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23-26.バタバタ

 翌朝目覚めると幼女に埋もれていた。

なんで全員出てきてるの?

寝顔可愛い。


 あかん。今日はあまり余裕がないのだ。

見惚れてないで早く起こさないと。


 私は全員起こしていく。

カラーズは起きるなり私の中に戻って行った。



『あるじ!からーずはいやぁよぉ!

 もっとかわいーのがいーのぉ!』


 ラピス寝起き悪いわね。

なんなのそのあざとさ。可愛いわね。

カラーズって言うほど可愛くない?

意外と良いかもって思い始めてたのに……



『マスター、ボクも考えるのです』


 そっかぁ~

よし!サナに任せた!



『…………zzz』


 ナノハはまた寝たのね~


 私はまだ眠っているハルちゃんを抱き上げて、リビングに向かう。



「おはよ~みんな~」


 皆口々に挨拶を返してくれる。

セレネとお姉ちゃんは私の気配の変化に驚いていたけど、結局何も言わなかった。

ニクスは気付いているのだろうけど、驚いた様子すら見せなかった。

アリアは気付いたかもしれないけど、気にしなかった。


 私は眠ったままのハルちゃんをお姉ちゃんに預けて朝食にとりかかる。

お姉ちゃんは嬉しそうにハルちゃんを抱き締めた。

寝顔って何時にも増して可愛いわよね。



『あるじ!私も食べたいわ!』


 う~ん。どうしよう。

いや、食べさせる事に躊躇しているのではなく、今朝は忙しいので、紹介している余裕がないのだ。

何も考えずに三人娘を開放するわけにはいかない。

せめてもう一日早ければ……



『ラピス、マスターが困っているのです』


『仕方ないわね!今は我慢するわ!』


『…………zzz』


 ごめんね~

後で必ず紹介するからね~

食事もその時にね~


 でも人魚の国で宴会している間ずっと閉じ込めておくってわけにもいかないわよね……

どうしましょう。

婚約式典の場で新しい娘よ!って紹介する?

どうせ皆新しい浮気相手としか認識してくれないのに?

いっそのこと、ここで出てきてもらう?


 あかん。こんな時に頼りになるハルちゃんはお姉ちゃんの腕の中で可愛い寝顔のままだ。

色々疲れていたのだろう。

昨晩も血を飲みながら寝落ちしてたし。



『ノアちゃん!ヘルプ!』


 ノアちゃんは私に視線を向けてくる。

あれ?念話の魔法切れてるの?


 私は全員に念話魔法をかけ直す。

どうせ人魚の国では必要だ。



『三人の事ですか?』


『流石ノアちゃん!

 話が早いわ!

 いつ紹介したら良いと思う?

 今はもう出発しなきゃだし、式典の最中ずっと閉じ込めておくのは可哀想だし……』


『そのまま式典が終わるまで出さないで下さい。

 レーネの事を考えたらそれ一択のはずです』


『……そうよね』


『その代わり、式典後には私が腕に縒りをかけて饗してあげます。

 その子達を迎える宴会なら改めて開いてあげますから、今回は諦めて下さい』


『ノアちゃん!!ありがとう!そうするわ!

 でも、こんな事選ばせてごめんね……』


『気にしないで下さい。

 先に私に相談してくれて嬉しかったですよ。アルカ』


『ノアちゃ~ん!』


『良いから早く朝食を済ませて下さい。

 もうアルカ待ちですよ』


『は~い』


 相変わらずノアちゃんに甘やかされている……

もう完全にノアちゃんの方が保護者だ。

複雑なような、嬉しいような。



『ということで、悪いんだけど、暫く私の中で大人しくしていてくれる?

 ラピスの世界を見てみたい気持ちもわかるから、人魚の国も見たいのなら今度改めて連れて行くから』


『大丈夫よ!気にする必要はないわ!

 あるじの考えていた事は全部把握しているわ!

 それに世界を見るのはあるじの中からでも十分よ!

 あるじの目はラピスの目でもあるのよ!』


『承知です。マスター』


『…………zzz』


 ありがとう!ごめんね!

一人寝てたけどまあ良いか!



 その後、食事を済ませてから全員に水中適応の魔法をかけていく。

全員で一度に移動するのでは多いので、ハルちゃんを起こして体の中に入ってもらい、レーネ、ノアちゃん、セレネ、ニクス、カノンを連れて、一度レーネの部屋に転移する。


 私はレーネの人化を解いて、久しぶりに人魚姿のレーネに戻ってもらう。

レーネの案内でノアちゃん達が移動した後、再び家に戻って、今度はアリア、ルカ、リヴィ、お姉ちゃん、クレアを連れて行く。


 グリアはお留守番だ。人魚の国に興味が無いわけではないのだけど、式典への参加など御免被ると引きこもってしまった。

数日帰れないけど、食事とかは大丈夫かしら。

ノアちゃんが準備はしてくれているけど、放って置くと自分では食べないから少し心配だ。



「問題無いとも。この年まで生き延びて来たのだから、今更その程度の事を心配する必要などあるまい」


 まあ、それはそうなんだけど。

流石に死ぬ前に食べてくれるだろうし、そもそもそこまでの日数家を空ける予定は無い。

予定が変わって、あまり長くなるようなら戻って様子を見に来る事にしよう。

本の山に埋もれて動けなくなっている事も少なくないし。


 クレアは案の定、闘技大会に興味を持った。

多分、終わったら帰りたがるだろうけど。

その時はついでにグリアの様子見を頼むとしよう。


 私は第二陣メンバーと共に、先日来た時に案内された私達用の控室兼宿泊部屋に移動する。

数日間は皆にここで過ごしてもらう事になるので、道すがら建物の中を案内していく。

とはいえ、私も何度か来たことがあるだけで、碌な説明はできないけど。

最悪、迷子になっても私ならすぐに回収できるし、遠距離念話もある。


 割り当てられた部屋に到着すると、レーネの姿は無かった。

 どうやら正装に着替えているようだ。

私も向かうとしよう。



『レーネ!!!綺麗よ!素敵よ!最高よ!』


 私が辿り着くとレーネは着替え終わって、様々な装身具を身に着けている最中だった。

どうやら、化粧の文化は無いらしい。

まあ、水中だしね。

人魚って皆すっぴんなのに綺麗すぎない?

私も化粧なんてしてないけど。

というか、たぶんセレネとカノンくらいしかしてないんじゃないかしら。

最近のお姉ちゃんは子供モードで固定してるし。


 ともかく、様々な装身具と綺麗な鱗のコントラストが最高だ。

思わず撫で回してみたくなってしまうのをぐっと堪える。



『アルカ様もこちらをお召し下さい』


 私はレーネの差し出した衣装に着替える。

以前ニクスに指摘された通り、最初はかなり面積の小さいものだったけど、頼み込んで直してもらった。

聞いた話では、なんか最初は貝殻と紐だけだったらしい。


 今はハーフトップの布地に様々な装飾が施されている。

まあ、これなら問題なかろう。

流石に闘技大会の時は着替えるけど。



 私も着替えて、先に支度の終わったレーネに飾り付けられていく。

国の式典であってもスタイリストさんとかはいないらしい。

本来なら王妃様が手伝うはずだったけど、まだ小さいセーレがいるのと、私達が互いに手伝えるからと、レーネが遠慮したようだ。

結局、レーネには全部自分でやらせてしまった。

せめてもと思い、レーネの全身も見回して微調整していく。



『本当にこれ付けたままにするの?』


『ええ。もちろんです。

 これはアルカ様に頂いた宝物ですから』


 私が贈った青い宝石の付いたチョーカーに手を添えるレーネ。



『それに、我々に奴隷の文化はありません。

 ご心配するような事は何もございませんよ』


『……そうよね。

 うん!綺麗よ!レーネ!

 これで準備万端ね!』


『はい!』

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