段でアルカの誓いを破らせたせいじゃない。
今でこそこんなんだけど、それまでアルカは中々しぶとかったのよ?
あれ?でも、ニクスだけアルカを落とすのに数年もかかったって考えると……
ニクス、たまには少しくらい慰めてあげるわ」
「何を言いかけたの!?
何で同情してるの!?」
喚きながらセレネに引きずられていくニクス。
可哀想に。今晩は寝かせてもらえないだろう。
明日はニクスを慰める事にしよう。
最近あまり一緒にいられなかったし。
「私ももう寝るわ。
明日で仕事はとりあえず最後だからよろしくね。アルカ」
「わかったわ。カノン。
最後の送迎も任せておいて」
「送迎自体は最後ではないわよ?
これからは私と一緒に動くのだし、そんな機会もあるでしょう。
それに、あの部屋も当面は残しておく事になったわ。
引き継ぎは終わったけれど、まだ暫くは何かあれば手伝う事になるわ。
まあ、お父様がそういう口実を無理やり作ってくれたのだけれど。
そもそも向こうから連絡する手段もないのにね」
なるほど。
姫の立場を失って城を出ることになったカノンを手放したくないお義父様が、カノンの仕事ぶりを口実に引き止めているのか。
レーネのお義父様といい、娘に甘い王族ばかりだ。
カノン経由にはなるけれど、あの国もまだ当面は人魚の国や地下の町と同じように様子を見続ける事になりそうだ。
それも私の務めでもあると考えて行動する事にしよう。
「国の件も承知したわ。
カノンを貰い受ける為に必要な事だと思えば安いものよ。
これからも定期的に様子を見に行きましょう」
「ありがとう!
愛してるわ!アルカ!」
「私もよ。カノン」
カノンは私の頬にキスをしてから部屋に戻って行った。




