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24-2.手段

 一回戦のルカ対レーネはレーネの勝利に終わった。

まあ、今は人魚形態だし水中だし順当ね。

やらかしてごめんなさい……


 ルカとレーネにも事後報告になってしまったが事情を説明して謝罪する。

二人ともあっさりと許してくれた。

ルカも何かおかしい事には気付いていた。

アリアは?


 レーネはラピスの存在にも気が付いていた。

覚視が使えずとも、人魚は水中なら感知できるものが増えるようだ。

早速仲良くなったレーネとラピス。

どうやら念話で話していたらしい。

水属性同士相性がいいのかしら。

ラピスの水属性はハルちゃんの後付だけど。


 次はクレアとリヴィの番だ。


 私の相手は順当に行けばノアちゃん、王様、クレアの可能性が高い。

トーナメントは完全ランダムで忖度は無いらしい。

私と王様は決勝で戦うのが綺麗な形かと思っていたけれど、その辺りあまり気にしていないようだ。


 リングの中央で向かい合うクレアとリヴィ。

大会のルールは、特定のエリアから出なければ何をしても良く、場外、降参、戦闘不能の何れかで決着が着く。


 先程のレーネとルカの戦いはルカの場外で決着した。

ルカはレーネの水魔法で流されてしまったのだ。

流石に地の利が有りすぎた。


 開始の合図とともに、リヴィに向かって突っ込むクレア。

何時ものスピードが出ていないのは水の中だからなのか、それとも見た目三歳児のリヴィにはやり辛いのだろうか。


 リヴィは体を丸めて力を溜めるような仕草をしたあと、クレアが接触する寸前に一気に体を広げて力を開放する。

リヴィから放たれた力の波動が観客ごと、周囲一体を吹き飛ばす。

大き過ぎる力に水ごと全てが吹き飛ばされて、リヴィの周囲が一瞬真空になった後、一気に水が渦を巻いて流れ込んでいく。


 私は慌ててリヴィを抱き寄せで回収し、事態を収拾させるために強烈な水流に干渉して勢いを弱めていく。

私の中で協力してくれる四人の助力もあって、なんとか被害者を出さずに抑え込む事に成功した。



「ごめんなさい……」


 私の腕の中で縮こまるリヴィを撫でてから、王様に状況確認をお願いする。


 それから家族に念話で点呼をとって、全員の無事を確認する。

一応事態の収拾に当たっている間も、ハルちゃんが随時状況を教えてくれていたので無事なのは知っていたけど。

あれ?クレアは?



『わすれてた』


 姿が見えず、慌てて念話を飛ばすと、吹き飛ばされて何処だかわからないと返答が返ってきた。


 リヴィ、あなたクレアに勝ったのね。

一応場外だし。

まあ、こんな騒ぎを起こしておいて勝利もないのだけど。


 出来心でクレアに向かって抱き寄せ魔法を使ってみるが、残念?ながら発動しなかった。

私のクレアに対する好感度が足りないのかしら。

仕方がないので、クレアの元に転移して回収した。


 それから暫くしてようやく事態が解決し、闘技大会は再開される事となった。

どうやら騒ぎの大きさの割に問題視はされなかったようだ。

むしろ、なんか凄いの見れたって興奮しているくらいだ。

おおらかだな~

弁償とか無くて良かったわ……


 試合の結果については、一応リヴィの勝利みたいなものだけど、リヴィ自身が落ち込んでしまい辞退する事になった。

ついさっきまで、事態の収拾を手伝う私に代わって、リヴィを引き取ったノアちゃんの腕の中で縮こまっていたようだ。


 早く元気になれると良いのだけれど。

リヴィはクレアが相手だからと張り切って全力で頑張っただけだ。

流石に三歳児にあの事態を想定しろだなんて無茶な話だ。

正直、私も目の前で起こるまで想像もしていなかった。

ここは地上とは違うんだ。

私もやらかさないように気を付けよう。



『ちじょうでも』

『ありえなくはない』

『くうきもなる』


『はい。気を付けます』


『でも』

『ふつうむり』


『リヴィアすごい』

『ぜんほうい』

『すきまなく』

『ちからをはなった』


『しかもクレア』

『ふきとばすほど』


 確かに。クレアが成すすべもなく吹き飛ばされたのだ。

まあ、多少の油断はあったのかもしれないけど。


 予想通りというか、クレアも負けを認めていたので、二回戦のレーネの試合は不戦勝となった。

その結果私が勝ち上がると、決勝戦が私とレーネの両新婦対決となってしまった。


 ノアを倒して、新婦父おうさまを倒して、最後には新婦レーネを倒してってなんか、なんか……なんだかなぁ。



 今度は私とノアちゃんが向かい合う。

クレアが退場した以上、一番の強敵だ。

流石に水中で何時もの速さは無理だろうけど、それでも人一倍動けるはずだ。


 私は開始の合図とともに、自身の周囲を水流の繭で覆う。

そのまま繭を分厚く広げていき、ノアちゃんを場外に向かって追いやっていく。

リヴィの件もあったので、観客に影響が出ないように水流の繭の影響が広がらないようにするのも忘れない。


 こちらからも目視出来ないが、ハルちゃんのお陰で成長した覚視は、水中と水流で思うように動けないノアちゃんの位置を正確に教えてくれる。


 場外ギリギリまで追い詰めた所で、ノアちゃんは覚悟を決めて渦の中に突っ込んでくる。

ノアちゃんは神力を使って地面に足を縫い付けるようにして一歩ずつ進んでくる。


 渦の中を進むノアちゃんが私の側まで辿り着いた所で、私は地形操作の魔法で海底を操作してノアちゃんの足を拘束し、闇魔法の槍を突き立てて渦を解除する。



『降参です』


『まともに戦ってあげられなくてごめんね。

 水中で接近戦する自信は無かったわ』


『そうですね。

 正直あの騒ぎの後でよくこんな手選んだなとは思います。

 けれど、負けは負けです。

 アルカもレーネの手前負けられなかったのでしょう。

 言うまでも無いですが、せめてレーネとの決勝では手段を選んでくださいね?』


『抱き寄せ魔法使えば一瞬で勝てると思うのだけど』


『止めて下さい。

 レーネの頑張りをちゃんと見てあげて下さい』


『もちろん冗談よ。

 ノアちゃんにも使わなかったでしょ?』


『面白くないです』


『さっきレーネにも同じこと言われてしまったわ』


『会話も精進して下さい』


『は~い』


 私はノアちゃんを開放して一緒にリングを後にする。


 次の一回戦最終試合は、王様対アリアだ。

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