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24-6.機微

『何であの二人戦い始めたの?』


『アルカ様の差し金では?』


『確かに王様はけしかけたけど……

 というかレーネは何でここにいるの?

 またセーレ達の所に行ってたから、決勝が終わるまでは戻ってこないかと思っていたわ』


『アルカ様がお一人で寂しそうでしたので』


『そんな事無いわよ』


『そうでした!

 アルカ様は心の内に四人もの想い人を囲っているのでした』


『怒ってるの?

 何だか言葉にトゲを感じるわ』


『私も加えて頂けるのであれば不満はありません』


『つまり、今は不満を感じていると。

 ごめん。レーネ』


『謝る必要などございません。

 経緯は理解しております』


『もしかして宣戦布告に来たの?』


『珍しく察しが宜しいのですね』


『何か思うところでもあったの?』


『ガッカリです』


『レーネ?』


『ラピスちゃん貸して下さい』


『え?』


『今の私では力不足です。

 アルカ様に不満をぶつける事すら難しいのです。

 それに、折角ですから会場を大いに盛り上げるとしましょう。

 アルカ様の力を受け止める為にもアルカ様の力を貸して下さい。

 民もそんな戦いを望んでいるようですし』


『もしかして、私と王様の戦いが盛り上がらなかったのが面白くなかったの?

 それで私を焚きつけようとしているの?

 レーネ可愛すぎるわ!キスして良い!?』


『一人で盛り上がらないで下さいませ!

 キスはダメです!夜までお預けでございます!

 焚きつけようとなんてしていません!

 アルカ様の不評が耳に入って怒ってなんかいません!』


 なにこれ可愛い!

不器用すぎるでしょ!

抱きしめたい!キスしたい!押し倒したい!



『アルカはうす』


『わん』


『勉強になるわ!』


 何が?



『レーネの気持ちは嬉しいけれど、それで本当に良いの?

 折角の決勝戦をただの見世物にしてしまうのよ?

 ノアちゃんはきっと怒るわ』


『ノアが怖いのですか?

 ノアの気持ちを優先して、私の望みは叶えてくれないのですか?

 それに、どの道真っ当な戦いにはなり得ないのです。

 私はお父様程の技量を持つわけでもないのです。

 決勝に上がったのも運と成り行きなのです。

 あと!アルカ様に不満をぶつけたいのは本心です!

 お父様にだってもっと格好良く勝って下さればこんな気持にならなくて済んだのです!

 アルカ様なら勝ち方を選べたはずです!』


『ごめん。レーネ。

 そうね。レーネの気持ちを考えていなかったわよね。

 この催しの最たる趣旨はそこだものね。

 わかったわ。ラピスお願いして良い?

 さっきはああ言ったのに早速で申し訳ないけれど、レーネに力を貸してあげてくれる?』


『良いわ!

 私の心もそうしろって言っているわ!

 私は私の楽しみの為ではなく、レーネの為に力になるわ!

 それがあるじの為になるって思うもの!』


『ありがとう。ラピス。

 あなた最高だわ』


『ふふん!』


『婚約者の眼の前で新しい女性を口説かないで下さいませ!

 しかもこの様な場所で!今は婚約式の最中ですよ!』


『ごめん……だけど、少し理不尽じゃない?

 レーネの為にラピスに頼んだのに』


『余計な一言を付け足したのはアルカ様の意思です!』


『そうだけど……』


『大丈夫よ!あるじ!

 レーネは少し興奮しているだけだわ!

 あるじが貶されて苛立ちを感じたせいだわ!

 文句を言うのもあるじの事が大好きだからよ!』


 ラピス?どうしちゃったの?

なんか覚醒したの?

さっきの今で、もうそんな機微がわかるようになったの?



『ラピス』

『アルカすき』

『こいした』

『だからりかいした』


 えぇぇ……



『ちしきだけあった』

『きもちと』

『むすびついた』


『むすめの』

『せいちょうはやい』


『すこしうれし』


 ついでにハルちゃんも母性?親心?に目覚めたの?

知能が高い設定がここで活かされたの?



『ラピスはどうしてしまったのですか?』


『…………ママわからない。とまどってる』


『オリジン!状況の説明を願うのです!』


『しかたない』

『これもきょういく』


 ハルちゃんは嬉しそうな声音でサナとナノハに語り始める。

それ私に聞こえるモードでやるの?

ちょっとレーネとラピスの件もなんとかしたいのに、集中力が乱れるわ……



『あるじ!レーネは私がなんとかするわ!

 出る許可を頂戴!』


『任せた!私の可愛い婚約者のご機嫌取りよろしく!』


『任せて!』


 お願いの内容が最低すぎる……

絶対、婚約式の最中に頼む事じゃない。


 私の中からラピスが抜けて、レーネの体を包み込む。



『ありがとうございます。

 ラピスちゃん。アルカ様。

 一緒に頑張りましょうね』


『うん。凄いの見せてしまいましょう。

 けどその前にノアちゃんの説得も一緒に頑張ってくれる?

 なんか、もう向かってきてるんだけど』


 ちょうどクレア対ノアちゃんの試合が終わったらしい。

不機嫌な気配を放つノアちゃんが私達に近づいてくる。


『それはお一人で頑張って下さいませ。

 私達全員の心を平穏に保つには、ご自身の力で信頼を勝ち取る以外、他はありません。

 期待しております。アルカ様』


 レーネは私を置いて無慈悲に立ち去った。



『説明してください。理由があるのでしょう?』


 言葉とは裏腹に、どんな理由があろうとも許してくれなさそうな気配を放つノアちゃんが問い詰めてきた。

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