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24-7.決勝

『なるほど。事情はわかりました。

 レーネの立場ならそう考えるのも当然でしたね』


『もしかして怒ってないの?』


『怒るわけ無いでしょ?

 何を言ってるんですか?』


『だってさっき不機嫌だったし……

 アリアの件があったのに、ラピス貸し出したし……

 決勝戦を見世物にしようとしているし……』


『アルカ……

 どうしてそう短絡的なのですか?』


 ぐふっ……



『何故アリアとレーネを同じ立場で考えてしまうのです?

 レーネのやろうとしている事には目的も説得力もあるのです。

 レーネ自身が戦うことよりも、魅せる事を優先すると判断したのなら否定する理由など無いのです。

 出来心で勝手なことをしたアリアとは違うでしょう?

 一参加者でしかないアリアと運営側であるレーネが同じはずがないでしょう?

 この式典の目的は人魚の国の民にレーネの婚約者であるアルカを知らしめることです。

 闘技大会はその一環でしかありません。

 だからこそアルカも王様とあのような戦い方を選んだのではないのですか?

 王様にレーネを貰い受けますと示したかったのでしょう?

 アルカも本当は意味をわかっているはずです。

 もう少し視野を広げてそれぞれを結びつけて下さい。

 あと一歩考えればわかるはずです。

 アルカはやれば出来る子なんですから』


『はい……』


『ほら。落ち込んでいないでアルカも行って下さい。

 レーネは既に待っていますよ。

 シャキッとしてレーネの期待に応えてあげて下さい』


『うん!行ってくるわ!』


『私も期待しています。アルカ。

 アルカの力を見せつけてしまいましょう』


『うん!ありがと!頑張る!』


 私はノアちゃんを残して、レーネの元へ向かう。

レーネの正面で向かい合って、闇魔法で作り出した杖を構える。

これはパフォーマンスだ。そう割り切ろう。

杖はさしずめ小道具だ。

私には必要ないし、そもそも魔法で作り出した杖に、魔法の制御の補助や強化をするような効果はない。

わかりやすいイメージとして、王様の時とは違うのだと示すために槍と別のものを持ったに過ぎない。

でも、人魚に魔女の知識ってあるのかしら。

弓矢でも持ったほうが良かったかも。


 まあ、良いわ。

魔法で魅せれば問題ないもの。

杖もわかりやすく振ってあげましょう。

それで槍とは違うとわかるでしょう。


 開始の合図と共に、互いに魔法を放つ。

ラピスの補助を受けたレーネは巨大な渦巻きを生み出す。

私は闇の塊を放って渦の中央まで侵入させて中から吸い込み、かき消していく。


 そんな風に、レーネが大規模な魔法を放ち、私が都度違う方法で迎え撃つのを繰り返していく。

大規模魔術の応酬に観客は大盛りあがりだ。

狙い通り、わかりやすく力を示すことができた。


 最後は私から派手に攻撃魔法を放って観客の視界を埋め尽くしてから、レーネを抱き寄せ魔法で腕の中に召喚する。

そうして、レーネの降参で試合は終了した。



『アルカ様!最高でした!

 大きな魔法を使うのもとっても楽しかったです!

 皆も大盛り上がりです!』


『ふっふっふ!

 良いストレス発散になるでしょ!

 レーネもこの気持ちをわかってくれたのね!』


『……アルカ様が何度ノアに咎められても、高火力魔法ばかり使いたがるのはこれが理由だったのですか?』


『なんで!?なんで突然冷静になるの!?』


『アルカ様の普段の行いを思い出して我が身を省みました』


『しんらつ!』


『冗談でございます!アルカ様!

 私の願いを叶えて下さってありがとうございました!

 愛しています!大好きです!』


 レーネのテンションがなんか変。

初めて大きな力を振るって興奮したの?

まあ、気持ちはわかるけど。



『ふふ。嬉しいわ。

 私もよ、レーネ。

 さあ次は表彰式よ。

 王妃様が待っているわ』


『はい!』



 私は王妃様からトロフィー代わりの首飾りと祝福を賜る。

王妃様は私に首飾りをかけながら娘をよろしくと囁いた。

任せて下さい!必ず幸せにしてみせます!


 その後は暫く希望者が次々にリングに上って、予選の時のバトルロイヤルみたいなのが始まった。

元々この時間に予定していた催しは明日に回す事になった。

もう少しでレーネの儀式なので、それまでの中途半端な時間だけリングを解放した結果、このバカ騒ぎに繋がったのだ。


 流石にノアちゃんとクレアは参加していなかった。

というか、さっき二人で戦って満足したらしい。

相変わらず仲が良いわね。



『ラピス、レーネに協力してくれてありがとう。

 とっても良い仕事だったわ!』


『えへへ~

 お礼はキスで良いわ~』


『明日以降になっちゃうけどしてあげるわ』


『うん!楽しみ!

 もうドキドキが止まらないわ!

 これとっても素敵ね!

 きっとキスしたらもっと凄いのよね!』


 同化中も自分の鼓動を感じるの?



『さっかく』

『ハルのけいけん』

『どうちょうしてる』


 そうなんだ……



『あるじ!あるじ!』


『なあに?ラピス』


『大好きよ!うふふ!』


 ラピスもテンションが変。

レーネの気持ちにも同調したのだろうか。



『ありがとう。嬉しいわ』


『ふふ!ぎゅ!もしてね!』


『は~い』


『わ~い!』


『…………ラピスこわれた?』


『ナノハも』

『にたようなもん』


『…………そっか』


『ボクは?』


『サナはまだまだ』


『……なのですか』


『でも』

『じかんのもんだい』


『うむむ』


 ハルちゃんズは仲が良いわね~



『ハルちゃんズ』

『いいなまえ』


『『それはない!』』

『……ない』


『新しいのはハルちゃんが考えるんじゃなかったの?』


『ハルちゃんズ』

『だめ?』


『とりあえず暫定でハルちゃんズね。

 何か思いついたら変えるわ。

 皆も考えておいてね』


『『は~い』』

『……うん。かんがえる』


『しかたない』

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